岩松了の新作「空ばかり見ていた」開幕、森田剛「大きな感情の波が起こる」

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「空ばかり見ていた」が本日3月9日に東京・Bunkamura シアターコクーンで開幕する。これに先駆け、昨日8日に同劇場にて公開ゲネプロが行われた。

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019「空ばかり見ていた」より。

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Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019「空ばかり見ていた」より。

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岩松了森田剛が初めてタッグを組む本作は、岩松にとって約4年ぶりとなるシアターコクーンでの新作公演。森田は自身に当て書きされた、反政府軍の兵士・多岐川秋生を演じる。ゲネプロでは、全2幕中の第1幕が公開された。

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019「空ばかり見ていた」より。

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秋生(森田)ら反政府軍(新名基浩大友律高橋里恩三村和敬)は、吉田満(村上淳)をリーダーに、廃校を利用したアジトに身を隠しながら生活していた。そんな中、満の妹・リン(平岩紙)が暴漢に襲われる事件や、満に対して不信を覚えざるをえないような出来事、そして政府軍のスパイ侵入が発生。事態はさらに複雑さを増していく。

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019「空ばかり見ていた」より。

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兵士に保険に勧誘する田中(筒井真理子)や、兵士の息子に派手な装いで会いに来る登美子(宮下今日子)など、登場人物たちはどこか非現実的な言動で、虚実入り混じった世界に観客を誘う。使い手を失い、時が止まった教室の中で、空の明暗だけが時間の流れを語り、夕日に映える校舎は、物事が終わりに向かっていることを感じさせた。

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019「空ばかり見ていた」より。

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開幕に際し、森田は「登場人物たちは、いずれも単にいい人という風に言い切れない、ザラザラした感じがあるのが魅力のような気がしています。だからこそ、リアルな人間として映るのではないでしょうか」と本作を紹介。さらに観客に向け、「その場面、瞬間ごとに出てくる人々のやりとりによってストーリーが動いていきますが、感情移入していただければ、観ている方それぞれの中で、大きな感情の波が起こると思います」とメッセージを送っている。

上演時間は20分休憩を含む約2時間50分。東京公演は3月31日まで行われ、4月5日から10日までは大阪・森ノ宮ピロティホールにて大阪公演が行われる。

森田剛コメント

いよいよ劇場入りして、ようやく初日がきたなと感じています。ここに至るまでの稽古はとても充実していて、毎日みっちりと取り組んできました。岩松さんの演出は、やればやるほど深みにはまっていく面白さがあり、戯曲のわからないところを自分なりに想像しながら埋めていく作業がすごく楽しかったです。噂の千本ノックもあり、厳しさと優しさの両方を感じました。登場人物たちは、いずれも単にいい人という風に言い切れない、ザラザラした感じがあるのが魅力のような気がしています。だからこそ、リアルな人間として映るのではないでしょうか。その場面、瞬間ごとに出てくる人々のやりとりによってストーリーが動いていきますが、感情移入していただければ、観ている方それぞれの中で、大きな感情の波が起こると思います。稽古場で本当にいい時間を過ごすことができたので、自分は岩松さんの言葉を信じて、共演者の皆さんを信じて、舞台の上でやるべきことをやるだけだと思っています。

勝地涼コメント

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019「空ばかり見ていた」より。

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稽古の後半に、森田さんと「このシーン、台詞はこういうことなんじゃないか」といろいろ話ができたのが僕の中では大きかったです。最終的には、2人で全部決めなくてもいいね、という話になったのですが。登場人物それぞれが違うことを考えながら、物語が進んで行ったほうが面白いと思うんです。それによって反政府軍のアジトで起こる出来事に対して、観た人に想像を膨らませてもらえるはずですから。僕自身、土居に対する感じ方は日々変化していますし。岩松さんのホンはいい意味でわからないところがある分、本番を通してさらに探っていく面白さがあると感じています。土居が踊るような動きをするシーンがあって、岩松さんからどうして欲しいと言われないだけにちょっと難しい。僕にコンテンポラリーダンスは求めていないと思うので、どう表現するかと考えています。

平岩紙コメント

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019「空ばかり見ていた」より。

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劇場に入って珍しくちょっとソワソワしている自分がいます。それはきっと自分の中で、まだまだ進化していく余白があると感じているからかもしれません。岩松さんが「誰もが人の前で役を演じている」とよくおっしゃるのですが、リンもそう。反政府軍の男の人たちの中に入って自分も役に立ちたい、強くなりたいと願う一方で、秋生と2人きりになると甘えたり、素に戻るので、本当は普通の女の子なのだなと感じます。内戦中の話で、兵士たちが銃を持っている姿を見たりすると、嫌だし怖いなと思うんです。そうした背景がありつつ、時間軸がずれたりする展開に、いつもの岩松さんの世界観よりもファンタジーを感じるというか。何よりシチュエーションごとの会話が面白く、一人一人のキャラクターにも物語があるので、お客様にもそれを感じていただけたらいいなあと思っています。

村上淳コメント

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019「空ばかり見ていた」より。

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岩松さんと初めて演出家と俳優として対峙して、尊敬の念しかないです。圧倒的な演出はもちろん、のちにみんながこの戯曲に挑戦するんじゃないか、というくらいの大きなものに触れている気がするんです。僕が岩松さんの作る芝居が好きなのは、かっこいいから。何だかわからないけれど惹かれるという、つまり余白があるんです。年齢を重ねるごとに理論で物事を考えるようになったりしますが、俳優としても、そういう余白は残しておきたいなと思います。シアターコクーンは27歳の時の「四谷怪談」以来なので18年ぶり。当時は演出の蜷川幸雄さんにボコボコにダメ出しされて、今回は岩松さんから千本ノックを受けて同じ気持ちになりました。45歳の今、そういう場があるのは幸せだなと。稽古場でもらった宝の言葉が自分に刻まれた感覚があります。それを手放さずに誠実に演じていきたいですね。

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Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019「空ばかり見ていた」

2019年3月9日(土)~31日(日)
東京都 Bunkamura シアターコクーン

2019年4月5日(金)~10日(水)
大阪府 森ノ宮ピロティホール

作・演出:岩松了
出演:森田剛勝地涼平岩紙筒井真理子宮下今日子 / 新名基浩大友律高橋里恩三村和敬二ノ宮隆太郎豊原功補村上淳

※高橋里恩の「高」ははしごだかが正式表記。

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