舞台とわたしの新しい日常

舞台とわたしの新しい日常 Vol.4 [バックナンバー]

唯月ふうかの、稽古着披露

「ポイントは着心地と、リンゴのワンアクセント」

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9月、演劇界では劇場公演に加えて映像配信も併用しながら、観客に作品を届ける日々が続いている。アーティストたちはそんな“新しい日常”で、舞台にどう取り組んでいるのか。このコラムでは公演を控える舞台人に“とっておきの稽古着”姿を披露してもらい、今の思いを語ってもらう。

第4回に登場するのは、ほっそりとした小柄な体にエネルギーをみなぎらせる俳優・唯月ふうか。16歳のときに「ピーターパン」のタイトルロールで本格的にミュージカルの道を歩み始めた彼女は、数々の舞台でかれんな笑顔とパワフルなパフォーマンスを披露し、観客を魅了してきた。また「レ・ミゼラブル」では恋に破れて命を落とすエポニーヌの悲哀を繊細に表現し、「絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』」ではきりりとした勝気な女勝負師・お光と、上品でしとやかなおさちの2役を見事に演じ分けるなど、その高い演技力でも存在感を放つ。今年4月には主演ミュージカル「VIOLET」が新型コロナウイルスの影響で公演中止になったが、同作は9月上旬、3日間限定の“復活”上演を果たした。8月下旬、久々の舞台出演に向けてエンジン全開の唯月が見せてくれたのは、とある先輩俳優が愛用していたというTシャツで……。

唯月ふうか

ステイホームでは“推し”に癒やされ……大先輩のTシャツでリスタート

保坂知寿から譲り受けたTシャツは、黒と白のストライプ地にリンゴがあしらわれたポップなデザイン。ドットとハートがちりばめられたリンゴと、動物のシルエットが愛らしい。「稽古着には、汗が目立ちにくい黒を選びたい」と唯月。

保坂知寿から譲り受けたTシャツは、黒と白のストライプ地にリンゴがあしらわれたポップなデザイン。ドットとハートがちりばめられたリンゴと、動物のシルエットが愛らしい。「稽古着には、汗が目立ちにくい黒を選びたい」と唯月。

お気に入りの稽古着は、2018年に「夢の裂け目」で共演した保坂知寿さんにいただいたTシャツです。好きなポイントは着心地がいいことと、黒なので汗をかいても目立ちにくいところ!(笑) 黒と白のストライプ柄を基本に、リンゴがワンアクセントになったデザインもかわいいですよね。これは保坂さんが昔着ていたそうで、「体型が似ているから、もしかしたらふうかちゃんも着られるかも」といただきました。着ていると「かわいいね」と言ってもらえることが多くて……そのたびに「保坂さん、ありがとうございます!」と思っています(笑)。

「ミュージカル 生きる」の歌稽古に取り組み始めた唯月(左)。

「ミュージカル 生きる」の歌稽古に取り組み始めた唯月(左)。

ステイホーム中は、普段から続けている発声練習や筋トレを欠かしませんでした。あとはAmazon Prime VideoとU-NEXTで映画を観たり、YouTuberさんの動画を観たり、大好きなテレビアニメ「Free!」を1話から観直したり。「Free!」では松岡凛くん(編集注:男子水泳部を描くアニメ「Free!」のキャラクター。主人公・七瀬遙のライバル的存在)が大好きで……好きすぎて「凛くーん!!」って家で1人もだえていました(笑)。自粛中は寂しさもありましたが、凛くんに助けられましたね。またリモートドラマ「ただいまオンライン喧嘩中」や、「デスノート THE MUSICAL」キャストによる「私のヒーロー We All Need A Hero」歌唱動画、フランク・ワイルドホーンさん企画の「Finding Wonderland」歌唱動画などに出演しました。公演中止が続いたときにお誘いをいただいて、私と同じように悲しんでいる方に少しでもポジティブな気持ちになってもらえたらと参加しました。完成した歌唱動画を観たら、ほかのキャストの方々と一緒に歌ったような懐かしい感覚を味わえて、「今は舞台を再開するときのための準備期間なんだ」と、私自身も前向きになれました。

4月の公演が中止になった「VIOLET」は、奇跡的に3日間だけ上演できることになりました(編集注:9月4日から6日まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスで上演された)。もちろん公演はうれしいですが、久しぶりの舞台で主演を務める責任を思うと、実は少し怖かったりもします。でも成河さんや吉原光夫さんのような先輩方と改めてご一緒し、台本を深く読み込んでいくと、3月のお稽古では発見できなかったヴァイオレットの感情がどんどん見えてきました。素晴らしい機会をいただけたことにご縁を感じますし、今は「やってやるぞ!」と思っています。

「ミュージカル 生きる」歌稽古中の唯月。稽古では手洗いうがい、手指の消毒、マスクを常に着けるなど、基本的な感染予防を心がけている。

「ミュージカル 生きる」歌稽古中の唯月。稽古では手洗いうがい、手指の消毒、マスクを常に着けるなど、基本的な感染予防を心がけている。

10月には「ミュージカル 生きる」再演に出演します。この作品には、さまざまな尺度で“迷う人”の背中を押してくれるメッセージが込められていると思います。長い自粛期間を経て動き出そうとするとき、戸惑ったり悩んだりする方がきっといらっしゃると思うので、「生きる」を通して「あまり気負わず、もう1度踏み出してみませんか」とお伝えできたらうれしいです。

プロフィール

1996年9月8日生まれ、北海道出身。2012年に第37回ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞し、2013年から2016年までミュージカル「ピーターパン」に出演。主な出演ミュージカルに「アリス・イン・ワンダーランド」「デスノート THE MUSICAL」「スウィーニー・トッド」など。周防正行監督の同名映画を原作としたミュージカル「舞妓はレディ」では主演を務めた。2020年は2月に「絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』」、9月にミュージカル「VIOLET」に出演。10月の「ミュージカル 生きる」再演ののち、2021年には2月にミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」、5月にミュージカル「レ・ミゼラブル」が控える。また2020年秋に発売されるミュージカル「四月は君の嘘」コンセプトアルバムにも参加している。

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