ミツメ、活動休止前最後のLIQUIDROOMで見せた15年の軌跡

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ミツメが9月27日に東京・LIQUIDROOMにて、ワンマンライブ「decade」を開催した。

ミツメ(撮影:トヤマタクロウ)

ミツメ(撮影:トヤマタクロウ)

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活動休止前最後のライブに

ミツメ「LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY mitsume live 2024 "decade"」の様子。(撮影:トヤマタクロウ)

ミツメ「LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY mitsume live 2024 "decade"」の様子。(撮影:トヤマタクロウ)[拡大]

このライブはLIQUIDROOMのオープン20周年と、ミツメがLIQUIDROOMでワンマンライブをしてから10周年を迎えたことを記念して開催されたもの。2011年発売の1stアルバム「mitsume」から2023年発売のEP「ドライブ EP」まで、ミツメが発表してきた作品の楽曲がリリース順に並んだセットリストで、2009年の結成から2024年までの15年を総括する内容のライブが行われた。なおミツメは9月30日をもって活動を休止し、今後はそれぞれがソロやサポートで活動していくことを発表。多くのファンやメンバーの友人たちが駆け付け、超満員となったこのLIQUIDROOM公演が活動休止前最後のライブとなった。

「川辺さんがんばってー!」

ミツメ「LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY mitsume live 2024 "decade"」の様子。(撮影:トヤマタクロウ)

ミツメ「LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY mitsume live 2024 "decade"」の様子。(撮影:トヤマタクロウ)[拡大]

川辺素、大竹雅生、nakayaan、須田洋次郎が順にステージに現れ、始まったのは「mitsume」の収録曲「タイムマシン」。大竹がやわらかなアルペジオを奏で、nakayaanと須田が力強くリズムを刻む。そこに川辺の丸みを帯びた歌声が乗り、大竹とnakayaanのふくよかなコーラスがボーカルを包み込んだ。

須田洋次郎(ミツメ)(撮影:トヤマタクロウ)

須田洋次郎(ミツメ)(撮影:トヤマタクロウ)[拡大]

2ndアルバム「eye」から選ばれた「Disco」では、須田が刻むタイトなビートの上でnakayaanによるベースラインが踊り、そこに川辺と大竹による鮮やかなギターアンサンブルが響く。徐々に熱を帯びていく4人の演奏にオーディエンスもヒートアップし、曲が終わると同時に拍手喝采が起こった。

大竹雅生(ミツメ)(撮影:トヤマタクロウ)

大竹雅生(ミツメ)(撮影:トヤマタクロウ)[拡大]

「ミツメの今までを振り返っていくようなセットリストになっているので、最後までよろしくお願いしまーす」と元気いっぱいな川辺。客席から「川辺さんがんばってー!」と子供の声が上がると照れくさそうに笑い、2013年発表のシングルの表題曲「うつろ」でライブを再開させた。楽曲が持つアンニュイな雰囲気とエッジィなギターリフのコントラストがミツメらしい「会話」を経て、4人は「クラーク」や「Paradise」、そしてタイトル曲の「ささやき」など3rdアルバムの楽曲を立て続けに披露。「Esc」では、大竹による轟音のギターを筆頭に全員がパワフルな演奏を繰り広げ、音の洪水の中でオーディエンスが歓声をあげた。

どんどん難しくなっていく

川辺素(ミツメ)(撮影:トヤマタクロウ)

川辺素(ミツメ)(撮影:トヤマタクロウ)[拡大]

nakayaan(ミツメ)(撮影:トヤマタクロウ)

nakayaan(ミツメ)(撮影:トヤマタクロウ)[拡大]

初期はシンプルな音作りだったが、活動年数を重ねるごとに徐々に複雑な楽曲が増えていったミツメ。ライブが終盤に近づくにつれてドラムの手数も増え、須田の華やかなスティックさばきも光る。そんな中、披露された「エスパー」は、ミツメのメインソングライターである川辺のメロディセンスがひと際輝く1曲で、4人で丁寧に紡ぐバンドアンサンブルに乗せ、その美しいメロディと切ない歌詞が届けられた。「トニック・ラブ」で芳醇なバンドサウンドを奏でて観客を酔わせたあと、川辺は「後半に行くにつれてどんどん難しくなっていく」と笑う。そしてそれぞれの楽器で鳴らすトリッキーな旋律がグルーヴを生み出す「ドライブ」で本編を締めくくり、4人はステージから去った。

またお会いしましょう。ミツメでした。

川辺素(ミツメ)(撮影:トヤマタクロウ)

川辺素(ミツメ)(撮影:トヤマタクロウ)[拡大]

アンコールを求める拍手を受け、ステージにミツメが再登場。川辺は「ドラムの彼は足がつってしまったのでしばしお待ちください」と、須田の足がつってしまったことを明かす。拍手に迎え入れられた須田は、まだ足が本調子ではない様子で「『ささやき』のリキッドから10年、バンドを続けて15年……ちょっと話してもいいですか?」とトークでその場をつなぐ。ミツメを結成した大学時代、川辺が隕石に怯えていたことや、nakayaanが風呂でも電話に出ること、大竹がリハーサルの帰りに須田と渋谷駅で分かれる際に10回に1回の頻度で小さく手を振ってくれることなど、15年の活動の中で得たメンバーの知識を披露し、会場の笑いを誘った。

ミツメ「LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY mitsume live 2024 "decade"」の様子。(撮影:トヤマタクロウ)

ミツメ「LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY mitsume live 2024 "decade"」の様子。(撮影:トヤマタクロウ)[拡大]

須田のトークを川辺が「これからもよろしくお願いしまーす」と締め、ミツメはカラフルな照明の中で「スペア」をプレイ。そして川辺は「今日はありがとうございました。またお会いしましょう。ミツメでした」と挨拶し、初期から演奏している楽曲「ミツメのテーマ」をまばゆい光の中で歌う。ミツメは15年の歴史を感じさせる盤石なバンドアンサンブルでLIQUIDROOMを満たし、1人、またひとりと持ち場から離れていく。大竹が最後までかき鳴らしていたギターを置き、轟音の中で深々とお辞儀をしてステージを去ると、舞台から誰もいなくなっても鳴り続ける音をスタッフが切り、客電が付いてライブの幕引きとなった。

セットリスト

ミツメ「LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY mitsume live 2024 "decade"」2024年9月27日 LIQUIDROOM

01. タイムマシン
02. クラゲ
03. 煙突
04. Disco
05. 20
06. うつろ
07. 会話
08. クラーク
09. Paradise
10. 公園
11. ささやき
12. Esc
13. めまい
14. ブルーハワイ
15. 忘れる
16. あこがれ
17. 幸せな話
18. ディレイ
19. エスパー
20. フィクション
21. トニック・ラブ
22. ドライブ
<アンコール>
23. スペア
24. ミツメのテーマ

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Keisuke Odagiri @harasu_onigiri

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