「千葉の星になる!」NICO地元凱旋公演で高らかに宣言

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3月20日、幕張メッセイベントホールにてNICO Touches the Wallsの全国ツアー「NICO Touches the Walls TOUR2012 "HUMANIA"」の追加公演「Ground of HUMANIA」の千葉公演が開催された。

「Ground of HUMANIA」幕張メッセイベントホール公演の模様。

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光村龍哉(Vo, G)

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古村大介(G)

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坂倉心悟(B)

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対馬祥太郎(Dr)

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千葉出身の彼らにとって地元凱旋公演というだけでなく、本編のツアーを含めて最もキャパシティの大きい会場となったこの日。地元だからこその緊張と特別な空気が入り交じった一夜となった。

4人のハーモニーが会場を満たす中ライブが始まると、紗幕には宇宙空間が映し出され、少しずつ地球全体から街を行き交う人々の姿にフォーカスしていく。ドクロをあしらったツアーロゴが投影された瞬間、聴こえてきたのは「Heim」のイントロを奏でる光村龍哉(Vo, G)の口笛。ワンプレーズが終わると穏やかな歌声と、坂倉心悟(B)、古村大介(G)、対馬祥太郎(Dr)が奏でる柔らかなアンサンブルが重なっていく。意表を突く1曲目にオーディエンスが息を詰めて見入る中、紗幕が落ちステージがあらわになり、坂倉と古村が前へ飛び出し「衝突」がスタート。さらに間髪入れずに「業々」を爆音で叩き付け、一気に観客のボルテージを沸点へと導いた。光村は「NICO Touches the Wallsがここ千葉に帰ってきた! 大暴れする準備はできてるか?」と叫び、バンド側の準備は万端であることをアピールする。古村が弾くゴキゲンなメジャーコードが炸裂する「友情讃歌」では早速コール&レスポンスを展開。広い会場をひとつにまとめあげ、さらに「ホログラム」で爽快な空気を作り出した。

「ようやく生まれ育った千葉に戻ってきました。千葉にようこそ!ってホームぶってみたけどデカイ!」と緊張を紛らわすように会場を見渡した光村。「今日は最高の夜にすべく、全国を回ってバンドの演奏をあたためてきました!」と宣言し、インディーズ時代の「泥んこドビー」から次のパートに突入する。懐かしいナンバーで観客を歓喜させると、迷宮をさまようような映像とのコラボレーションで「Endless roll」を演奏。坂倉のメロディアスなベースとサポートの野間康介(Key)のシンセサイザーの音色が曲に奥行きを与え、楽曲の持つスケール感を増幅させていく。続いて、光村がエレキギターからアコースティックギターに持ち替えて演奏されたのは「波」「恋をしよう」というタイプの異なるラブソング2曲。ギターのボディを叩く丸い音から始まった「波」では、セピア色に統一された映像が切ないサウンドを彩り、「恋をしよう」は野間の軽やかなピアノがAOR的な雰囲気を演出した。

しかし甘いムードも、対馬の野太いドラムに導かれて始まった「極東ID」で一変する。ジャジーなアンサンブルに乗せて、色気と妖しさを秘めたボーカルが響き、それに呼応するように古村と坂倉の表情も引き締まる。この曲の間奏では、本編のツアーと同様にメンバー紹介兼ソロが行われ、光村が音頭をとり「大人な曲にあわせて、大人なエピソード」を次々と披露する。しかし、カッコいいエピソードに終始せず、笑いを提供するのがNICOならでは。「千葉出身のNICO Touches the Wallsと言ってるとき、黙ってそれに頷く東京都民の俺」と紹介された坂倉や、「地元に帰ったとき、ロケット花火じゃなく線香花火を選んでるとき」とアナウンスされた対馬は、特に大きな笑いを呼んでいた。

笑いに満ちたメンバー紹介と、各々の卓越したソロのギャップで観客を魅了したあとはひと息ついてMCに。光村は「今回の『Ground of HUMANIA』は本編とは違うツアーで。もっともっとNICO Touches the Wallsとしての『HUMANIA』を目指して、セットリストを組んできました。全て千葉に捧げる思いで1曲1曲やります」と述べ、クライマックスに向けて突き進んでいく。

