2019年2月から4月にかけて上演される、
本作は、岩井が東京・東京芸術劇場 プレイハウスで手がける初めての作品であり、岩井にとって初の音楽劇となる。音楽劇への挑戦について岩井は「もともとミュージカルは好きで、でも『ミス・サイゴン』や『レ・ミゼラブル』のように、時代背景がデカいものしかミュージカルには向かないのかなと思っていました。だから僕が“やる”のはきっと違うんだろうなって思ってたんです」と話す。「でも歌や音楽って、ある瞬間に起きた、ごく個人的なことも拡大して届ける力がある。そういう視点で考えると、僕が普段書いている家族や身の周りのことも、ミュージカルに広げられる可能性が大いにあるんじゃないかと。その感覚から今回はスタートしました」と本作への思いを語った。
そのきっかけの1つとして、17年に森山未來や前野と共作したコドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」の影響が多かったと岩井は続ける。「『なむはむだはむ』では、音楽がかかっていたとしても音楽に関係ない身体でいることや、逆に好きなときに音楽に寄っていってもいいという居方ができた。またマエケン(前野)と創作する中で、例えば夜とかタンスとか、人間ではないものの視点から歌が作れることも知って、音楽はすごいなと。今回もそういうことがやってみたい」と意気込みを語った。
「松(たか子)さんと
松尾は取材前日に本作のあらすじを知ったと言い、「すごくひどい話だよね! 松さんと瑛太くんと僕が同級生って……びっくりしました。もはやどこをどうがんばればいいのか、わからない(笑)」と戸惑いを見せると、岩井は「いや、これは同級生の話ですね」とキッパリ。さらに「松尾さんには8歳くらいから演じてもらいます」と続ける。岩井は近作同様、今回も取材をもとに脚本を書いたと言い、「(モデルになったのは)まあまあ長い付き合いの人だったんですが、話を聞いてみたら『書いてみたいな』と思う、すごい人生で」と説明。松尾は「北九州の出身の役なんです。(自身が北九州生まれなので)故郷に背を向けて出てきたっていうある種の罪悪感からか、その設定からもう、重荷なところがある」と続け、「岩井くんはタフなんだろうな。4年間引きこもったり、自分に暴力をふるってたお父さんを自分で演じたりって、俺にはできないことだから」と続けると、岩井は「いやいや松尾さんこそでしょ!」と力強く切り返した。
さらに松尾は、岩井の新刊エッセイ「やっかいな男」を読んだと明かし、「子供のころ、岩井くんは自分以外がすべて書割だと思っていたというくだりを読んで『怖い人だな』と(笑)。『世界は一人』というタイトルにも通じるものがあると思いました」と話す。岩井が「子供のときって、そういうふうに思ってませんでした?」と尋ねると「書割とは思ってないけど、主体はもっと別のところにあって、神様がこの世界を見せてるっていう感覚はありましたね」と松尾が返答。「それ何歳くらいのときですか?」(岩井)、「小学校3年生くらい」(松尾)、「ほら、8歳! 8歳ってそんな感じですよ!」(岩井)とテンポよく会話が進み、会場は再び笑いに包まれた。
作品の要となる音楽については、「こういう曲を書いてほしいというオーダーは全然ない」と前野。さらに前野は「岩井さん自身が曲も作るし歌を書ける人なので、一緒にスタジオに入って、なんとなくもう、曲を作り始めています」と説明し、「僕は街に出て、街の人の歌を作ることが多いんですけど、岩井さんも誰かが経験した話を舞台にされていて、やっていることがすごく近いなと。舞台を観ても岩井さんの作品には歌のようなものを感じるので、岩井さんが音楽劇をやることに全然違和感はないです」と岩井への信頼を語った。
最後に松尾は「岩井くんの新作はやっぱり気になりますよね。今回、そこに興味があったし、公演期間も長いから楽しい座組になればいいなと思ってて。この期間はお芝居のことだけ考えられるようにしているので、ゆっくり楽しみたいです!」と意気込みを述べる。岩井は「観たことがないものにはなると思うので、ミュージカルが好きな人もまったく観たことがない人も、人に興味がある人はみんな来てください」と観客にメッセージを送った。
本作の出演者には松尾のほか、
「世界は一人」
2019年2月24日(日)~3月17日(日)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス
作・演出:
音楽:
出演:
※宮城・仙台、長野・上田、三重・津、大阪、福岡・北九州でも公演あり。
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