羊文学が全国を巡り得たものは? キャリア最大規模ツアーが東京ガーデンシアターで終幕

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羊文学の全国ツアー「羊文学 TOUR 2024 "soft soul, prickly eyes"」が、10月3日に東京・東京ガーデンシアターでファイナルを迎えた。

羊文学(Photo by Daiki Miura)

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幕の向こうで

羊文学(Photo by Daiki Miura)

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4月に神奈川・横浜アリーナでキャリア最大規模となるワンマンライブ「羊文学 LIVE 2024 “III”」を成功させた羊文学。3月から7月にかけて初のアジアツアー「羊文学 Hitsujibungaku ASIA TOUR 2024」で各国を巡りつつ、テレビアニメ「【推しの子】」第2期のエンディング主題歌「Burning」をリリースするなど、今年も歩みを止めることなく精力的な活動を展開してきた。“柔らかな魂、とげのある瞳”を意味する「soft soul, prickly eyes」は、彼女たちにとってキャリア最大規模のツアーとなった。

羊文学(Photo by Daiki Miura)

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透け感のあるフリンジ状の幕に覆われたステージに、塩塚モエカ(Vo, G)と河西ゆりか(B)、ともに各地を回ってきたサポートドラマーのユナ(Dr / ex. CHAI)が姿を見せると場内は盛大な拍手に包まれる。3人はそれぞれの感触を確かめるように音を重ねたのち、気だるげなボーカルが印象的なミディアムナンバー「金色」でパフォーマンスを開始。河西とユナが力強いビートを刻む「電波の街」で演奏を加速させた羊文学は、幻想的な映像演出の中で「風になれ」を軽やかに奏で、続く「深呼吸」では塩塚の憂いを帯びた歌声をじっくりと聴かせてオーディエンスを魅了した。

「私たちとあなた1人ひとりで」

塩塚モエカ(Vo, G)(Photo by Daiki Miura)

塩塚モエカ(Vo, G)(Photo by Daiki Miura)[拡大]

ステージを覆う幕越しに「みんな見えてる?」と語りかける塩塚。彼女は「周りに人がいっぱいいると思うけど、立ちたいときは立って、座りたいときは座ればいい。『人に見られて怖い』『恥ずかしい』とかは今日は忘れて、私たちとあなた1人ひとりで最後まで楽しめたらいいなと思います」と優しく呼びかけた。「countdown」「Girls」といったハードな楽曲を経て披露されたのは、どこか喪失感漂うスローテンポの「人魚」。スポットライトに照らされた塩塚が「人魚」を歌い始めると、中盤から残る2人が熱を帯びた演奏を重ねていき、美しく壮大な音の世界を作り上げていった。

羊文学(Photo by Daiki Miura)

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そして代表曲の1つ「光るとき」の曲中にいよいよステージの幕が開く。客席から悲鳴にも似た歓声が上がる中、羊文学は力強く開けたサウンドをまっすぐに届け、場内にドラマチックなムードをもたらした。塩塚はその後のMCで、忙しない活動の疲れから当初はツアーの開催に前向きではなかったことを明かし、「こちらから何かを働きかけるより、全国でみんなのエネルギーを吸い取るようなライブをしたい、元気になりたい、という気持ちでツアーはスタートしました。だからこの幕は“メンタルを守る幕”なんですよ(笑)」と幕の演出を取り入れた理由を説明。そしてツアーを振り返り「音楽に対して新しい目標が見つかったし、みんなとの距離感も近くなったし、温かい気持ちにさせてもらったツアーでした」と観客への感謝の言葉を続けた。

全国を巡って取り戻したもの

羊文学と林田順平(Cello)。(Photo by Daiki Miura)

羊文学と林田順平(Cello)。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

ライブの折り返しに披露された「tears」には、特別ゲストとしてチェリストの林田順平が参加。彼は繊細なバンドサウンドに、深みのある弦の響きを添えた。羊文学はその後、「honestly」「つづく」「祈り」といった内省的な楽曲を並べ、観客をメランコリックな世界へと導いていく。そしてユナの肉体的なドラムに、塩塚のざらついたギターを重ねてアニメ「【推しの子】」第2期のエンディングテーマ「Burning」をパフォーマンス。美しさと力強さが同居したバンドサウンドが爆音で響き渡ると、その圧巻のステージングに客席からは多くの拳が上がった。

河西ゆりか(B)(Photo by Daiki Miura)

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羊文学(Photo by Daiki Miura)

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最後のMCパートでは、河西が“ゆるさ”をテーマにした今回のツアーに向けて何度も打ち合わせを重ねた準備期間を振り返りつつ、「生きてるうちの貴重な2時間を使って来てくれたことに感謝しています。ありがとうございます」とひと言。そして、ツアーで元気を取り戻したという塩塚の口から12月にクリスマスライブ「まほうがつかえる2024」と初のハワイ単独公演が開催されることが告げられ、客席から大きな拍手と歓声が起こった。羊文学はその後、「くだらない」「涙の行方」「Addiction」の3曲を演奏。2時間のステージを駆け抜け、充実した表情でステージをあとにした。

クリスマスライブ「まほうがつかえる2024」のチケット先行予約は、10月13日23:59までバンドのオフィシャルファンクラブとチケットぴあにて受付中。

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セットリスト

「羊文学 TOUR 2024 "soft soul, prickly eyes"」2024年10月3日 東京ガーデンシアター

01. 金色
02. 電波の街
03. 風になれ
04. 深呼吸
05. countdown
06. Girls
07. 人魚
08. 光るとき
09. あいまいでいいよ
10. 永遠のブルー
11. tears
12. honestly
13. つづく
14. 祈り
15. Burning
16. OOPARTS
17. more than words
18. くだらない
19. 涙の行方
20. Addiction

公演情報

羊文学「まほうがつかえる2024」

2024年12月10日(火)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
2024年12月24日(火)大阪府 フェスティバルホール

羊文学 ハワイ公演

2024年12月14日(土)アメリカ ハワイ州ホノルル The Republik

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羊文学 @hitsujibungaku

[Media]

🌐音楽ナタリー(@natalie_mu)にて

10/3(木)に行われた、
羊文学 TOUR 2024 "soft soul, prickly eyes"
東京公演のライブレポートが公開されました!

是非ご覧ください🐑

🔗詳しくはコチラから
https://t.co/cijfW4YMJK

#羊文学 #Hitsujibungaku https://t.co/gdyAk4FQtc

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