NICO、4年ぶりAXワンマンは自由奔放すぎる2時間半に

昨日10月2日、NICO Touches the Wallsが全国ツアー「NICO Touches the Walls TOUR 2012 "ALGORHYTMIQUE"」の東京公演をSHIBUYA-AXにて行った。

NICO史上最長というだけでなく、メンバー自身が「バンド史上一番自由」なツアーを公言している今回の「ALGORHYTMIQUE」。ツアー3公演目にあたる昨日のライブは、プレイはもちろんのこと、MCも自由奔放な前代未聞の一夜となった。

単独でSHIBUYA-AXに立つのは、2008年の「We are NICO Touches the Walls. ～A Queen of the Night～」以来4年ぶりとなった彼ら。割れんばかりの拍手と大歓声に迎えられた4人は、引き締まった表情でステージへ上がった。古村大介（G）は両手を広げ、光村龍哉（Vo, G）は親指を立てて準備万端であることを示す。そしてどっしりとしたグルーヴが生み出されるナンバーから、徐々にエンジンをかけていった。

ちなみにこのツアーでは、セットリストを公演ごとに変えて進行。久しぶりに演奏する曲や、初披露となる楽曲も随所で混ぜ込み、ときにはオーディエンスを驚かせるアレンジや演出も加える。「体と心の感覚を頼りに、最後まで楽しんでいってください」という光村の言葉に続き届けられた「夕立マーチ」では、イントロから古村のギタリストとしてのこだわりが炸裂。ギミックに富んだフレーズがオーディエンスの耳を惹き付けていく。久しぶりに披露された「B.C.G」は、以前よりテンポを速め攻撃性をあらわにするアレンジが繰り広げられ、逆に「Aurora (Prelude)」はテンポを落とし音数を絞ることで光村の“歌”を引き立てるなど、バンドの成長ぶりをアピールする。さらに中盤では「灼熱のアレンジ！ 覚悟しておけよ」と新旧の楽曲に斬新なアレンジを施し、次々と披露していくコーナーも。ここでは曲が始まるたびに、どよめきと歓声がフロアに響きわたった。

そして昨日のライブでは、新曲「チェインリアクション」も披露された。古村のエッジの効いたギターと、坂倉心悟（B）の奏でる太いグルーヴがぶつかりあうこの曲は、めまぐるしく曲が展開していく高速チューン。対馬祥太郎（Dr）の刻むトライバルなビートによって不可思議な空気が作り出され、光村もシャウト混じりのボーカルで応戦する。NICOの新境地を示すような複雑なサウンドを、オーディエンスは体を揺らしながら聴き入っていた。

またこの日、さまざまなアレンジとともにオーディエンスに衝撃を与えたのはアンコールのMCだった。ライブの流れを崩さないように、本編は挨拶程度にとどめていたメンバーだったが、アンコールで一気に緩い雰囲気に。古村が「人が多いね」と観客に笑顔で手を振ってマイペースぶりを発揮すれば、坂倉は「今日のライブは最高でしたね。余は満足じゃ」とはにかんでみせる。対馬に至っては韓国から来たというオーディエンスに挨拶をしているうちに、なぜかT-ARAの曲を踊るハメに。「ちょっとだけ……」と言いながらワンコーラスを踊りきるという芸達者ぶりを披露し、メンバーと観客を爆笑の渦へと巻き込んだ。

公演ごとに何が起きるかわからない「NICO Touches the Walls TOUR 2012 "ALGORHYTMIQUE"」は、イベント出演や毎年恒例の「1125（イイニコ）の日ライブ」を挟みつつ23公演を実施。12月20日の大阪・オリックス劇場公演まで約2カ月にわたって繰り広げられる。

なおNICO Touches the Wallsは、ツアー終盤の12月19日にニューシングル「夢1号」をリリースする。光村によれば本作は「NICO史上一番不思議な曲ができました。オレが歌っているんだけど、オレが歌ってるんじゃないみたいな」というナンバー。今後バンドのYouTube公式チャンネルでは「ニューシングル『夢1号』ができるまで」と題した動画が、不定期で公開されていく予定なので楽しみにしておこう。

さらにシングルには開催中のツアーのライブ音源が収録されることも判明した。現時点で収録内容は決定しておらず、続報に注目が集まるところだ。