アーティストたちはどんなファッションで稽古に臨んでいるのか? ステージナタリーが送る演劇人の稽古着コレクション、略して「ケイコレ」では、普段あまり見られない彼らの稽古場での姿をご紹介。稽古中のアーティストに数日間の稽古着姿を披露してもらい、ファッショニスタの共演者、いつか手にしたい稽古アイテム、公演の見どころなどを教えてもらう。
Vol.23には、
米村は現在、三浦にとって約3年ぶりの新作舞台「COCOON PRODUCTION 2021『物語なき、この世界。』」の稽古中。警官用の自転車と、その横に立つスタイリッシュな米村のミスマッチ感がなんともキュートだ。こだわり抜いた稽古着姿も素敵だが、写真と共に寄せてくれたテキストの行間からは、早稲田大学政治経済学部出身のエリートである米村の、隠しきれない知性がにじみ出ている。
Day1
adidas FIREBIRDセットアップ。舞台役者にとって上下adidasはサラリーマンのスーツのようなものです。稽古初日などはこの服装で臨めば気合い入ってると思ってもらえます。ソビエト時代からadidasの人気が絶大なロシアでは婚礼の衣装としても着用されるそうです。
Day2
Patagoniaバギーズ5インチ。夏場は短パンしかはかないんですが、今のところ人生でこれを超えるものに出会ったことがないです。内側にライナーが付いていてノーパンで済むのでとてもエコなのですが、本番のとき、たまに下着を持って行くのを忘れて慌ててコンビニに買いに行く羽目になります。
Day3
寅壱2530シリーズのニッカ。動きやすく汚れにくく耐久性もあって洗濯したらすぐ乾く。まさに日本の“キング・オブ・ワークウェア”です。来日したフランス人は建築現場の作業員の方が寅壱を着ているのを見て、日本の労働者はコムデギャルソンで作業するのかとびっくりするそうです。
稽古着におけるこだわりは?
演劇では稽古開始から公演楽日まで何度も繰り返し同じシーンを演じなければならないので、どうしてもマンネリに陥りそうになります。それを打破するためにも、できるだけ毎日違う格好をして精神を新鮮に保つように心がけています。ある公演でご一緒した先輩が「一度着た服はもう二度と着たくない」とおっしゃっていたのに感化されて、自分も毎日違う服装をすることにチャレンジしたのですが、2週間くらいで挫折しました。
「稽古着おしゃれだな!」と思う共演者は誰ですか?
岡田将生くんのY-3のセットアップがすごく素敵です。
いつか手にしたい憧れの稽古アイテムは?
2018 グッチのダッパー・ダン コレクション。
COCOON PRODUCTION 2021「物語なき、この世界。」で特に注目してほしいのはどんなところ?
シアターコクーンのような大きな劇場では、遠い席のお客様にも表現を届かせるために演者は演技の出力を大きくするものなのですが、今回はリアリティを損なわないために、OFF・OFFシアターくらいの小さな劇場で演じる感覚で臨んでいます。いわゆる“静かな演劇”は大きな劇場でも可能なんだ、ということを実証できればと思います。可否のほどはぜひとも劇場にお越しいただいてご検分ください。
プロフィール
1977年、熊本県生まれ。早稲田大学在学中にポツドールの三浦大輔と出会い、2000年以降、すべての公演に出演。近年では「娼年」「そして僕は途方に暮れる」「母 MATKA」、KAKUTAや城山羊の会などの公演に出演。主演映画「いっちょんすかん」を含む「うつくしいひと」シリーズ(監督:行定勲)など、映像作品にも出演している。
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