公演の公式サイトには「サスティナ、ぶる。インクルーシ、ぶる。見えざるものと、生きる。」というキーワードが記されている。江本からのコメントは以下の通り。
江本純子コメント
“見えすぎるもの”が溢れている現代では、“見えないもの”の存在を忘れがちで、破綻を迎えたりします。本来この世界は”見えないもの”ばかり、ならば、いっそ“見えないもの”と暮らしてみたいものです……。
今作の劇空間を構築するにあたり、宮崎県の山で生息していた「カズラ」を、こども園yattaraの皆さんから移送してもらいました。植物的には強者なカズラ。放っておいたら自分が生きる領域をすくすく広げてしまうので、他の命(水や他の植物)ものびのびと生きられるようにと、伐採したり、少し動かしたりするそうです。植物界の強者がのさばらないようにするためには、人間の手を少し加えていくことも必要なんですね。
人間界では強者が弱者を犠牲にして、のさばっちゃうようなところありますが、今生き心地がよくない人には、誰が(何が)どのような手を差し伸べればいいのだろう、と考えました。今だけではなく、数百年先の生命の風通しをよくするために、私たちは何をすればいいのだろう? ひとりの人間の直接的介入では、到底力及ばずなので、小さな「媒介」を重ねた、命の循環のためのバタフライエフェクトを目指します。
シアターが命をつないでいく場所であるならば、見える命も見えない命も心地よく存在し、生きているGardenになるはずだと希望を持ちたいところです。しかし、毛皮族としては、宮崎から強制連行してきてしまったカズラの命を、このシアターにて生かすことができるかとできるのかと、カズラの人権ならぬ植権を守りながら、インクルーシブしていけるのかと、悩ましいところです。……シアターにいる皆さんと共に考えていきたいポイントでもあります。
毛皮族「Gardenでは目を閉じて」
2021年11月20日(土)~28日(日)
東京都 ザ・スズナリ
作・演出・ビデオ監督:
出演:原口洋平、
ビデオ出演:
ステージナタリー @stage_natalie
毛皮族、映像とパフォーマンスを重ねて物語を構築「Gardenでは目を閉じて」(コメントあり)
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