マカロッカーとともにプレイボール!
2015年1月に1stミニアルバム「アルデンテ」でデビューして以降、はっとり(Vo, G)、高野賢也(B, Cho)、田辺由明(G, Cho)、長谷川大喜(Key, Cho)の持ち味を生かした多彩なバンドサウンドやはっとりの独特な言い回しが際立つ歌詞で多くのリスナーを惹き付けているマカロニえんぴつ。彼らは楽曲を通じて恋の酸いも甘いも、粘り強く夢を追う大切さも、死生観も表現してきた。2025年、デビュー10周年を迎えたマカロニえんぴつは結成の地・神奈川にある横浜スタジアムというキャリア最大規模の会場を舞台に、インディーズ期に焦点を当てた6月14日公演、メジャー期にスポットを当てた15日公演の両公演で選び抜かれた“グッドミュージック“を披露した。この記事では初日公演の模様をレポートする。
関東地方の梅雨入りにより、横浜スタジアムは厚い雲に覆われ、開演前から小雨がぱらつく。会場のスクリーンではマカロニえんぴつとゆかりのある新しい学校のリーダーズ、SUPER BEAVER、緑黄色社会、染谷将太、ファーストサマーウイカなどが10周年を祝福し、スタジアム公演に臨むメンバーを激励するビデオメッセージが上映された。ウグイス嬢によってマカロニえんぴつの軌跡が紹介され、「これまでの活動で出会ったマカロッカー(マカロニえんぴつファンの呼称)とともにプレイボール!」という威勢のいいかけ声を合図に現れたのはブラスバンドの面々。にぎやかなサウンドに彩られながら、マカロニえんぴつとサポートの高浦“suzzy”充孝(Dr)はオープンカーに乗り二手に分かれて、スタジアム内をゆっくりと移動しながらメインステージへと向かう。観客の声援を間近で受け止めながら、はっとりは“ロックスターポーズ”を見せつけ、高野、田辺、長谷川は笑顔で手を振った。オープニングSEはThe Beatles「Hey Bulldog」。おなじみのサウンドが流れる中、車から下りてステージに上がるとすぐに、はっとりは拳を突き上げて気合い十分な姿をアピールした。
ハマスタ2日間は無茶じゃなかった
スタジアムライブの幕開けを飾ったのは、マカロニえんぴつの自己紹介ソングとも言うべき「トリコになれ」。ブラスバンドとともに豊かなサウンドを紡いで空に放ち、「鳴らせ」ではエネルギーをぶつけるような演奏でオーディエンスを熱く盛り上げた。その後、はっとりは満員の客席を目に焼き付けるように見渡しながら、「デビュー10周年でとんでもないチャレンジを……言い出したのは誰だ(笑)。『2日間は無茶ですよ』とか泣き言を言ってたんですけど、ソールドアウトしました!」とうれしそうに報告。はっとりが弾く哀愁がにじむギターで始まった「MUSIC」、高野のリズミカルなベースが印象的な「たましいの居場所」では、強まる雨に負けまいと、オーディエンスがハンズアップをしてスタジアムに一体感を作り出した。
「なんでもないよ、」の冒頭では長谷川がはかなく美しいキーボードを奏でて見せ場を作る。マカロニえんぴつの大ヒット曲なだけあって、サビではっとりが客席にマイクを向けると、約3万人の大合唱が響きわたった。スクリーンでマカロニえんぴつのアーティスト写真やジャケットのコラージュ、ライブ映像で構成される幕間映像が流れたのち、アリーナ席の中央付近に位置する回転式の円形ステージでインディーズパートが展開される。「零色」では光の粒がきらめくアニメーションをバックに、切なくも力強いアンサンブルが届けられた。はっとりは「雨ひどくなってない? 逆にエモいかもね? 伝説のライブになるんじゃない?」と観客に声をかけ、「中華街の近くのClub Lizard Yokohama(現在は閉館)で初めてライブをして、10年後にそのライブハウスの近くにあるここに立ってるのが感慨深い。当時は川崎の駅前とか溝の口駅で路上ライブもやってたんですよ。そのときの思い出深い曲を自分たちのためにやります」と下積み時代を懐かしむ。その流れでメンバーはすでに廃盤となっている1stシングルの表題曲「日常と君と僕の歌」でささやな幸福を、廃盤の4thシングル曲「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」では一途な愛情をパフォーマンスを通じて描き出した。さらに、路上ライブでよく演奏していたという「幸せやそれに似たもの」も続け、はっとり、高野、長谷川は時折、雨に打たれながら衝動のままに音を鳴らした。
信じてきた10年間
マカロニえんぴつのマスコットキャラクター・まかぴー、その恋人のまか子、ハマスタおなじみの横浜ベイスターズのオフィシャルパフォーマンスチームdiana(ディアーナ)が「哀しみロック」に合わせてハイテンションに踊ったハーフタイムショーを経て、ライブは終盤へと向かう。真っ赤に染まったメインステージでマカロニえんぴつは長谷川が作曲したブルース調の「前世よ、しっかり」を披露。ブラスサウンドも加わったゴージャスなアレンジに合わせて、はっとりは妖しげなハイトーンや熱烈なシャウトを繰り出す。狂騒的なロックナンバー「ハートロッカー」「ワンドリンク別」が投下されると、降り止むことのない雨をもろともせず、観客は音に身を任せて自由に体を揺らした。
ここからは怒涛の勢いでライブの定番とも言えるナンバーを畳みかけていくメンバー。花火がスパークした「愛の波」では、はっとりが空を指差しながら「雨にも風にも負けど 恨みに鳴らさせるな愛の鐘」と歌い、彼らは熱烈なロックサウンドをスタジアムの舞台に刻み付ける。「STAY with ME」は鮮やかな光のショーとともにパフォーマンスされ、「星が泳ぐ」では「バイバイ」という歌詞をきっかけに何発もの花火が夜空を照らした。壮大な演出が感動的を呼び起こす中、はっとりは「信じてきた10年間、おかげでここに立てました。ありがとう!」と声を張り上げる。そしてマカロッカーの人生を照らすように「ヤングアダルト」を送ったあとには、メンバーが新曲「静かな海」をサプライズで披露。流れるようなキーボードサウンドをきっかけに、普遍的で力強いメッセージを届けた。全23曲を披露し終えたマカロニえんぴつは晴れやかな表情を浮かべ、観客に何度も感謝の思いを伝えていた。
