フジファブリック、アコースティックな“映画館”で名アレンジ続々披露

フジファブリックが11月9日と10日に東京・EX THEARTER ROPPONGIで、15日と16日の大阪・なんばHatchにてプレミアムアコースティックライブ「FABRIC THEATER 2」を開催した。この記事では10日の東京公演の模様をレポートする。

「FABRIC THEATER」の開催は、昨年11月に続き2回目。メンバー3人はサポートメンバーのBOBO（Per）とともに、映画館をモチーフにした演出や貴重なアコースティックスタイルのパフォーマンスで集まったファンを楽しませた。

ライブの開演前にはフジファブリックがテーマソング「かくれんぼ」を書き下ろし提供した、キヤノンのショートムービー「僕たちは今日、お別れします。」が上映される。その後は金澤ダイスケ（Piano）がカメラ男、加藤慎一（B）がパトランプ男に扮し「NO MORE ライブ泥棒！」と呼びかけるCMで観客の笑いを誘った。往年の映画会社を思わせるライブのロゴが映し出された紗幕が上がると、メンバーとBOBOはすでにステージにスタンバイ。山内総一郎（Vo, G）がアコースティックギターを爪弾きながら歌う「ペダル」でライブが始まった。

観客全員が着席したフロアを見渡し、山内は「普段と違いますね（笑）」と若干緊張気味の表情を見せる。続く「カタチ」では金澤がグランドピアノを奏で、「B.O.I.P」では加藤のクールなベースラインに乗せて山内がスライドギターソロを炸裂させるなど、彩り豊かなパフォーマンスを展開していった。その後はオフィシャルモバイル会員から寄せられたリクエストをもとにした選曲として「まばたき」、そして「若者のすべて」を演奏。山内は「このアレンジ、緊張するな……」とこぼしつつも力強い歌声を響かせ、オーディエンスから大きな拍手を浴びていた。

ここでメンバーはステージに置かれたソファに座り、リラックスした表情でのトークに入った。金澤が流暢にライブグッズの紹介を行うと、山内は「商売上手だなー！（笑）」と声をかける。そんな金澤の進行に続いてカバー曲のコーナーへと突入した。ここでは金澤が映画「ローマの休日」にも登場する“真実の口”を模した箱に手を突っ込み、ファンのリクエストを書いた紙をランダムで選ぶ。1曲目としてTOKIO「LOVE YOU ONLY」をパワフルに演奏したあとは、NHK Eテレの番組「メディアタイムズ」のテーマ曲としてフジファブリックが提供した「1/365」を披露する。「フルで披露するのは初めてですよ！」と煽った彼らだが、演奏されたのはテレビサイズと同じ長さ。客席から笑いが起こる中、まだフル尺が完成していないことを話した加藤は「全部作りたいとは思っているんで」と今後の展開に期待を持たせた。

さらに山内が初めてギターで弾いた曲だというスピッツの「チェリー」の演奏へ。金澤はアコーディオンの温かな音色で楽曲の世界を彩った。3人は荒井由実「やさしさに包まれたなら」でカバーコーナーを締めくくると、後半戦でも多彩なナンバーを連発していく。「ホーランド・ロップ」をパワフルに演奏したあとは、加藤が「カンヌの休日」で渋い低音を響かせた。「バタアシ Party Night」「夢みるルーザー」を終えると、山内はこの「FABRIC THEATER」について「『3』やってもいいですかね？ 自分たちも味をしめて（笑）、アレンジするのが楽しくなってるので、またやりたいと思います」とファンに語りかけ、ラストナンバー「LIFE」を披露した。

アンコールでは、開演前のショートムービーの中でも流れた「かくれんぼ」を演奏する。穏やかに始まり、徐々に熱量を増していく壮大な楽曲でフロアを圧倒したメンバー。曲が終わるとオーディエンスからはこの日一番の大きな拍手が起こり、山内は「新しい曲をやって大きな拍手をいただけるのは、やっててよかったなと」とほっとした表情で語った。最後は「虹」を華やかに奏で、この日のライブを締めくくった。