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チャップリンファン松本幸四郎が「街の灯」原作の歌舞伎に挑む「今がやるとき」

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令和元年12月歌舞伎公演「近江源氏先陣館ー盛綱陣屋ー」「蝙蝠の安さん」取材会より。(提供:国立劇場)

令和元年12月歌舞伎公演「近江源氏先陣館ー盛綱陣屋ー」「蝙蝠の安さん」取材会より。(提供:国立劇場)

東京・国立劇場の12月歌舞伎公演「近江源氏先陣館ー盛綱陣屋ー」「蝙蝠の安さん」の取材会が11月8日に行われ、松本白鸚松本幸四郎が登壇した。

「盛綱陣屋」は、敵味方に分かれて戦う佐々木家の兄弟・盛綱と高綱を描いた物語。今作で白鸚は、祖父・初代中村吉右衛門と父・八代目松本幸四郎から継承した盛綱を28年ぶりに勤める。「蝙蝠の安さん」は、チャールズ・チャップリンの映画「街の灯」を原作に、木村錦花が脚色した作品。1931年に初演されて以来、約88年ぶりに上演される本作の主人公・蝙蝠の安さんを幸四郎が演じる。なお白鸚・幸四郎にとって、本公演が襲名後初の国立劇場出演となる。

「盛綱陣屋」について、白鸚は「若い頃に『木の芽会』という勉強会で初めて盛綱を勤めました。そのときは父に加え、初代播磨屋の娘である母が一緒になって教えてくれたことをよく覚えております」と振り返り、「当時は無我夢中でしたが、その頃の気持ちを忘れずに、新鮮な気持ちを失わないように演じたい」と意気込みを述べた。また、幼少期に、本作のクライマックスである“首実検”のごっこ遊びをやっていたと明かす白鸚は「盛綱が敵対する弟・高綱の首だと思って見たのが“偽りの首”で、『ああよかった、弟ではない』と安心する……今にして思うと、そんな心理描写を子供心に感じていたのだと思います」と語りつつ、「(“首実検”の場の)数分間を、義太夫の太棹の音だけでもたせていて、本当に素晴らしい心理描写になっています。ぜひご覧いただきたい作品ですし、私の盛綱をお見せすることによって、お客様がなにか心に感じていただければ」と観客にメッセージを送った。

チャップリンのファンで、長年「蝙蝠の安さん」の上演を待望していたと言う幸四郎は「ようやく実現することになり、本当に感激しております」と喜びをあらわにし、「今年は、チャップリン生誕130周年。また命日である12月25日にも上演ができ、さらに今回、花売り娘お花を演じる坂東新悟さんのお祖父様・坂東好太郎さんも『蝙蝠の安さん』という映画に出演されていました。これは計画してできることではありません。まさに『今がやるときだったんだ』と実感しております」と言葉に力を込める。また、無声映画である原作とは違い、本作を「たくさんしゃべっているお芝居でございます(笑)」と笑い混じりに表現した幸四郎は「映画の中のボクシングのシーンは、リズミカルでダンスのような雰囲気を残しながら相撲に置き換え、また水に落ちそうなトリッキーな動きやステッキに帽子という姿など、チャップリンの世界観も残していきたいと考えています」と構想を語った。公演は12月4日から26日まで。

令和元年12月歌舞伎公演「近江源氏先陣館ー盛綱陣屋ー」「蝙蝠の安さん」

2019年12月4日(水)~26日(木)
東京都 国立劇場 大劇場

「近江源氏先陣館ー盛綱陣屋ー」

作:近松半二

出演者
佐々木三郎兵衛盛綱:松本白鸚
高綱妻篝火:中村魁春
信楽太郎:松本幸四郎
盛綱妻早瀬:市川高麗蔵
後室微妙:上村吉弥
四天王:澤村宗之助
四天王:大谷廣太郎
竹下孫八:松本錦吾
伊吹藤太:市川猿弥
和田兵衛秀盛:坂東彌十郎
古郡新左衛門:大谷友右衛門
北條時政:坂東楽善
ほか

「蝙蝠の安さん」

原作:チャールズ・チャップリン「街の灯」
脚色:木村錦花
補綴:国立劇場文芸研究会
脚本考証:大野裕之
演出:大和田文雄

出演者
蝙蝠の安さん:松本幸四郎
花売り娘お花:坂東新悟
上総屋新兵衛:市川猿弥
井筒屋又三郎:大谷廣太郎
海松杭の松さん:澤村宗之助
お花の母おさき:上村吉弥
大家勘兵衛:大谷友右衛門
ほか

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