松下洸平&松下優也が“バチバチ”の火花散らす!ミュージカル「ケイン&アベル」世界初演が開幕

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ミュージカル「ケイン&アベル」が昨日1月22日に東京・東急シアターオーブで開幕した。ステージナタリーでは、21日に開催されたゲネプロと、本日23日に行われた会見の様子をレポートする。

左から松下洸平、松下優也。

左から松下洸平、松下優也。

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本作は、イギリスの作家ジェフリー・アーチャーの小説「ケインとアベル」を、世界で初めてミュージカル化するもの。脚本・演出をダニエル・ゴールドスタイン、音楽をフランク・ワイルドホーンが担当し、翻訳を小田島創志と一川華、訳詞を竜真知子が担う。

ミュージカル「ケイン&アベル」より。

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舞台は20世紀初頭のアメリカ。劇中では、名家に生まれ、ハーバード大学を卒業したあとは銀行の取締役となるウィリアム・ケイン(松下洸平)と、ポーランドの山奥に生まれて孤児になり、ウェイターからホテル王へとのし上がっていくアベル・ロスノフスキ(松下優也)を中心としたストーリーが展開する。

開演すると、ステージ上のディスプレイに20世紀初頭を思わせる白黒映像が投影される。ディスプレイの向こうから、屏風のようにそびえ立つ2枚の白い壁が客席側へ迫ってきて、壁の間からフロレンティナ(咲妃みゆ)が姿を現すと、2枚の壁にはまるで見開きのアルバムのように、さまざまな白黒写真が映し出される。フロレンティナは、同じ日に生まれ、のちに運命的な出会いを果たすケインとアベルの生い立ちを語り始め、観客を物語へといざなった。

ミュージカル「ケイン&アベル」より。

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本作ではフロレンティナが語り手となって、ケインとアベルがそれぞれの夢のために奔走し、大恐慌をきっかけに起きた悲劇によって決定的に対立する様子を、アルバムに収められたスナップ写真を通じて回想する形で物語が進む。劇中ではケインに青、アベルに赤というシンボルカラーが設定されている。ケインとアベルがそれぞれ青、赤の照明に照らされながら左右対称の立ち位置でデュエットする場面では、2人が火花を散らしながらも運命で強く結ばれていることを観客に感じさせた。

ミュージカル「ケイン&アベル」より。

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ミュージカル「ケイン&アベル」より。

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ケインは自分が正しいと信じた道を突き進もうとする人物。松下洸平は鋭いまなざしでケインの頑なさ、ビジネスマンとしての冷静さを表現しつつ、家族や友人に見せる優しい表情で彼の人間味を描き出す。一方のアベルは、ポーカーフェイスの裏側にしたたかさを秘めるキャラクター。松下はパワフルな歌声を聴かせ、“アメリカンドリーム”を目指すアベルを情熱的に演じた。フロレンティナは物語の進行役であると共に、アベルの娘としてストーリーに関わってくる。咲妃は、聡明なフロレンティナが恋に惑う様子を、くるくると変わる表情で愛らしく表現。また、株の暴落により非業の死を遂げるホテル王デイヴィス・リロイを演じるのは山口祐一郎。山口の豊かな歌声と、明るさの中にもどこか悲哀や虚無感がにじむ演技にもぜひ注目しよう。

左から愛加あゆ、知念里奈、咲妃みゆ、
松下洸平、松下優也、益岡徹、山口祐一郎。

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本日の囲み取材には、松下洸平、松下優也、咲妃、山口のほか、ザフィア役の知念里奈、ケイト・ブルックス役の愛加あゆ、アラン・ロイド役の益岡徹が出席。松下洸平は海外スタッフとのクリエーションを「言葉を超えたところで心がつながった。刺激を受けました」と振り返り、「誰もやったことがない世界初演の作品なので、そのフレッシュさをぜひ体験して」と観客にメッセージを送る。松下優也は「毎日台本が変わったが、みんな前向きに取り組んでいた」と話し、「お客様のテンションの高まりを感じて『皆さんは味方だ』と感じて演じられた。夜もぐっすり眠れました(笑)」と初日の手応えを語った。

ミュージカル「ケイン&アベル」より。

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初日の感想について、咲妃は「シーンが進むごとに熱量が高まっていき、お客様が受け止めてくださったと感じました。『ここから始まるんだな』とワクワクしています」と述べ、知念は「お二人(松下洸平、松下優也)が緊張していなかったから、私もリラックスして臨めました。千秋楽までどう作品が変わっていくか楽しみ」、愛加は「モニター越しにお客様の集中力が伝わってくるような初日でした。すでにこの作品が愛おしい」とそれぞれ笑顔で話した。

