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ファンの店 第7回 [バックナンバー]

ドリカムをペットと楽しめる瀬戸内海沿いのカフェ

ドリカフェ

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アーティストの大ファンが営むお店を紹介するこの連載。今回は岡山県にあるDREAMS COME TRUEを愛してやまない店主が営むカフェを訪ねた。

取材・文・撮影 / 松本紀子

お忍びで来てもらうための隠れ家カフェ

岡山県倉敷市児島に、DREAMS COME TRUEファンが集まる、ペットと過ごせる海の家 ドリカフェがある。2018年7月、澤田浩一さんはこの場所にもともとあった古民家を改築し、店を開いた。澤田さんは出身地である兵庫県の城崎温泉でドリカフェを営んでいたが、いつかドリカムの2人に来店してもらうため、もっと交通の便がよく、全国ツアー中にお忍びで立ち寄れそうな場所を求め、この地に移転した。穏やかな瀬戸内海を見渡せる海水浴場が目の前にあり、ゆったりとした時間を満喫できる。ペットも一緒に過ごせるこのカフェには愛犬連れで来店する客も多いという。

年代物のツアーTシャツやタオルなどのお宝グッズが店内を埋めつくす。

年代物のツアーTシャツやタオルなどのお宝グッズが店内を埋めつくす。

店内には、いたるところに澤田さんが集めたポスター、ツアーTシャツ、懐かしい8cmシングルCDなどが飾られている。「昔はコンサートのたびにグッズをたくさん買っていたけど、置き場所がなくなっちゃって、今はTシャツとタオルだけにしてる」と澤田さんは好きなものに囲まれ幸せそうな表情で語った。

今では入手困難なカセットテープも展示されている。

今では入手困難なカセットテープも展示されている。

澤田さんがドリカムのファンになったのは、今から30年前。当時フジテレビ系列で放送されていた「夜のヒットスタジオ」で3rdシングル曲「うれしはずかし朝帰り」を披露するドリカムを観たのがきっかけだった。吉田美和の声と表現力に心を打たれ、一気に引き込まれた。すぐにCDをレンタルしてその後購入、何度も繰り返し聴いた。初めてコンサートを生で観覧したは1992年の「MILLION KISSES」ツアーの大阪城ホール公演。「美和ちゃんの歌唱力に圧倒されて、非現実的な世界に浸っているようでした。それからは時間を見つけてコンサートへ足を運ぶようになって。4年に1度開催されている『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND』なども行きましたね」と当時を振り返ってくれた。

以前は建築関係の仕事に就いていた澤田さんだが、実家が居酒屋を営んでいたこともあり、その当時から料理の勉強もしていた。実家の店が立ち退きになったのをきっかけに自分の店を持つことを決意。2012年に兵庫でドリカフェをオープンさせた。その頃からお店はドリカム一色で、たくさんのドリカムファンが訪れていたという。

まっすぐなところが好き

澤田さんが「宇宙一好き」だというドリカムの楽曲は「うれしい!たのしい!大好き!」。「この曲は誰をも元気にする力がある。人生そのものを表していると思うんです。『わかっていたの前から こうなることもずっと』というフレーズは僕のこれまでを思い返して、家族や友人すべての人たちとの関係に当てはまるんです」と愛おしそうにCDを見せてくれる澤田さん。

一番好きな曲である「うれしい!たのしい!大好き!」が収録されたCDを大事そうに見せる澤田さん。

一番好きな曲である「うれしい!たのしい!大好き!」が収録されたCDを大事そうに見せる澤田さん。

「ドリカムの魅力はずっとぶれないところ、自分らしく音楽をまっすぐに伝えてくれるところ。そんなドリカムが大好き。美和ちゃんはすごい、小学校2年生で歌詞を書き始めてからこれまで才能が枯れないんだから」とうれしそうに語る。