CSテレ朝チャンネルでは8月30日16:00よりスタジアム公演の模様を舞台裏とともにオンエア。9月には10周年を記念した展示ベント「マカロニのQ展」が東京・PARCO GALLERY X BY PARCOで実施される。8月から9月にかけてはマカロニえんぴつのファンクラブ限定のZeppツアー「マカロックツアーvol.20 ~むしろウチらが追っかける!愛を掴んでホールドオン篇~」、2026年1月から4月までホールツアー「マカロックツアーvol.21 ~心を覗いてシラけるより、ことばのシワだけ増やしてゆけ篇~」が行われる。
マカロニえんぴつ「静かな海」MV
セットリスト
「マカロニえんぴつ 10th Anniversary Live 『still al dente in YOKOHAMA STADIUM』」2025年6月14日 横浜スタジアム
01. トリコになれ
02. 鳴らせ
03. レモンパイ
04. 洗濯機と君とラヂオ
05. MUSIC
06. たましいの居場所
07. 恋人ごっこ
08. ブルーベリー・ナイツ
09. なんでもないよ、
10. 零色
11. 日常と君と僕の歌
12. サンキュー・フォー・ザ・ミュージック
13. girl my friend
14. 幸せやそれに似たもの
15. 前世よ、しっかり
16. ハートロッカー
17. ワンドリンク別
18. 愛の波
19. STAY with ME
20. 星が泳ぐ
21. ミスター・ブルースカイ
22. ヤングアダルト
23. 静かな海
放送情報
CSテレ朝チャンネル「マカロニえんぴつ 10th Anniversary Live 『still al dente in YOKOHAMA STADIUM』」
2025年8月30日(土)16:00~
イベント情報
マカロニのQ展
2025年9月4日(木)~9月15日(月・祝)東京都 渋谷PARCO GALLERY X BY PARCO
ライブ情報
マカロックツアーvol.20 ~むしろウチらが追っかける!愛を掴んでホールドオン篇~
2025年8月31日(日)北海道 Zepp Sapporo
2025年9月8日(月)大阪府 Zepp Osaka Bayside
2025年9月9日(火)大阪府 Zepp Osaka Bayside
2025年9月11日(木)福岡県 Zepp Fukuoka
2025年9月16日(火)愛知県 Zepp Nagoya
2025年9月17日(水)愛知県 Zepp Nagoya
2025年9月24日(水)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
2025年9月25日(木)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
マカロックツアーvol.21 ~心を覗いてシラけるより、ことばのシワだけ増やしてゆけ篇~
2026年1月17日(土)埼玉県 狭⼭市市⺠会館 ⼤ホール
2026年1月18日(日)埼玉県 狭⼭市市⺠会館 ⼤ホール
2026年1月23日(金)兵庫県 アクリエひめじ(姫路市文化コンベンションセンター) ⼤ホール
2026年1月24日(土)和歌山県 和歌⼭県⺠⽂化会館 ⼤ホール
2026年1月31日(土)石川県 ⾦沢歌劇座
2026年2月1日(日)新潟県 新潟県⺠会館 ⼤ホール
2026年2月7日(土)広島県 広島文化学園HBGホール
2026年2月8日(日)山口県 KDDI維新ホール
2026年2月11日(水・祝)鳥取県 米子コンベンションセンター BiG SHiP
2026年2月14日(土)高知県 高知県立県民文化ホール オレンジホール
2026年2月15日(日)香川県 レクザムホール(香川県県民ホール) ⼤ホール
2026年2月21日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
2026年2月22日(日)青森県 リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
2026年2月26日(木)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
2026年2月27日(金)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
2026年3月6日(金)静岡県 アクトシティ浜松 ⼤ホール
2026年3月11日(水)東京都 東京ガーデンシアター
2026年3月12日(木)東京都 東京ガーデンシアター
2026年3月15日(日)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
2026年3月16日(月)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
2026年3月25日(水)福岡県 福岡サンパレス
2026年3月26日(木)福岡県 福岡サンパレス
2026年3月30日(月)大阪府 フェスティバルホール
2026年3月31日(火)大阪府 フェスティバルホール
2026年4月4日(土)沖縄県 沖縄コンベンションセンター劇場棟
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浜野 カズシ @hamanokazushi
📸 https://t.co/36cczeZdKc