RYUTistと君島大空、観客の心に染み渡った清澄な「水硝子」

2024年10月24日 21:00 123 2 音楽ナタリー編集部

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RYUTistと君島大空によるツーマンライブ「RYUTistと君島大空」が10月20日に東京・新宿MARZで開催された。

「水硝子」を披露するRYUTistと君島大空。

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12月1日の東京・渋谷CLUB QUATTRO公演「RYUTist LAST HOME LIVE ありがとね、ほんとにね。」をもってメンバー3名全員が卒業し、グループ活動を無期限休止するRYUTist。彼女たちはこれまでグループに楽曲を提供したアーティストや、その曲を愛したファンへの感謝の気持ちをパフォーマンスを通して届けるべく、ツーマンライブシリーズを企画した。その第1弾となる「RYUTistと君島大空」は、2017年発表の3rdアルバム「柳都芸妓」の収録曲「夢見る花小路」にギターで参加して以降、RYUTistとクリエティブ面でつながり続けている君島大空がゲスト。2組によるツーマンライブが行われるのはこれが初で、この日限りの音楽体験を味わうべく会場には多くのファンが集まった。

君島大空が語るRYUTistへの思い

君島大空［拡大］

先攻を務めた君島は黒のセットアップに雪駄という出で立ちで客前に現れると、ステージ中央の椅子に腰掛け、おもむろにアコースティックギターを爪弾いて独奏でのパフォーマンスを開始。まず「エルド」「No heavenly」の2曲を披露し、唯一無二の繊細なファルセットを会場中に充満させる。薄暗い照明とミニマムな音数が楽曲に込められた情感をありありと浮かび上がらせる中、さらに君島は2022年11月発表のRYUTistの5thアルバム「（エン）」に提供した「朝の惑星」をセルフカバー。RYUTistバージョンの「朝の惑星」はエッジが効いたサウンドが特徴だが、君島の弾き語りでは楽曲の根底にある仄暗い雰囲気がナチュラルに強調された。

君島大空［拡大］

「7年の付き合いがあるアイドルグループなんだ……と思ってしみじみとしてしまいました」「提供曲で歌詞まで書いて歌割りまで決めたのはRYUTistが初めてですし、勝手に縁を感じて、今日こういう日を迎えてとてもうれしく思います」とRYUTistへの思いを口にした君島。続く「˖嵐₊˚ˑ༄」ではルーパーのエフェクターを駆使して独奏ながら立体的な音像を組み立て、「喋らなくてもいいよ」という歌詞が耳に残る「19℃」ではかなく美しい感情を観客の心に伝播させた。「水が近くにある街だなと思って『水硝子』という曲を書いて。清らかイメージがずっとあります」とRYUTistとの仕事で新潟を訪れた思い出を語りつつ、その後も巧みな演奏を展開していく君島は、「物とか場所とか人でもいいんですけど、なくなったあとにあきらめずにその場所や人のことを思い続けますよ私は、という気持ちでこの曲を書きました」とひと言。最後に新曲「Lover」を披露し、澄みわたるような歌声で観客の心を惹き付けた。

貴重な「水硝子」コラボに喝采

RYUTist［拡大］

君島はアルバム「（エン）」にインストゥルメンタルのオープニングナンバー「支度」と、それに続く2トラック目の「朝の惑星」を提供した。君島が作り出した情緒的なムードがまだ漂う中、「支度」が場内に鳴り響くと、RYUTistは拍手を浴びながらステージに登場し、最初に「朝の惑星」をパフォーマンス。しなやかなダンスも相まって、先ほどの君島のセルフカバーとはまた異なる幻想的なムードが会場に広がる。さらに君島がRYUTistに最初に提供した楽曲「水硝子」も披露され、恋を描いたという抒情的な歌詞とともに、情緒的できらびやかな音像と世界観がフロアを包み込んだ。そのほか、この日は「たったいま:さっきまで」「君の胸に、Gunshot」「PASSPort」など、シリアスな空気感を帯びた前衛的な楽曲が数多くセットリストに。クールに歌い踊る3人の姿に会場中の視線が釘付けになった。

「水硝子」を披露するRYUTistと君島大空。［拡大］

ライブ終盤、「オーロラ」「echo」「Blue」を立て続けに歌い上げ、清らかな歌声を観客の胸に染み渡らせたRYUTist。彼女たちは自分たちのパフォーマンスを終えると、君島をステージに呼び込んだ。「すごい気持ちになって観てました」とRYUTistへの思い入れの強さをうかがわせた君島は、新潟でのレコーディングの思い出を懐かしそうに語り合ったのち、再びアコースティックギターを手に。彼が華麗な指さばきで「水硝子」のイントロを弾き始めると、そのサウンドの上にRYUTistの透き通るような歌声が重なった。そしてそこに君島の歌声も加わり、4人の集中力の高まりが純度の高いパフォーマンスへとしてステージ上に表出。曲が終わると、貴重なコラボレーションを目撃した観客から喝采が沸き起こった。

なお、RYUTistは11月6日に東京・渋谷7th FLOORにてikkubaru、11月8日に東京・浅草花劇場にて柴田聡子とのツーマンライブを開催する。

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