小泉拓

これのドラムを聞け!5秒だけでもいい Vol. 26 [バックナンバー]

小泉拓(クリープハイプ)の曲作りの基準になっている曲は

「ドラムも歌っているように感じる」

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楽曲のリズムやノリを作り出すうえでの屋台骨として非常に重要なドラムだけど、ひと叩きで楽曲の世界観に引き込むイントロや、サビ前にアクセントを付けるフィルインも聴きどころの1つ。そこで、この連載ではドラマーとして活躍するミュージシャンに、「この部分のドラムをぜひ聴いてほしい!」と思う曲を教えてもらいます。第26回は、2月から7月にかけてキャリア最大規模となる全国ツアーを回るクリープハイプの小泉拓さんが登場です。

構成 / 丸澤嘉明

ドラムフレーズが好きな曲とその理由

BLANKEY JET CITY「Dynamite Pussy Cats」(ドラム / 中村達也)

冒頭のフィルから曲全体がとにかくすばらしいグルーヴを醸し出しています。曲中ずっとカッコいいです。そして音がいいです。
ドラムセットが本来持っているポテンシャルを余すところなく引き出している音のように私には感じられます。
なぜこんなに好きなのかわかりません。
この曲を知ったのはもうずいぶん前になりますが、今でもしょっちゅう聴いています。
私はこの曲でドラムという楽器のカッコよさに確信を持ってしまいました。

THE BLUE HEARTS「情熱の薔薇」(ドラム / 梶原徹也)

私がフィルというものを最初に意識したのがザ・ブルーハーツなのですが、この曲のBメロからAメロに切り替わるタイミングで登場する「ラタタタ」という「最初巻き舌、後半のけ反り」のようなフィルが特に好きで、独特の後ろに引っ張られるような感じが、次の展開への勢いをつけるうえでとても大事な役割を担っていると思います。
シンプルだけど、説得力があるといいますか。
あるいは解決力。
間奏のギターソロからのドラムソロもカッコいいです。
思えば最初にコピーして、エイトビートというものを知ったのもザ・ブルーハーツでした。

Green Day「Basket Case」(ドラム / トレ・クール)

この曲のフィルの登場の仕方がとても好きで、ドラムも歌っているように感じます。
初めてこの曲を聴いたときにドラムがとても印象に残りました。
曲を構成するうえで、どれだけドラムが影響力を持つのかを考えるきっかけにもなったので、曲作りにおいて、どれだけドラムで歌うのかを考える際の、自分の中での1つの基準にもなっている曲です。

ジッタリン・ジン「夏祭り」(ドラム / 入江美由紀)

この曲の「ダダダッダダダッダダダッダダダッ」というフレーズや、リムを使った「カチカチ」というフレーズが、ドラムという楽器でお祭りの感じを表現していて、お祭りが好きな私としては見逃せません。
私の場合、打楽器に興味を持つきっかけになったのが盆踊りでの和太鼓なので、ドラムで和の感じを出すところにシンパシーを感じます。
入江美由紀さんのタイトでバンドに欠かせないドラムが大好きです。

クリープハイプ「あと5秒」(ドラム / 小泉拓)

手前味噌ながらクリープハイプの曲も紹介させてください。
この曲のミュージックビデオでの3:23~のフレーズが、私の中でのカッコいいを詰め込んだものになっています。
クリープハイプではあまり長いフィルは出てこないのですが、ここでは2小節に渡って演奏しています。
考えるの楽しかったです。
ドラムって、改めて素敵な楽器だなと思います。

自身でドラムフレーズをプレイする際に意識していること

ほかの楽器や歌との兼ね合いを気にします。
タム1音だけでも曲を展開させる大事な要素たりえるので、フレーズはシンプルでもいいと考えています。
わかりやすさ、聴こえ方、愛嬌、この辺りが肝だと思っています。
そして演奏する際には、あまり考えすぎないようにしています。
考えすぎると身体が動かなくなります。
ただ、普段は身体の動かし方をよく考えています。
ほかの楽器の音を聴いて、委ねるようにすると、だいたいうまくいきます。
音を楽しむと書いて、音楽。
なんつって。

自身のプレイスタイルに影響を与えたドラマー

私は中村達也さんが大好きで、曲に対して自由に演奏するそのスタイルにとても感銘を受け、自分もそういうスタイルで演奏をしていました。
フィルだったりもその直前まで決めずに、その日その時の瞬間的な判断で演奏をしていくようなイメージです。
しかし今はフィルのフレーズもその楽曲の一部と捉えるようになり、毎回自由に演奏するということはあえてしなくなりました。
これはどちらが正しいかではなくて、やっている音楽のスタイルによって変わるものであると思います。
バンドのメンバーの意向もあるし、ほかの楽器の演奏にも影響することですし。
演奏において、ドラムはほかの楽器に対してすごく影響力を持ちます。
そのことをより自覚するようになった結果、今の私はこうだ、という話です。
もちろん即興演奏も大好きで、しょっちゅうそういう演奏も観ています。
最近好きなのはJD Beckです。
演奏を観ていてとてもワクワクします。
動画でいうと、Josivaldo Santosさんという方が人に教えている動画も好きでよく観ています。
音を楽しむと書いて、音楽。
です。

小泉拓

ロックバンド・クリープハイプのドラマー。クリープハイプは2024年12月4日にオリジナルアルバム「こんなところに居たのかやっと見つけたよ」を発表。2月8日の新潟・新潟県民会館公演を皮切りに7月23、24日の東京・日本武道館公演まで、キャリア最大規模となる全国ツアーを開催する。

小泉 拓 (@koizumitakuda) / X
クリープハイプ オフィシャルサイト
クリープハイプ (@creephyp) / X

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