笑いあり涙ありのお祭り騒ぎの始まり
本公演は、蕪木蓮(Vo)の100歳の誕生日を祝う生誕ライブであると同時に、バンドの命名10周年記念ライブでもあるという位置付け。さらに、3月より東京・新宿にて毎月行ってきたフリーライブシリーズ「令和版 風雲!バブル城~ジュリアナの祟り10周年スペシャル☆~」のファイナル公演にも相当するとあって、バンド史上最大規模となる会場には多数のタタラー(ジュリアナの祟りファンの呼称)が集結。笑いあり涙ありのお祭り騒ぎが繰り広げられた。
この日の主役である蕪木が現役の神主であることから、会場の美術コンセプトは“神社”。ステージには「蕪木神社」と書かれた扁額や灯籠などが設けられ、舞台を上下段に分ける末広がり型の朱色の階段、障子戸や障子屏風などで装飾されている。さらにアリーナ内部のみならず、会場入口には多数の奉納旗がずらりと飾られ、物販コーナーでは巫女装束のスタッフが接客。一種のテーマパークのような雰囲気で来場者を楽しませた。
開演時刻を迎え場内が暗転すると、まず大型ビジョンに前説映像が上映される。初心者タタラーでも安心してライブを楽しめるよう、メンバーのプロフィールやコールの入れ方などの基礎知識が懇切丁寧に解説されたのち、ステージ上段の障子戸に3つの人影が浮かびあがった。すると扉がスッと開かれ、和風のコスチュームに身を包んだ江夏亜祐(Dr, Vo)、蕪木、矢島銀太郎(B)の姿があらわになる。そしてオープニングナンバー「キミクロニクル」のイントロが勢いよく鳴りわたると、ステージ上空には紙幣を模した紙吹雪が景気よくばら撒かれ、江夏の耽美的な歌声とともにライブは華々しくその幕を開けた。
続く2曲目の「薄紅色の淡い夢の中で~バブルの呪文はAYATRA~」以降、前半戦は蕪木がメインボーカルを取るバンドスタイルで進行。1曲歌い終えた江夏はドラムセットの設置された舞台上手に収まり、5弦ベースを抱えた矢島およびサポートギタリストのノブは下手側に陣取った。翌桧ダンク冬雪と佐川ネル秋吉のパフォーマー陣はフロント両サイドを定位置に、ダンスのみならずMC進行や煽りで場を盛り上げ続け、蕪木はメインステージから花道、センターステージを縦横無尽に動き回りながら伸びやかなベルベットボイスを響かせていく。彼らに加え、派生ユニット・そのまんま祟りの2人(麻布美佳子、そら♨️るる)がバックダンサーとしてステージに華を添えたほか、楽曲によっては巫女姿のバックバックダンサーらも駆け付けて舞台上をにぎわせた。
トイレ休憩からディスコフィーバータイムへ
ライブが折り返し地点に差しかかると、ふいに佐川による「お待ちかねのトイレ休憩の時間だー!」の甲高い絶叫がこだまし、佐川がDJプレイを、次いで翌桧がそのまんま祟りを従えてタップダンスを披露する余興のコーナーが挟まれる。これを契機にステージはがらりと趣向を変え、「泡沫の罪な夏」から始まった後半戦では江夏がメインボーカルを務めるディスコフィーバータイムが展開された。
江夏はドラム演奏を放棄してマイクを握り締め、矢島もエレキベースを放り出してハイテンションなダンスパフォーマンスに専念する。楽曲テイストの面においても、ディスコ歌謡やビートロック歌謡、J-POP系バラード歌謡など比較的バラエティ豊かだった前半とは打って変わって、後半はユーロビート歌謡一本槍に。彼らはアリーナを周遊するフロートカーも駆使しながら、「令和にバブルを呼び起こす」のコンセプトを端的に体現するサウンドとパフォーマンスを次々に繰り出し、頻繁に組み込まれるコール&レスポンスを通じて会場のタタラーたちとともに狂騒の空間を形成していった。
そんな怒涛のフィーバータイムは、「あーもー!アモーレ!!~アイツのタタリ~」のパフォーマンス後に突然場内に響いた「お時間5分前です。延長どうされますか?」の事務的なアナウンスとともに強制終了。すると楽器隊が大急ぎで位置につき、再びバンドスタイルとなった彼らはラストナンバー「リグレット~君を想い返している~」を蕪木ボーカルできらびやかに披露した。
まずは一発屋にならせてくれ!
アンコールでは、コール&レスポンスならぬコール&コマネチが炸裂する「フタリで、、、」、延々とシンガロングが続くバンドの代表曲「バブリー革命~ばんばんバブル~」の2曲をフィーバースタイルで続けざまにパフォーマンスされた。MCではその「バブリー革命」がバンダイナムコアミューズメントのアーケードゲーム「太鼓の達人」に採用された件に触れ、江夏が「一発屋になりたい。まだ“無発屋”なんで、まずは一発屋にならせてくれ!」と切実な願望を口にする場面も。
そして締めの1曲には、バンドスタイルで披露する「アクシデント」がチョイスされた。キラキラしたシンセサウンドと倍テンビートが鮮烈なポップロック歌謡が大団円ムードを醸成し、オーディエンスを熱狂させる中、曲中のブレイクでおもむろに蕪木が「100歳のお誕生日、お祝いに来てくれて本当にありがとう!」とタタラーたちへ感謝の言葉を投げかける。続けて代々木体育館でワンマンライブを行えている現状について「憧れの場所に来れた。本当に目指すべきはお隣(第一体育館)なんだけど……」と感慨深そうに、しかし複雑な表情で述懐。
言葉を重ねるごとに感極まっていく様子の蕪木は、声を詰まらせながら「約束をするのは好きじゃないんだけど」と前置きしたうえで「第一、目指してもいいですかー!?」と涙ながらに問いかけ、万雷の拍手と歓声を巻き起こした。そんな彼女の尽きせぬ夢に対し、江夏は「もうお金がありません……!」と笑わせつつも、同じく感極まった様子で「ぜひ一緒に叶えてやってください!」と目を潤ませながら懇願。会場を温かな拍手で満たし、バンドのさらなる飛躍への思いをタタラーたちと分かち合った。
セットリスト
「ジュリアナの祟り 蕪木バースデーワンマン 令和版 風雲!バブル城~ジュリアナの祟り10周年スペシャル☆~ FINAL 蕪木城編」2025年6月17日 国立代々木競技場第二体育館
01. キミクロニクル
02. 薄紅色の淡い夢の中で~バブルの呪文はAYATRA~
03. 結論
04. 夏のyou
05. ギリギリ勝負な僕たちは
06. だーりん
07. しゅわわ。なシャララ。
08. 儚きピオニー
09. SAQRA
10. New Scene
11. キミリウム
12. 泡沫の罪な夏
13. キラキラ☆hero
14. 【事勿れ主義】SNSメッセンジャー【痛い人】
15. パンティーナイト♂
16. 紫陽花モードで責めてくれ!
17. 無敵シュプレヒコール~このSを、聴け!~
18. あーもー!アモーレ!!~アイツのタタリ~
19. リグレット~君を想い返している~
<アンコール>
20. フタリで、、、
21. バブリー革命~ばんばんバブル~
22. アクシデント
【公式】ジュリアナの祟り(a.k.a.エナツの祟り) @ayatra_wrs
【ライブレポート】命名10周年!蕪木蓮100歳!ジュリアナの祟り、笑いあり涙ありの代々木第二体育館ライブ(写真8枚) https://t.co/EydiarJwGE