拷問の果てに“自尊心”を獲得するのは?稲葉賀恵演出「墓場なき死者」に土井ケイトら

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オフィスコットーネプロデュース「墓場なき死者」が、来年2月上旬に東京・駅前劇場で上演される。

オフィスコットーネプロデュース「墓場なき死者」速報チラシ

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本公演は、ジャン=ポール・サルトルの戯曲「墓場なき死者」を、文学座の稲葉賀恵が演出するもの。出演者には、土井ケイト田中亨中村彰男富岡晃一郎渡邊りょう池田努阿岐之将一柳内佑介武田知久山本亨が名を連ねた。

作中では、1944年に行われたノルマンディー上陸作戦後のフランスを舞台にした物語が展開。稲葉は内容について「ドイツに協力するフランス人がレジスタンス側のフランス人を拷問するという、当時のヨーロッパからしてみると救いのない、大変衝撃的な物語」と触れつつ、「自分が価値ある優れた人間であるのかどうか、拷問する側とされる側が泥仕合の中で『自尊心』を獲得するために這いずり回るさまは、いつの時代にも蔓延る、本質的な人間の心理そのものに迫っています。この箱庭の中の人間たちを観察することで、今私たちが生きている姿そのものを見つめ直すような作品になれば」とコメントした。

稲葉賀恵コメント

サルトルの戯曲というと「出口なし」「汚れた手」などが有名ですが、「墓場なき死者」はこれまであまり上演されてこなかった作品です。

この作品はノルマンディー上陸後のフランスの様子が描かれています。ドイツに協力するフランス人がレジスタンス側のフランス人を拷問するという、当時のヨーロッパからしてみると救いのない、大変衝撃的な物語だったと思います。

ただ、時を経て今現代この事象を見ると、圧倒的な俯瞰の目でもって、半ば滑稽に人間模様を見つめている作家の目線に気が付きます。

自分が価値ある優れた人間であるのかどうか、拷問する側とされる側が泥仕合の中で「自尊心」を獲得するために這いずり回るさまは、いつの時代にも蔓延る、本質的な人間の心理そのものに迫っています。

この箱庭の中の人間たちを観察することで、今私たちが生きている姿そのものを見つめ直すような作品になれば、今はサルトルの言葉と対話しながらそんなことを思っています。

ご期待くださいませ。

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オフィスコットーネプロデュース「墓場なき死者」

2021年2月上旬
東京都 駅前劇場

作:ジャン=ポール・シャルル・エマール・サルトル
翻訳:岩切正一郎
演出:稲葉賀恵
出演:土井ケイト田中亨中村彰男富岡晃一郎渡邊りょう池田努阿岐之将一柳内佑介武田知久 / 山本亨

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