記憶のヤマとタニを行き来する「pet」開幕、植田圭輔「ケガしちゃうような作品」

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「舞台『pet』─壊れた水槽─」が本日12月5日に東京・草月ホールで開幕。これに先駆け、公開ゲネプロと囲み取材が行われた。

「舞台『pet』─壊れた水槽─」ゲネプロより。

「舞台『pet』─壊れた水槽─」ゲネプロより。

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「舞台『pet』─壊れた水槽─」ゲネプロより。

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三宅乱丈のマンガ「ペット リマスター・エディション」は、他者の脳内に潜り込み、記憶を操作する特殊能力を持った少年たちの生き様を描くサイキックサスペンス。演出・脚本を伊勢直弘が手がける舞台版には、植田圭輔谷佳樹萩野崇君沢ユウキ伊勢大貴あまりかなりが出演する。

「舞台『pet』─壊れた水槽─」ゲネプロより。

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物語は、ステージの中央に座ったヒロキ(植田)の独白からスタート。原作に登場する登場人物たちがヤマやタニといった記憶の中を縦横無尽に移動する様子は、舞台に投影される映像で表現された。また劇中では、舞台奥に設けられた5つのドアや客席通路を駆使し、劇場全体を使ってドラマが展開されていく。

「舞台『pet』─壊れた水槽─」囲み取材より。

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ゲネプロ後に行われた囲み取材には、植田をはじめ、司役の桑野、悟役の谷、林役の萩野、柏木役の君沢、ロン役の伊勢、ジン役のあまりが登壇した。原作を最初に読んだ際の感想を問われると、口をそろえて「難解」「理解できないと思った」と話すキャストたち。しかし読み込んでいくうちに、それぞれ感じ方が変わっていったようで、植田は「ストーリーを理解すればするほど、依存し合っている2人の様子だったり、それぞれのキャラクターの人間関係を色濃く描いた、社会派な作品だなと感じた。2.5次元と言われる作品とは程遠いような、気合いの入った作品になるなと感じました」と話し、また桑野も「世界観は深いけど、実は人間の欲望だったり、執着だったり、嫉妬だったり、私生活を生きていて感じることがたくさんある。観てもらうお客様にもそういったところで共感いただけるかなと思います」と続ける。

当初読んだときは「映像向きな作品」と思っていたという萩野も、「稽古を重ねるに連れて、キャストと芝居をやっていくうちに非常に演劇的だなと思うようになった」とコメント。伊勢は「(原作の)絵のタッチが、気合いが入るところになればなるほど線が細くなるのがすごく独特だなと思った。読めば読むほど、『この人はどう考えてるのかな?』とキャラクターにも三宅さんにも思うようになり、それを舞台上で表現したいなと思いました」と描線についても言及した。

「舞台『pet』─壊れた水槽─」ゲネプロより。

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続いてそれぞれが演じる役を紹介。植田が「とにかく司に依存しまくっていて、喜怒哀楽すべての感情が振り切れているような役です。“喜怒哀楽お化け”のような役どころですね」と口火を切って笑いを誘い、ここからはキャストたちがそれぞれの役を“○○お化け”と表現していく流れに。桑野は司について「物語の世界観、空気を支配するような役どころ。役者冥利に尽きる役をいただいたなと感じています」と語りつつ、セリフの量の多さが尋常ではないと付け加え、“セリフお化け”と紹介。谷は「悟はヒロキの対というか、ライバル関係のような真反対な役。悟は悟なりの人生があるので、そこをどこまで掘り下げて見せられるか。しっかり表現したい」と意気込みつつ、回答に詰まり、「“銀髪ピアスお化け“かな?」と外見の特徴からひねり出した。

「舞台『pet』─壊れた水槽─」ゲネプロより。

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続く萩野は林について「悟や司にヤマを分け与えた、親みたいな立場なので、”お父さんの悩みお化け“」、君沢は「特殊なキャラクターが多い中で、僕はタダの殺し屋。お客さんの目線になれる唯一の存在だなと思うので、”お客さんお化け“」、あまりは「かなり心配性な面が見受けられるから、”心配性お化け”」と順に発言。伊勢は「自分の目的にまっすぐであるからこそ貪欲で、絆も道具として使ってしまう残酷なキャラ。だから”自分の手を汚さないお化け“?」と表現するも、「”卑怯お化け“じゃない?」と周りのキャストからツッコまれていた。

「舞台『pet』─壊れた水槽─」ゲネプロより。

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最後に観客へのメッセージを求められると、植田は「アニメ化も決定しており、それに先立って舞台第1弾をやらせていただくことが本当にうれしい。こんなにもお芝居が大好きなメンバーが集っていて、短い稽古期間だったけど必死でやりました」と初日を迎えての思いを語り、「タイトルの『pet』に甘さや柔らかさやを期待して来ると、もしかしたらケガしちゃうような作品に、いい意味でなっている。皆様の心に鉛のような鈍いものを残して終幕できたら、我々メンバーの思惑通りなんじゃないかなと思います。しっかり重みをお芝居に乗せて、皆さんのもとに届けられたら」と観客へメッセージを送った。

公演は12月9日までで、上演時間は約2時間を予定している。また来年2019年には「舞台『pet』─虹のある場所─」が上演されるほか、テレビアニメも放送予定だ。なお植田はアニメでも声優として主演を務める。

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「舞台『pet』─壊れた水槽─」

2018年12月5日(水)~9日(日)
東京都 草月ホール

原作:三宅乱丈「ペット リマスター・エディション」(ビームコミックス/KADOKAWA)
協力:テレビアニメ「pet」
総合監修:なるせゆうせい
演出・脚本:伊勢直弘

キャスト

ヒロキ:植田圭輔
司:桑野晃輔
悟:谷佳樹
林:萩野崇
桂木:君沢ユウキ
ロン:伊勢大貴
ジン:あまりかなり

アンサンブル:佐藤輝、田中崇士

「舞台『pet』─虹のある場所─」

2019年上演予定

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(c)三宅乱丈・KADOKAWA /舞台「pet」製作委員会

読者の反応

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ばんび☆れいこ @Bambi015

ヒロキの拠り所である司のイメージ、水の中の心地よさがまだ残ってる…すごい舞台だ😳

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