愛嬌のある“無力感”を、キム・ジョンが松井周の新作立ち上げる「神の末っ子アネモネ」

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キム・ジョン演出、松井周作の「神の末っ子アネモネ」が、11月2日から15日まで「フェスティバル/トーキョー20」のオンライン会場・F/T remoteにて配信される。

「神の末っ子アネモネ」より。

「神の末っ子アネモネ」より。

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キムは、昨年「フェスティバル/トーキョー19」で松井の戯曲「ファーム」を演出。今回の「フェスティバル/トーキョー20」では、キムが韓国で上演した松井の新作「神の末っ子アネモネ」公演映像を配信する。本作は、ヨハン・アウグスト・ストリンドベリの戯曲「夢の劇」を、松井が“コスプレ”など現代カルチャーを通じて再解釈・再構築したもので、劇中では主人公・神の娘が、人間界を巡る物語が描かれる。

作品について、松井は「去年のF/Tで拙作『ファーム』を力強く蘇らせてくれた演出家キム・ジョンさんに再び遊んでもらえるように、何よりみなさまに、愛嬌のある『無力感』を味わってもらえるように書き上げます。ご期待下さい」、キムは「我々は今『克服』を語り合っていますが、出会いのない演劇に何の意味があるだろうかと自信がなくなってしまいます。現実が演劇になり、演劇が夢になってしまった時間、出会いのない演劇はいったいどのような形になるでしょうか」と、それぞれ公式サイトでコメントしている。配信時間は約1時間40分。上演は韓国語だが、日本語・英語字幕に対応している。

なお、ステージナタリーでは「神の末っ子アネモネ」の特集を展開中。特集では本作の制作過程や秘話、コロナ禍においての作品づくりについて、キムと松井が語っている。

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松井周 コメント

原作である「夢の劇」の主人公は「神の娘」です。みじめな人間たちの世界を見て回るのに、奇跡も起こせません。この「無力感」を救いたい。というか、この「無力感」こそが救いと考えて自分なりの妄想を加えて作品を書いています。今回のコロナ禍においては、私たちはたびたびこの「無力感」に襲われているはずです。でもそれでも人や動物や植物や光や熱や音や味を求めることをやめられなくないですか? 今まで気づかなかった欲求に気づくことはないですか? 去年のF/Tで拙作「ファーム」を力強く蘇らせてくれた演出家キム・ジョンさんに再び遊んでもらえるように、何よりみなさまに、愛嬌のある「無力感」を味わってもらえるように書き上げます。ご期待下さい。

キム・ジョン コメント

「出会いのない演劇」

会えない時代、やっと1つひとつの舞台作品を作り上げながら、毎回別れをする気持ちになります。

いつまた会えるだろうか。未来には演劇なんか消えてしまい、まるで昔話の中に存在する夢のようなものになってしまうのではないか。

F/Tは、私にとって何も恐れず挑戦し、思いっきりやってみることができる、かけがえのない場所でした。

舞台は、精一杯走り回れる野原であり、限りなく飛んでいける青空でもありました。

我々は今「克服」を語り合っていますが、出会いのない演劇に何の意味があるだろうかと自信がなくなってしまいます。現実が演劇になり、演劇が夢になってしまった時間、出会いのない演劇はいったいどのような形になるでしょうか。

「神の末っ子アネモネ」

2020年11月2日(月)~15日(日)
F/T remote(オンライン会場)

原案:ヨハン・アウグスト・ストリンドベリ「夢の劇」
作:松井周
翻訳:イ・ホンイ
演出:キム・ジョン
出演:イ・エリン、カン・サンギュ、クォン・スンロク、イム・ヨンジュン、キム・ギルチャン、パク・ジョンテ、パク・ヒョンスク、イム・ミジョン、キム・ジヒ、イ・チュンウ、カン・アリム、キム・ヒユン、チョン・ダウン、ユク・セジン、ファン・ソンヨン、ヨン・ジュハ、ノ・ミンヒョク、チャン・ジョンソン

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