「フェスティバル/トーキョー20」が、10月16日から11月15日まで開催される。
フェスティバル/トーキョー(F/T)は、国内外の先鋭的なアーティストを招聘し、同時代の舞台芸術を多角的に紹介する芸術祭。13回目の開催となる今回は、「想像力どこへ行く?」をテーマに、感染症対策を講じたうえで新しい上演・上映スタイルを探りながら実施される。プログラムには、舞台美術家コレクティブ・セノ派、Hand Saw Press、ドイツのファビアン・プリオヴィル・ダンス・カンパニー、
F/Tのディレクターを務める
長島確・河合千佳コメント
無数の想像力が、いまこの瞬間にも、どこかのドアを開けに行こうとしています。
ふだんとは違う人の移動や出会いが起こる機会になることが、フェスティバルの大切な機能のひとつだと、F/Tでは考えてきました。なぜなら移動や出会いは、未来に何かが生まれる可能性につながるからです。とくにアートは、経済合理性と無縁とは言えないまでも、わたしたちを無意識に縛る効率や常識からあえて距離を置き、意外な通路、入口や出口を作れるはずだと信じています。
ところがご存知のとおり、ヒトの移動や出会いが極端に難しくなる事態が、今年になって世界的な規模で起こりました。COVID-19の大流行により、移動や出会いの意味がすっかり変わってしまい、それらのリスクとありがたみの両方が剥き出しになっています。国と国の間だけでなく、都道府県の間や、家の内と外の間、人と人との間にまで、突如国境が出現したかのようです。
こんな状況だからこそ、想像力が大事だと、誰もが思っているはずです。困難な状況に置かれている人々のことを考えなければならない。来るべき事態に備えなければならない。しかし想像力は、いつもそう都合よく働くとはかぎらないこともわかっています。第一わたしたちは、今年の初めまで、この事態を想像すらできていませんでした。それにわたしたちは、よいこと、真面目なことばかりを想像するわけでもありません。手に負えない想像力が、わたしたちを食べてしまうこともある。もう想像するのに疲れてしまっているかもしれない。
それでも想像力が止まらないのは、自分のこと、人のこと、社会のこと、世界のこと、とくにそれらの未来のことを、わたしたちが気にせずにはいられないからだと思います。感染症との付き合いが長期にわたると予想されるなか、どれだけ形を変えてでも、国内外含めた交流の通路を確保し、未来に何かが生まれる可能性を耕しつづけることが必要だと考えて、フェスティバルの開催を決めました。からだに制限がかかっても、想像力とともに開けられるドアがあるし、想像力が生み出す現実があります。
今年の会期がさまざまな参加者の方たちとともに出会いの意味をアップデートする機会となるように、まずはアーティストやパートナーの方々と実現可能な色々な形を探っている最中です。新しい状況は随時お伝えしていきます。秋にお会いするのを楽しみにしています。
「フェスティバル/トーキョー20」
2020年10月16日(金)~11月15日(日)
東京都 東京芸術劇場、あうるすぽっと、トランパル大塚、豊島区内商店街、オンライン会場 ほか
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ゆうた @yuta1009
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