ライブに詰め込まれた2人の思い
羽賀は2014年9月に12期メンバー、横山は2016年12月に13期メンバーとしてそれぞれモーニング娘。に加入。新しい道へ踏み出したいという2人の申し出を受け、2023年頃から卒業時期を含めた話し合いが行われた末、グループとハロー！プロジェクトからの卒業、芸能界からの引退が今年7月に発表された。
本日の公演は9月にスタートした秋のコンサートツアーの千秋楽で、この公演のみに付けられた「with Hope」というタイトル内のワードは羽賀と横山がグループの明るい未来をイメージして考案。セットリストには2人の思い入れのある曲が詰め込まれ、衣装にも彼女たちの意見が反映された。さらに本公演のリハーサル時の様子も含むメンバーの写真がステージセットに飾られるなど、メモリアルな仕掛けが満載。会場に約1万1000人の観客が集まったほか、Huluでの生配信や、全国76館と台北の映画館で実施されたライブビューイングを通して大勢のファンが2人の旅立ちの瞬間を見届けた。
懐かしの楽曲から最新シングルまで
コンサートは2005年発表の楽曲「ラヴ＆ピィ～ス！HEROがやって来たっ。」で開幕。続いて12月3日にリリースされた羽賀と横山にとってのラストシングルの収録曲で、つんく♂が作詞作曲を手がけた「てかHAPPYのHAPPY！」が披露され、横浜アリーナが高揚感で包まれていく。序盤にはファンにとって懐かしのナンバーである「地球が泣いている」もセットリストに。モーニング娘。の長い歴史の中から満遍なく楽曲が選ばれた。
メンバーの写真をスクリーンに映し出す幕間の演出では、羽賀のリクエストにより「Loving you forever」の歌唱音源がバックに流れる。感動的な演出が観客を感慨に浸らせるも、公演中盤にはユニット曲や、イントロが響いた瞬間に歓声とどよめきが起こる「LOVEマシーン（updated 23 Ver.）」を含め計10曲がノンストップで畳みかけられ、ライブの勢いがより一層加速していった。
つんく♂が作詞作曲したもう1つの最新シングル曲「私のラミンタッチオーネ （Lamentazione）」では、悲恋をつづった歌詞が歌謡曲テイストのメロディと合わさり、初期から受け継がれるモーニング娘。のアイデンティティを観客に印象付ける。ライブが終盤に突入すると、モーニング娘。'25は横山のソロダンスなどを盛り込んだメドレーを展開。息つく暇もなく客席を沸かせ続け、ラストスパートでは「君さえ居れば何も要らない」や「わがまま 気のまま 愛のジョーク」を通して昂然たるパフォーマンスを見せつけた。
羽賀と横山がソロで歌った楽曲は
羽賀と横山の名前を呼ぶ熱烈なコールを経て、コンサートはアンコールへ。まずは横山がきらびやかなティアラとメンバーカラーであるゴールドイエローのドレスを着用し、1人でステージに登場。「9年間、たくさんの愛をありがとうございました！」というひと言に感謝の思いを詰め込んだのち、2007年発表の楽曲「Please!自由の扉」を晴れやかに歌唱し、グループから旅立っていく心境を表現した。次に彼女が「シャボン玉」を歌い始めると、「愛する人は」という冒頭の歌詞に続いて観客が「れいなだけ」と声をそろえる。そこにほかのメンバーが合流し、途中のセリフパートでは横山の力強いセリフが会場全体にこだました。
水色のドレスで登場した羽賀は「ゼロから始まる青春」をソロで歌唱。横山が歌った「Please!自由の扉」と同様に、再出発の決意を感じさせるこの曲を優しい歌声で響かせた。そして曲が終わると、メンバーカラーであるオレンジのペンライトの光で染まった客席に向け、挨拶を述べていく。彼女は「アイドルになりたかったわけではなく、モーニング娘。になりたかった。そんな私は、12歳のときに大好きなモーニング娘。の一員になることができました」と切り出し、途中で感極まった様子を見せつつも、幼少期からのモーニング娘。への愛を改めて言葉に。「モーニング娘。になってからも、その“大好き”が薄れたことは一度もありません！ 大好きだった先輩方と同じ時間を過ごせる毎日がうれしくて、かけがえのない同期と同じ気持ちを分かち合って、愛おしすぎる後輩たちがさらに私の人生を彩ってくれて。そんな日々の中で、“好き”という気持ちはさらに増す一方でした。モーニング娘。は、私の人生そのものです。悩んだことも、落ち込んだことも、それ以上にうれしさと幸せで胸がいっぱいになったことも、全部モーニング娘。に教えてもらった大切な時間でした」と笑顔を見せた。
羽賀は感謝の思いを伝えたのち、「私は明日から、また皆様と同じオタクに戻ります。皆様と同じ場所からモーニング娘。を見るのが今の楽しみです。この景色も、この気持ちも、来世まで忘れません」とファンに向けて約束。晴れ晴れとした表情を浮かべると、メンバーと肩を寄せ合いながら、「友情 ～心のブスにはならねぇ！～」をパフォーマンスした。メンバー1人ひとりが挨拶を述べるラストのMCパートでは、リーダーの野中美希が羽賀と横山に向けて「今、胸を張って言いたいことがあります。モーニング娘。はこれから進化を遂げて、成長します！」と力強い言葉で宣言。客席から大きな歓声が沸き起こった。
そして本コンサートを締めくくる楽曲として披露されたのは「涙ッチ」。観客の頭上に放たれた銀テープや、息の合ったシンガロングが羽賀と横山の門出を彩った。
この記事の画像（全11件）
セットリスト
「モーニング娘。'25 コンサートツアー秋 ～Movin' Forward with Hope～ 羽賀朱音・横山玲奈 卒業スペシャル」2025年12月5日 横浜アリーナ
01. ラヴ＆ピィ～ス！HEROがやって来たっ。
02. てか HAPPYのHAPPY！
03. 明るく良い子
04. セクシーキャットの演説
05. HEAVY GATE
06. 地球が泣いている
07. ロマンスに目覚める妄想女子の歌
08. What is LOVE?
09. Give me 愛
10. 大きい瞳
11. Rockの定義
12. Only you
13. ボン キュッ！ボン キュッ！BOMB GIRL
14. 時空を超え 宇宙を超え
15. LOVEマシーン（updated 23 Ver.）
16. インスピレーション！
17. Go Girl ～恋のヴィクトリー～
18. What's Up? 愛はどうなのよ～
19. 私のラミンタッチオーネ （Lamentazione）
20. 笑顔YESヌード
21. 女と男のララバイゲーム
22. 気まぐれプリンセス（23 Ver.）
23. 恋愛ハンター（updated）
24. 自由な国だから
25. Teenage Solution
26. I surrender 愛されど愛
27. 気になるその気の歌
28. One・Two・Three（23 Ver.）
29. 君さえ居れば何も要らない
30. わがまま 気のまま 愛のジョーク
＜アンコール＞
31. Please!自由の扉 / 横山玲奈
32. シャボン玉
33. ゼロから始まる青春 / 羽賀朱音
34. 友情 ～心のブスにはならねぇ！～
35. 涙ッチ
関連人物
NEMO @mtokj307
【ライブレポート】モーニング娘。'25羽賀朱音＆横山玲奈が晴れやかに卒業、リーダー野中美希はグループの進化を約束（写真11枚） https://t.co/F20yIRMdeE