
再生数急上昇ソング定点観測 (2025年3月3週目) [バックナンバー]
公開停止「ざぁこ」が「雑魚」になって何が変わった / M!LK「イイじゃん」で“金髪確変ニキ”に熱い視線
今、盛り上がり始めている曲 / これから盛り上がりそうな曲について詳しく解説
2025年3月21日 18:30 15
YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで3月7日から3月13日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、4位に
CUTIE STREET「ラブトレ」ミュージックビデオ
そのほか12位には
Creepy Nuts「doppelgänger」ミュージックビデオ
18位にランクインしたのはTREASUREの「YELLOW」。3月6日のMV公開から10日間で230万回再生を突破し、破竹の勢いを見せている。
TREASURE「YELLOW」ミュージックビデオ
21位には
King & Prince 「HEART」ミュージックビデオ
人気アイドルの新曲が目立った今週は、下記の3曲をピックアップする。
柊マグネタイト「雑魚」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場6位
昨年発表の「テトリス」が今も大ヒット中の柊マグネタイトが、続いて2月9日に公開した新曲「ざぁこ」のMVは、その内容について海外を中心に批判の声が多く上がった。ストレートに性的な言葉は出てこないものの、リスナーに対して挑発的で扇情的な歌詞のこの曲。使用しているボーカロイド・歌愛ユキが実際に小学生の声を元に開発されたものであり、幼い女子という設定のキャラクターにそれを歌わせたことが問題視されたのだ。なお歌愛ユキの利用規約は日本語版と英語版で異なり、英語版では性的な表現をすることが禁止されている。海外では子供に関わる表現に対して現時点での日本よりも慎重な姿勢が求められており、刺激的な作品は非常に強い反発を受ける。
この件について柊マグネタイトは、MV公開当日にX(Twitter)で「歌詞・描写に不適切な表現が含まれているとのご指摘を受け、様々なご意見を頂戴しました」と説明。そして「ざぁこ」のMVを即日公開停止し、リメイク版を再アップロードする旨を伝えた。
そして1カ月に新たに発表されたのが「雑魚」である。使用を批判された歌愛ユキは亞北ネルの歌に差し替えられ、またコーラスは11歳という設定の音街ウナから31歳の重音テトに変更された。サツキ「メズマライザー」などで知られるCAST(元・channel)が手がけたMVも、原曲の映像を全面的に修正している。
YouTubeのコメント欄では「え、ムービーもボーカルも完全作り直しでアップロード!? やりきるのもすごいし、二人の信頼関係が無いとまず実現しないやり直しだよなあ、、」「ざぁこはメスガキ感強めだったのが漢字表記になるだけで特に歌詞は変えてないのにツンデレ子の楽曲になったの凄い」など「雑魚」に対して好意的な声が目立つ。原曲の公開停止の際に「リメイク版では問題点の修正に留まらず、楽曲とMVの魅力を最大化し、多くの方が提起してくださった問題点をすべて解消できる作品にしたいと考えております」とコメントしていた柊マグネタイト。その言葉の通り、元の楽曲をブラッシュアップして、さらに魅力的な曲に作り上げるのはさすがのひと言に尽きる。
M!LK「イイじゃん」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場31位
今作が盛り上がっている理由として“ギャップ”が考えられる。
サビが異様にカッコいいからこそ逆に笑える、という化学変化が起きているこの曲。生まれたのは「今までの僕らっぽい王道ポップスからギャップを付ける感じにしよう」とメンバーの
現在「イイじゃん」にハマっている人が続出しており、著名人ではマンガ「【推しの子】」の作画を担当している横槍メンゴもX(Twitter)で「M!LKのイイじゃんまじで元気出る なんか気圧の落ち込みなんとかしてくれる 本当にありがとう」と楽曲を賞賛。YouTubeのコメント欄を見ると「キンプリとNumber_i交互に見てるみたい」と、少し困惑しながらも楽しんでいる人の姿が多く見られる。
また、サビで世界観が変わる瞬間にセンターで歌っている
昨年11月に結成10周年を迎えた彼ら。これだけのキャリアがあれば、大抵はファンも固定されて楽曲の方向性も変わらないものだが、ここにきて新規のリスナーを獲得し、実験的な曲にトライをしたことに賞賛の拍手を送りたい。
HIMEHINA「キスキツネ」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場90位
そのMVが、3Dアニメと2Dアニメが行き来する斬新な映像と、キツネをモチーフにした印象的な振付と衣装で話題を呼んでいる。そのキャッチーなダンスは数多くの人々によってSNS上でシェアされ、にじさんじ所属の五十嵐梨花や倉持めると、ホロライブの風真いろはなど人気Vtuberがこの曲の“踊ってみた”動画を投稿。2023年末に公開されて大ヒットした「愛包ダンスホール」はMV公開から10日で100万再生を達成したのに対して、「キスキツネ」は1週間でその記録に到達し、自身最速記録を塗り替えた。
このキツネの耳やしっぽを連想させるユーモラスな仕草と、視聴者が真似しやすいシンプルでリズミカルなステップは、今後もどんどんネットで拡散されていくのかもしれない。YouTubeではHIMEHINAによるこの曲のダンス解説やダンスプラクティス動画、そして振付を担当したわたが小豆とともに踊るダンス動画も公開されているので、合わせてチェックいただきたい。
キスキツネ ダンス解説してみた
HIMEHINA「キスキツネ」ダンスプラクティスビデオ
振付師が キスキツネ / HIMEHINA 踊ってみた【わた×@小豆】
※塩崎太智の崎は、たつさきが正式表記。
- 真貝聡
-
ライター / インタビュアー。雑誌やWebで執筆するほか、MOROHA「其ノ灯、暮ラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像作品や、テレビ特番「Mrs. GREEN APPLE ~Review of エデンの園~」にインタビュアーとして参加している。
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