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バレエ「アレコ」は、バレエ・シアター(現在はアメリカン・バレエ・シアター)により1942年に初演された作品。「アレコ」の背景画全4作品は、20世紀を代表する画家マルク・シャガールがバレエ「アレコ」のために制作したもので、現在、同美術館のアレコホールに展示されている。約56年ぶりの上演となる今回は、シャガールによる「アレコ」の背景画をバックに、タイトルロールを務める大川航矢らプロのバレエダンサーと、オーディションで選ばれた県内の子役ダンサーがパフォーマンスを披露する。
会見には、演出・振付を手がける宝満直也、アレコ役を務める牧阿佐美バレヱ団の大川、ゼンフィラ役を務めるNBAバレエ団の勅使河原綾乃、ロマの若者役を務めるNBAバレエ団の北爪弘史、青森県立美術館の杉本康雄館長が登壇した。宝満は「バレエは総合芸術と言われていますが、『アレコ』はまさにそれを体現したような作品。シャガールの絵画と自分たちのクリエーションを調和させることができるなんて、素晴らしい機会をいただいたと感じました」と喜びをにじませる。
また、宝満は「アレコ」のストーリーについて、「文明社会に嫌気が差し、放浪の旅に出たロシア貴族の青年アレコは、旅の途中でロマの一団に所属する娘ゼンフィラと出会い、惹かれ合います。しかし、奔放なゼンフィラはロマの若者と恋に落ちてしまう。2人の逢瀬を目撃したアレコは、彼らを刺し殺してしまいます」と解説。これを踏まえ、大川は「嫉妬や狂気に駆られるアレコの残虐性にフィーチャーするよりも、アレコが本当は純粋な青年であること、そんな彼の心が移り変わっていく様子を、バレエを通してお客様にお伝えしたいです」と意気込みを語る。
勅使河原は「バレエ作品で男女の三角関係が描かれる場合、男性がほかの女性に惹かれる作品はあるのですが、女性がほかの男性に惹かれる作品は少ないので、まずそこに驚きました。ゼンフィラがどのような人物なのかを自分なりに解釈して、突き詰められたら」と意欲を見せ、北爪は「ロマの一員らしく、自由な人間として役を立ち上げられたら」と抱負を述べた。
なお、大川と勅使河原が共演するのは今回が初。大川は、今年2・3月にNBAバレエ団で行われたリハーサルを振り返り、「勅使河原さんは自分の身体を自由に動かすことができ、なおかつ繊細な表現力を持った素晴らしいダンサー」と勅使河原を絶賛。勅使河原も「アレコの陰の部分を見事に表現されていて、普段の穏やかな大川さんとのギャップに惹き込まれました」と大川を讃えた。
会見の最後に宝満は「クラシックバレエが好きな方はもちろん、バレエを観たことがない方にも楽しんでもらえる作品になると思います。ぜひ会場へお越しいただけたら」とコメント。青森県出身の大川は「生まれ育った土地で踊ることができて幸せです。青森でプロのダンサーのパフォーマンスを観られる機会はあまりないと思うので、ぜひ観に来てください」と観客に呼びかけた。
青森県立美術館版 バレエ「アレコ」
2024年11月1日(金)~2024年11月4日(月・振休) ※公演終了
青森県 青森県立美術館 アレコホール
スタッフ
原作:アレクサンドル・プーシキン叙事詩「ジプシー」
演出・振付:宝満直也
原曲:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲「ピアノ三重奏曲イ短調作品50」
音楽監修:冨田実里
編曲:中原達彦
出演
アレコ:大川航矢
ゼンフィラ:勅使川原綾乃
ロマの若者:北爪弘史
※学割、親子ペアチケットあり。
青森県立美術館 @aomorikenbi
【会見レポート】シャガールの絵画をバックに踊る、青森県立美術館版 バレエ「アレコ」大川航矢らが意気込み https://t.co/VeT6CKImOE