ミュージカル「ケイン&アベル」より。

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「稽古終盤に歌が追加された」と苦笑いを浮かべる益岡は「新作だし、歌は私の課題でしたが初日はうまくいったと思う(笑)」とコメント。また山口は「洸平さんと優也さんは稽古場でずっと作品のことを勉強していたし、いつも2人でディスカッションしていて素晴らしかった」と言い、「この作品は『21世紀前半で最も素晴らしいミュージカルだった』と語り継がれると確信しています」と出来栄えに自信をのぞかせた。

ミュージカル「ケイン&アベル」より。

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稽古場でのエピソードを尋ねられると、咲妃は稽古場で松下洸平と松下優也の席が隣同士だったことを挙げて「片付いている洸平さんのゾーンに対し、優也くんのゾーンは日に日に“にぎやか”になっていた」と明かす。松下洸平が「遠回しに『机が汚かった』って言ってる!」とまぜっ返す中、松下優也が「鼻風邪ぎみのときに稽古に行ったら机に箱ティッシュがあった。制作さんが置いてくれたと思って翌日には使い切ったけど、ふと思い立って聞いてみたら洸平くんのティッシュでした……」というエピソードを語ると、松下洸平は「僕のものは優也くんのものだから良いんです!」と笑顔でリアクションしていた。

松下洸平

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松下優也

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会見では松下洸平、松下優也が互いの印象を語る場面も。松下洸平は「優也くんは稽古を録音して、それを聴きながらずっと練習していました。こんなに研究熱心で努力家の人はなかなかいない。頼りにしています」と信頼を口にし、松下優也は「洸平くんはすごく忙しいのにとても冷静で、周囲をよく見ている。彼の冷静さに助けてもらった。最高の人です」と松下洸平を絶賛する。また「互いにライバル意識はあるか」という質問に、2人は「ない」と即答。松下優也が「洸平くんはライバルというより相棒」と笑顔を浮かべると、「互いにリスペクトがあるからこそ、舞台上でバチバチにやり合えています」とうなずいた。

上演時間は休憩25分を含む約3時間。東京公演は2月16日まで行われ、23日から3月2日まで大阪・新歌舞伎座でも上演される。

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ミュージカル「ケイン&アベル」

2025年1月22日(水)〜2月16日(日)
東京都 東急シアターオーブ

2025年2月23日(日)〜3月2日(日)
大阪府 新歌舞伎座

スタッフ

原作:ジェフリー・アーチャー
音楽:フランク・ワイルドホーン
歌詞:ネイサン・タイセン
編曲:ジェイソン・ハウランド
振付:ジェニファー・ウェーバー
脚本・演出:ダニエル・ゴールドスタイン
翻訳:小田島創志 / 一川華
訳詞:竜真知子
音楽監督:塩田明弘

出演

ウィリアム・ケイン:松下洸平
アベル・ロスノフスキ:松下優也
フロレンティナ:咲妃みゆ
ザフィア:知念里奈
ケイト・ブルックス:愛加あゆ
ジョージ・ノヴァク:上川一哉
マシュー・レスター:植原卓也
リチャード・ケイン:竹内將人
ヘンリー・オズボーン:今拓哉
アラン・ロイド:益岡徹
デイヴィス・リロイ:山口祐一郎
飯塚萌木 / 榎本成志 / 加藤翔多郎 / 古賀雄大 / 咲良 / 佐渡海斗 / 島田彩 / 德岡明 / 富田亜希 / 中村ひかり / 廣瀬喜一 / 堀部佑介 / 本田大河 / 町田睦季 / 萬谷法英 / 宮内裕衣 / 宮田佳奈 / 森下結音 / 森山大輔 / 米澤賢人
スウィング:磯部杏莉 / 後藤裕磨
有澤奏 / 小暮大智 / 髙橋輝 / 萩原ゆめの / 古澤利音 / 山口亜美菜

公演・舞台情報
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読者の反応

キキ🌼 @kikinokimochi

ゲネと会見の記事、これもとても詳しい。解説がわかりやすくて良いです
⚠️ネタバレ嫌な人は注意⚠️
#ケインとアベル #松下洸平 #松下優也 https://t.co/0mwVloieLb

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