歌舞伎「NARUTO」製作発表で坂東巳之助&中村隼人「ワンピース超えてみせる」

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8月に東京・新橋演舞場で上演される新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」の製作発表記者会見が、本日4月27日に東京都内で行われた。

新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」製作発表記者会見より。左から中村隼人、坂東巳之助。

新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」製作発表記者会見より。左から中村隼人、坂東巳之助。

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本作は岸本斉史のマンガ「NARUTO-ナルト-」を原作とした新作歌舞伎。うずまきナルト役を坂東巳之助、うちはサスケ役を中村隼人、うちはマダラ役を市川猿之助片岡愛之助が交互出演で勤め、2011年に新作歌舞伎「東雲烏恋真似琴(あけがらすこいのまねごと)」を手がけたG2が脚本・演出を担当する。

G2

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会見には巳之助、隼人、G2、松竹株式会社の安孫子正取締役副社長が出席。「大変なことを仰せつかった」と切り出したG2は、原作について「(単行本で)全72巻という膨大な物語ですが、1ページごとにアイデアと情熱が込められている」と言及しつつ、今回の歌舞伎化について「今後の歌舞伎界を背負って立つであろう若いお二人が活躍し、大先輩方にも力を存分に発揮していただく。楽しみでしょうがありません。台本はお二人(巳之助と隼人)と相談しながら作っている段階です」と述べ、「絶対にいいものができるに違いないという期待感に満ちております」と自信をのぞかせた。

さらにG2は「『NARUTO-ナルト-』をどのように歌舞伎にするのか、よく質問をされます」と話し、「必ず『どうやって歌舞伎にすると思いますか?』と聞き返します(笑)、いまだに『誰か教えて!』という気持ちです」と会場の笑いを誘う。そして「歌舞伎のケレン味も含め、原作の持つドラマ性を深め、人と人との絆がくっきり浮かび上がるような作品にしたいです」と展望を語った。また原作のどのエピソードを描くかについては「全72巻ありますが、全部です。頭から最後までのナルトとサスケの関係を描きたい。膨大な世界を貫く1本のストーリーを作りつつあります」と明かした。

坂東巳之助

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続いて巳之助は「10歳のころ、祖母に第1巻を買ってもらった」とマンガ「NARUTO-ナルト-」との出会いについて回想し、「20年近い歳月を経て、私がナルトを勤めさせていただける。こんなに感動的なことはない。スーパー歌舞伎『ワンピース』をはじめ、同世代の中では珍しいレベルで共演の多い隼人くんと2人でナルトとサスケの物語を描けることうれしく思います」と喜びをあらわにした。

また巳之助は原作の魅力について「アクションシーンが爽快で、アニメーションや実写映像を観ているかのように(キャラクターが頭の中で)スムーズに動きます」と語り、物語については「ナルトとサスケはそれぞれ違った孤独を抱え、必要とし合いながらもすれ違う。その部分を大切に、丁寧にお見せしたいです。歌舞伎ですので、立廻りらしい部分も盛り込みながら再現していけたら」と意気込んだ。

中村隼人

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一方、隼人は「『ワンピース』が歌舞伎になると聞いたとき『NARUTO-ナルト-』の方が歌舞伎に合うんじゃないかなと感じていました。『ワンピース』は大ヒット公演になりましたが、それを超えられるよう、G2さん演出のもと作っていければ」と気合十分な様子。原作マンガについては「中学生ぐらいから読んでいまして、稽古のご褒美に『週刊少年ジャンプ』を買ってもらっていました」とエピソードを明かし、「自分が憧れたヒーローの出てくるマンガを歌舞伎で上演することができるということに、時代の変化を感じます」とコメント。また「巳之助兄さんとお互い刺激を与えながら勤められれば」と意気込みを述べた。そして自身が演じるサスケについて「兄に復讐するために抱えている深い闇や孤独感など、役作りをして深めていけば、ナルトの明るさが立つかなと。陰の部分をくっきり見せたい」と述べた。

新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」製作発表記者会見より。左から中村隼人、坂東巳之助。

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続いて原作者・岸本からのメッセージが代読された。メッセージの中で岸本は「僕の描いた歌舞伎用のナルトとサスケのカット両キャラクター共に、新ビジュアルのおふたりの立ち姿と脚の構えが偶然にも一致していたのです。それはつまり、おふたりと僕の中のナルトとサスケのキャラクターに対する捉え方にズレが無いと言う事です」とコメントし、「思いっきり思うがままに演じて下さい!」と俳優陣にエールを送った。これを聞いた巳之助は「涙が出そうになるくらいうれしい。この言葉を胸に刻みつけて臨みたいです」、隼人は「岸本先生を感動させるような作品にしたいです」と決意を新たにした。

新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」製作発表記者会見より。左から中村隼人、坂東巳之助。

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また会見では本作に和楽器バンドが楽曲提供をすることも発表され、同バンドのボーカル・鈴華ゆう子からのメッセージが代読された。鈴華は「日本を代表する作品に私たちが音楽で関われる事に、昔から『NARUTO-ナルト-』が大好きなメンバー一同興奮しております」と喜びを表す。これを受けたG2は「新しい歌舞伎を作る上で、歌舞伎が持っている音楽を使いながらも、何か新しいサウンドを取り入れたいと思っていました。新しい世界観の融合が生まれるといいなと」と期待を語った。

新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」キービジュアル

新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」キービジュアル[拡大]

続いては、うちはマダラ役の猿之助と愛之助から届いたビデオメッセージが披露された。猿之助から「ワンピース歌舞伎という高い山を越えてください!」、愛之助から「全力で立ち向かってきてください!」と呼びかけられ、巳之助は「越えてみせます!」、隼人は「大先輩方からいろんなことを吸収して(2人を)倒しに行きたいです」と笑顔で答えた。

続く質疑応答で演出プランについて記者から尋ねられたG2は、「オリジナルストーリーにする手もありましたが、原作に忠実な形でも歌舞伎の発想でやると絶対に変わるはず。今は岸本先生の書いたセリフだけで本を構成しております」と明かし「なるべく歌舞伎の手法を取り入れながらも新しい歌舞伎にしたいです」と回答。最後に巳之助は「キャラクターの内面をなるべく深くピックアップしつつ、派手な演出も取り入れていくと思います。ナルトとサスケの人生がお客様に響くような舞台になれば」と語り、隼人は「不思議なことに普段やっている古典での立廻りの形が、『NARUTO-ナルト-』のマンガのカットに合ったり、歌舞伎と『NARUTO-ナルト-』の相性はいいと思います。そういう部分を舞台に組み込めたら」と会見を締めくくった。公演は8月4日から27日まで東京・新橋演舞場にて。チケットの一般販売は6月23日に開始される。

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新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」

2018年8月4日(土)~27日(月) 
東京都 新橋演舞場

原作:岸本斉史「NARUTO-ナルト-」(集英社 ジャンプコミックス)
脚本・演出:G2

キャスト

うずまきナルト:坂東巳之助
うちはサスケ:中村隼人

綱手:市川笑也
大蛇丸:市川笑三郎
春野サクラ:中村梅丸
うちはイタチ:市瀬秀和
はたけカカシ:嘉島典俊
自来也:市川猿弥

うちはマダラ:市川猿之助片岡愛之助(交互出演)

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(c)岸本斉史 スコット/集英社 ・『NARUTO -ナルト-』歌舞伎パートナーズ

読者の反応

お稽 @white9plumeria

岸本さんのコメントを読んでうるっと来てたら、みっさまも泣きそうになってた。

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