真っ赤なライトがステージを覆い、ドラマチックな空気が漂った「トマト」を皮切りに、よりダンサブルなアレンジに進化した「カルーセル」や、光村、古村、坂倉による“弦バトル”が繰り広げられたキラーチューン「THE BUNGY」とジェットコースター的な展開で畳み掛ける。各曲の雰囲気にあわせて、巨大なミラーボールが回ったり、LEDスクリーンに電飾映像が投影されたりと多彩な演出も続々。また「THE BUNGY」では男女分かれてのコール&レスポンスに挑戦し、会場に一体感をもたらした。そして「俺らなりの夏のラブソングです」という宣言から、新曲「夏の大三角形」も初披露。「カルピスウォーター」のCMソングにも起用された同曲は、涼やかなサウンドの中にギミックに富んだギターやトライバルなビートを盛り込んだユニークな構成だ。彼ららしいサマーチューンを観客は拳を上げながら受け止め、演奏が終わると拍手と歓声を送った。

「5人で攻めちゃっていいですか?」という言葉から突入した最終ブロックを飾ったのは、「妄想隊員A」「Broken Youth」といったライブの定番曲。本編最後に演奏されたのは、4人のコーラスが疾走感に拍車をかける「バイシクル」。全力のパフォーマンスを終えたメンバーは、「本当にありがとう」と5000人に感謝を伝え、一旦舞台から去った。

観客の拍手をその場で録音する試みを行ったあと、アリーナエリア後方から地元の高校生吹奏楽団とともに登場するというサプライズから始まったアンコール。「聖者の行進」にあわせて光村はタンバリン、対馬は小太鼓、古村は大太鼓、坂倉はシンバルを鳴らしながら、場内を練り歩く。メンバーは笑顔で観客と触れ合いつつ、ステージへと戻り先程録音したばかりの観客のハンドクラップを使って、この日限りの「手をたたけ」を届けた。

高校生たちが奏でるフレッシュなブラスの音色も加わり、場内は豊かなサウンドスケープに包まれる。光村は「今日はやっぱり緊張しましたが、1人1人の表情を見てたらホントに幸せ者だなって。こんな贅沢な会場でやれて胸いっぱいです」と笑顔を浮かべた。続けて「NICO Touches the Wallsは結成8年なんですが、この8年は決して短くなかったし、ずっといい調子だったわけじゃない。『俺は音楽じゃないな』って落ち込むこともあったけど、1歩1歩の積み重ねがこのライブにつながってるし、その1歩を誇りに思うし、無駄はなかった。もっともっとみんなをいいステージに連れて行きたい。日本を代表するバンドになれるようがんばります」と述べ、かすれた声で「demon(is there?)」を歌い始めた。

LEDスクリーンには今日撮影された会場の写真やオフショットが映し出され、そこにダイナミックなバンドサウンドが重なる。まばゆいライトに照らされた光村は「どんなに神様に嫌われようと、自分の足でがんばって生きろ」と絶叫。そして4人は、故郷に自らの思いを刻み付けるような熱演で凱旋公演のクライマックスを飾った。

地元というプレッシャーのためか、時折緊張を匂わせる場面もあったこの日の4人。本人たちにとって完璧なライブとは言えなかった様子も伺えたが、「もっともっといいバンドになりたい」「俺らがんばって千葉県の星になるからな!」と宣言していたように、新たなスタートを切る凱旋公演となった。

「Ground of HUMANIA」2012年3月20日 千葉県 幕張メッセイベントホール セットリスト

01. Heim
02. 衝突
03. 業々
04. 友情讃歌
05. ホログラム
06. 泥んこドビー
07. Endless roll
08. 波
09. 恋をしよう
10. 極東ID
11. トマト
12. カルーセル
13. THE BUNGY
14. 夏の大三角形
15. 妄想隊員A
16. Broken Youth
17. バイシクル
<アンコール>
18. 手をたたけ
19. demon(is there?)

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