数えきれないほどコンサートに行き元気をもらってきたという澤田さん。ツアー初日は店を臨時休業にして、遠方だろうと必ず足を運ぶ。カフェに集うファンたちと語らうためにも初日は絶対に外せない。ただ、コンサートの観覧自体は年に2、3回に留めている。理由は抽選でチケットが取れなかったファンや、コンサートに行ったことがない人に自分が買ったチケットを譲ることがあるからだとか。「僕は1度行けば十分。いろんな人に観るチャンスを分ければ新しいドリカムファンが増えるから」。それが古参ファンの役目だそうだ。

ガラス戸には来店客によるリクエストランキングが。

ガラス戸には来店客によるリクエストランキングが。

店内には大型テレビが設置してあり、映像付きでドリカムの音楽を楽しめる。またお店では曲のリクエストを受け付けていて、テラス席に通じるガラス戸にはそのランキングが掲出されている。現在のランキングは、1位「決戦は金曜日」、2位「LOVE LOVE LOVE」、3位「やさしいキスをして」と名曲ぞろい。ファンでなくともドリカムと同じ時代を過ごして来た人であれば1度は聴いたことのある楽曲が並んでいる。

“切って盛るだけ”の海鮮丼

店のイチオシメニューはすごうまい海鮮丼(1500円)。地元の名産である下津井ダコをはじめ、新鮮な瀬戸内海と日本海の旬の魚介類をぜいたくに使っているのが自慢だ。この日はサーモン、かつお、海老などが器からあふれんばかりに盛られていた。兵庫県から取り寄せる、とろみがかったたまり醤油をかけていただく。兵庫の店ではそば粉のガレット(吉田美和の好物である“そば湯”にちなんでいる)を提供していたが、ここでは地元のつながりを大切にしたいという思いから、海の幸をメインで提供することにしたのだとか。

実はこのメニューにはもう1つ、ドリカムファンの店主ならではの思いが隠れているという。

「『あなたにサラダ』の歌詞に『切って盛るだけのかんたんサラダ』とあって、この海鮮丼も“切って盛るだけのかんたん海鮮丼”。それを残さず食べてくれるお客さんを見るのが好き。まさに“あなたに海鮮丼”という気持ちで作っているんです(笑)」

すごうまい海鮮丼(1500円)。“すご”は岡山下津井弁で、“すごい”を意味している。

すごうまい海鮮丼(1500円)。“すご”は岡山下津井弁で、“すごい”を意味している。

いつか愛犬と泊まれる民宿を

“LOVE LOVE LOVEの木”は、人気の撮影スポット。

“LOVE LOVE LOVEの木”は、人気の撮影スポット。

入り口の前に生えている木は、朝陽を遮らないために飛び出た枝を切り落としたところ、ハート形になった偶然の産物。曲名にちなんで“LOVE LOVE LOVEの木”と名付けた。そこに以前兵庫の店でドアベルとして使用していた“夢が叶う鐘”を一緒に設置した。この鐘は「さぁ鐘を鳴らせ」がリリースされた2013年頃に、一部のファンの間で“鳴らすと夢が叶う”と噂になったことがあるという。来店するドリカムファンの大半がここで鐘を鳴らし写真を撮って帰るそうだ。

店から少し歩いたところにある、澤田さんのお気に入りの浜辺。

店から少し歩いたところにある、澤田さんのお気に入りの浜辺。

「ここから見る朝陽は本当に美しい。ピンクとオレンジの大きな太陽がぶわーっと昇るところが見られます。だから将来的にはその景色をたくさんの人に見てもらえるよう、お店の2階を民宿として展開していきたいんです。夢を持ってがんばっている人はもちろんだけど、少し心が弱っている人にもこの景色とドリカムの歌で元気になってもらえる、人の心にそっと寄り添える場所でありたい。そして、いつかドリカムが来てくれたらいいですね」

澤田浩一さん

澤田浩一さん

店舗情報

住所:岡山県倉敷市大畠2-2-12
電話番号:086-486-3914
営業時間:不定休
OPEN 11:00 / CLOSE 14:00 (売り切れ次第閉店)
曲のリクエスト:可
一番好きな曲:30年変わらず「うれしい!たのしい!大好き!」

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