最高の“フライデー・ナイト”
1stアルバム「劇場」を携えて、今年3月、4月に1stライブ「なとり 1st ONE-MAN LIVE『劇場』」を東京・Zepp Hanedaと大阪・Zepp Osaka Baysideで開催したなとり。彼は今回はホーン隊も交えて、1stライブよりもさらに進化した形で“劇場”を繰り広げた。
客電がゆっくりと落ちていき、アルバム収録のインストゥルメンタルナンバー「カーテンコール」が流れると“劇場”が開幕。ステージに姿を現したなとりは、自身がインターネット上に初めて投稿した楽曲「金木犀」でライブをスタートさせた。「横浜ー!」となとりは観客を煽り、バンドメンバーが紡ぐジャジーなサウンドに乗せて、すべての始まりであるこの曲を歌い上げた。さらになとりは低くうごめくようなアンニュイな歌声と心地のいいファルセットを自由自在に操って「Sleepwalk」を披露。ホーン隊が勢いよく鳴らす音色やベースの力強いサウンドに彩られながら「食卓」をクールに届けたあと、提灯が並ぶ映像をバックに和の雰囲気が漂うナンバー「猿芝居」を歌唱した。
その後、なとりが披露したのは新曲「DRESSING ROOM」。ダンサブルなビートを軸としたこの曲でオーディエンスは一斉に飛び跳ねて盛り上がる。そしてなとりは感情に身を任せるように「EAT」を放ったあと、スタンドマイクの前に立ち「Catherine」を軽快に歌い上げた。「ラブソング」では燃え盛る蝋燭の映像をバックに、狂おしいほどの愛が表現される。その対になるような青いライトが印象的な「ターミナル」ではなとりがギターを手に持ち、バンドメンバーとともにリズミカルにアンサンブルを奏でた。
疾走感のあるロックナンバー「聖者たち」を叫ぶようにパワフルに歌い上げ、なとりは一度ステージをあとにする。バンドメンバーの盤石の演奏を経て、再びステージに姿を現したなとりは「ようこそ、劇場へ!」と両手を広げ、アルバムのタイトルトラック「劇場」を歌い始めた。艶やかなアンサンブルとシニカルなリリックがホール会場いっぱいに響き渡る。そして「皆さん、今日は最高の“フライデー・ナイト”にしましょう!」となとりは告げ、金曜の夜に「フライデー・ナイト」で会場にシンガロングを巻き起こした。会場の高揚感がピークに達したところで、なとりが投下したのは自身の名を世に知らしめた楽曲「Overdose」。なとりはホーンサウンドなどを取り入れたこの日ならではのアレンジでこの曲を届け、客席にダンスフロアを生み出した。
僕は時代とともに変わっていきたい
「Overdose」の熱狂が冷めやらぬ中、なとりは「今年からライブとかいろいろな活動をしてきたんですけど、その中で楽曲提供とか、いろんなコラボもやらせてもらって。その曲をやらせてもらおうと思います」と宣言し、Kobo Kanaeruに提供した楽曲「HELP!!」をセルフカバーして会場を盛り上げた。続いて披露されたのは、盟友のimaseとのコラボ曲「メロドラマ」だ。メロウなサウンドをバックに、たゆたうような心地のいい歌声を響かせた。ここでなとりがギターを手に取り、演奏したのは未発表の新曲「IN_MY_HEAD」。なとりは力強いロックサウンドとともに爆発的なエネルギーを放ち、会場を熱気で満たす。その勢いをさらに加速させるように、なとりはじんと共作したロックナンバー「絶対零度」をパフォーマンスしたあと、「エウレカ」でも熱くギターをかき鳴らした。
少年時代への自分へのメッセージソング「Cult.」を移りゆく街の風景をバックに歌い上げたなとり。彼は「今日は本当に来てくれてありがとうございます」と感謝の思いを述べ、「1stライブから改めて進化した劇場を見せるというのがコンセプトになっていまして。ステージも大きくて、ホーン隊の方もいらっしゃいます。人数もすごくて、そういうところでもパワーアップしています」と語る。そしてなとりは「ライブも今年初めてやりましたし、楽曲提供とか映画やアニメの主題歌もやらせてもらえたり、なとりとして本当にありがたい年を過ごさせていただいた。その中で、僕は時代とともに変わっていきたいなと思っていて。アルバム『劇場』を作っていたときは、僕は暗闇を見つめながら作品を作っていたんですけど、『劇場』を経て僕はみんなに明るい場所で救われてほしいなと思い始めて、変わっていってるわけです」と話を続け、「この中には暗闇を見ていたなとりを好きだったという方も絶対いると思います。僕はこれからたくさんの変化を繰り返して、もしかしたら皆さんを置いてけぼりにしてしまうかもしれないんですけど、それでもついてきてほしいなとこの景色を見て本当に思いました。なとりという作品をこれからも愛してください。よろしくお願いいたします」と呼びかけた。
最後になとりが披露したのは9月に配信リリースした、映画「傲慢と善良」の主題歌「糸電話」。人と人の距離感を丁寧に描いたこの曲を優しく歌い上げ、なとりは温かな空気を会場に残してステージを去って行った。
なお、なとりは翌19日公演で自身初の東京・日本武道館公演「なとり ONE-MAN LIVE at 日本武道館 2026」を2026年2月19日に開催することを発表した。
セットリスト
なとり「なとり 2nd ONE-MAN LIVE『劇場~再演~』」2024年10月18日 パシフィコ横浜 国立大ホール
01. 金木犀
02. Sleepwalk
03. 食卓
04. 猿芝居
05. DRESSING ROOM
06. EAT
07. Catherine
08. ラブソング
09. ターミナル
10. 聖者たち
11. 劇場
12. フライデー・ナイト
13. Overdose
14. HELP!!
15. メロドラマ
16. IN_MY_HEAD
17. 絶対零度
18. エウレカ
19. Cult.
20. 糸電話
公演情報
なとり ONE-MAN LIVE at 日本武道館 2026
2026年2月19日(木)東京都 日本武道館
※記事初出時より、本文を変更しました。
norikichishio @norikichishio
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