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歌舞伎「NARUTO」開幕、巳之助&隼人が大立廻り「冗談抜きでノンストップ」

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新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」囲み取材より。左から中村隼人、坂東巳之助。

新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」囲み取材より。左から中村隼人、坂東巳之助。

新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」が本日8月4日に東京・新橋演舞場にて開幕。これに先駆けて昨日3日に同会場で公開舞台稽古と囲み取材が行われた。

本作は、忍たちが壮絶な闘いを繰り広げる岸本斉史によるマンガ「NARUTO-ナルト-」を原作とした新作歌舞伎。うずまきナルト役を坂東巳之助、うちはサスケ役を中村隼人、うちはマダラ役を市川猿之助片岡愛之助が交互に勤め、2011年に新作歌舞伎「東雲烏恋真似琴(あけがらすこいのまねごと)」を手がけたG2が脚本・演出を担当する。なお昨日の公開舞台稽古では愛之助がマダラ役を演じた。

3幕構成となる本作では、原作コミック全72巻からナルトとサスケの関係性を描いたエピソードを軸としたストーリーが展開。序幕では忍五大国の1つ、火の国を襲った巨大な狐の化け物・九尾が、木ノ葉隠れの里の長である4代目火影とその妻によって、生まれたての赤児の腹中に封印されたことが語られる。その10数年後、忍者学校を卒業した下忍のナルト、サスケ、春野サクラ(中村梅丸)は、上忍・はたけカカシ(嘉島典俊)のもと、里の転覆を狙う宿敵・大蛇丸(市川笑三郎)の陰謀を阻止する任務に就くことになる。

危険な禁術を習得している大蛇丸との戦いに苦戦するナルトたちだったが、大蛇丸と同様に“伝説の三忍”と呼ばれた自来也(市川猿弥)、綱手(市川笑也)が参戦したことで、勝負は拮抗する。また3者の口寄せの術によって、城壁の裏に巨大な蛇、蝦蟇(がま)、蛞蝓(なめくじ)が出現した。

忍として強くなるため、ナルトが自来也に、サクラが綱手に師事する第2幕の場面では、修行の様子を舞によって表現。一方、サスケは大蛇丸を利用して、自身の一族を滅ぼした実の兄・うちはイタチ(市瀬秀和)への復讐を果たそうとしていた。

この第2幕には、各里の“抜け忍”ら猛者が集う組織・暁を率いるマダラが登場し、復讐心に取り憑かれたサスケをなんとか奪還しようとするナルトと、それを食い止めようと立ちふさがる暁メンバーの干柿鬼鮫(安田桃太郎)、イタチとサスケの因縁の兄弟対決が描かれる。ナルトが得意とする影分身の術は、複数の俳優が登場する演出によって再現され、ナルトの螺旋丸やサスケの千鳥といった必殺技、サクラの医療忍術は発光する小道具を俳優が手に持つことによって表現。また大掛かりな忍術や、ナルトが怒った際に力の制御が効かなくなる“九尾化”には、プロジェクションマッピングが用いられた。

物語の終盤、第3幕の大詰では、超越的な力を得たマダラ、そしてナルトとサスケとの死闘が繰り広げられたほか、スピーディな大立廻りや3人による見得、本水を使って表現される熾烈なバトルなども見どころの1つとなっている。

巳之助は禍々しい九尾の力に取り込まれそうになりながらも、“己の忍道”を貫き通す熱血漢のナルトをまっすぐに、コミカルに演じた。隼人は、自らの復讐のために心を殺すサスケの陰の部分をスマートに演じる一方で、サスケがうちは一族の隠された真実に翻弄される様を体現した。

舞台稽古前に行われた囲み取材には、巳之助と隼人が衣装を身に付けて登場。記者から、ビジュアルの再現度の高さを絶賛された巳之助は「(ポスターを)見て知ってたでしょう?」と切り返して笑いを誘う。続く隼人は衣装について「帯や縄だったり、歌舞伎でも使うものを利用しているので、マンガとは違う魅力も出たかなと思います」と述べつつ、サスケの“写輪眼”を表現するために初めてコンタクトレンズを付けたことを明かし、「こんな異物を付けてるなんて、世の中のすべてのコンタクトユーザーを尊敬します!」とコメント。これに対して普段からコンタクトを使っていると言う巳之助は「もっと俺を尊敬しろ!」と返し、会場を大きな笑いで包んだ。

巳之助は「全72巻という原作の物語を3時間弱の上演時間に収めなければならないので、『ここをやらねばなるまい』という選りすぐりの場面をやっています。冗談抜きでノンストップで進みます」と作品を解説。また隼人は、アクションシーンについて「今回はアクション部の方々に入っていただいているので、歌舞伎ではなかなかないようなアクションが多い」と語る。巳之助はこれに同意しつつ「我々2人も原作が好きで読んでいた身なので、ファンの方々にがっかりして欲しくないという気持ちでやっています」と意気込みを語った。

話題がG2の演出のことに及ぶと、隼人は「歌舞伎では演出家さんがいる作品はなかなかないので、事細かに観てくださるのが心強いです」と述べる。巳之助は「僕はG2さんとは2度目ですが、今回は『歌舞伎を作りたい』という思いが強くおありなので、できることには協力させていただいております」と答えた。

さらに隼人は劇中音楽のことに触れ「和楽器バンドさんに書き下ろしていただいた曲がエンディングで流れます。歌舞伎の和のテイストの中にロックが混ざる、というのが新しいのではないかなと」と明かす。マダラ役で交互出演する猿之助と愛之助について巳之助は「お二人の個性も強く出ていますし、それぞれが持つ色やこだわりポイントも違う。どちらのバージョンも観ていただきたいです」と観客に呼びかけた。

記者から「もし本当に忍者になったらやってみたいことは?」と尋ねられた巳之助は「“多重影分身”ですかね。ナルトの影分身の特徴は、分身が元に戻ったときに、分身が経験してきたことが自分に還元されるので、1000人に分身して1時間稽古したら1000時間稽古したことになるという(笑)」と語ると、隼人は「いいですよね。セリフを覚えるのも楽になりますよ(笑)」と笑顔で続けた。

大盛況で幕を閉じた「スーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』」の話題が報道陣から持ち出されると、巳之助は「極端に言えば、『ワンピース』の作風が“陽”なら、『NARUTO』は少し“陰”の部分がある作品なので、まったく違う作品として観ていただけたら」と2作品の違いを述べる。最後に巳之助は「始まりから終わりまですべてが見どころで、スピーディかつ濃密な作品になりました。原作をご存知ない方にも楽しんでいただけると思います、ぜひ足をお運びください」とアピール。隼人は「暑い時期ですが、舞台に水が流れて涼しいシーンもありますので、どうぞよろしくお願いします!」と挨拶し、取材を締めくくった。上演時間は途中休憩を含む約3時間55分を予定。公演は8月27日まで。

新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」

2018年8月4日(土)~27日(月) 
東京都 新橋演舞場

原作:岸本斉史「NARUTO-ナルト-」(集英社 ジャンプコミックス)
脚本・演出:G2

キャスト

うずまきナルト:坂東巳之助
うちはサスケ:中村隼人

綱手:市川笑也
大蛇丸:市川笑三郎
春野サクラ:中村梅丸
うちはイタチ:市瀬秀和
はたけカカシ:嘉島典俊
自来也:市川猿弥

うちはマダラ:市川猿之助片岡愛之助(交互出演)

ほか

(c)岸本斉史 スコット/集英社・『NARUTO -ナルト-』歌舞伎パートナーズ

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