クジラ夜の街の初ホールワンマンに未来人登場「ロックバンドは永遠に残していくべき文化」

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クジラ夜の街のワンマンライブ「7歳」が、彼らの結成記念日である6月21日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催された。

宮崎一晴(Vo, G)(撮影:中山涼平)

宮崎一晴(Vo, G)(撮影:中山涼平)

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「7歳」はその名の通りクジラ夜の街の結成7周年を記念した公演で、彼らにとって初のホールワンマン。ステージには洋風のドアや窓、ソファ、時計台などが設置され、異国情緒あふれる世界観が作り出された。

未来人(撮影:中山涼平)

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開演時刻を迎えても、幕は下りたまま。そこにフードを被った青年が登場し、「私は1000年先の未来、西暦3024年からやって来たタイムトラベラーです。未来の世界では、ライブ文化というものはすっかり衰退し、ロックバンドは絶滅の危機に瀕しています。私はそれがとても寂しい。音楽は私にとっての光なのに。ある日のことです。私はクジラ夜の街というバンドのCDを見つけました。埃を被っていましたが、かろうじて再生できました。彼らの楽曲を聴いた瞬間、私は居ても立っても居られなくなって、どうかこの目でライブを観てみたいと思いました。そして今、私はクジラ夜の街のライブを観に、遥々1000年の時を超えてやって来たのです。今日は彼らの7歳の誕生日。一体どんな音を奏でてくれるのか。どんな物語を聞かせてくれるのか。楽しみで胸が躍ります」と語る。

「7歳」の様子。(撮影:中山涼平)

「7歳」の様子。(撮影:中山涼平)[拡大]

秦愛翔(Dr)がビートを刻み始めたのを合図にゆっくりと幕が上がり、そこに佐伯隼也(B)、山本薫(G)が音を重ねる。真っ赤な衣装に身を包んだ宮崎一晴(Vo, G)は袖から走って登場。バンドに加わり「踊ろう命ある限り」をスタートさせる。早速シンガロングが巻き起こり、拳を掲げるファンたちに向けて宮崎は「東京で一番盛り上がる場所はここだろ! 最高の日を約束するよ」と言い放つ。続けて「何をするにも手が付かなくて。気付いたら僕は、自転車を漕いでいた」というモノローグを届けた彼は、「風のもくてきち」を情感たっぷりに歌い上げた。

秦愛翔(Dr)(撮影:中山涼平)

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突如秦が「恥の多い生涯を送ってきました」と切り出し、「なぜ太宰治?」という疑問が場内を満たす。彼は「タイムマシンめっちゃ欲しいんですよ。やり直したいことがたくさんあるんですよね。過去の過ちを供養したいなと思って。手紙を書いてきました。誰宛てなのかわかんないですけど、強いて言うなら僕宛てですね」と口にして、手紙を取り出す。手紙のタイトルは「懺悔」。そこには小学生の頃にサッカーの試合でオウンゴールをしたこと、中学生の頃に眉毛を全剃りしてしまったこと、高校生の頃にInstagramで惚気たストーリーを投稿したこと、大学生の頃に留年してファンを裏切ったことなど、赤裸々な内容がつづられていた。読み終えた秦に向かって一言、宮崎は「想像してた7倍くらい長かったです」とコメントした。

山本薫(G)(撮影:中山涼平)

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軽快で心地よい新曲「失恋喫茶」を経て、「あばよ大泥棒」がスタート。宮崎はすさまじい滑舌のよさで口上を捲し立て、観客を大いに沸かせた。アッパーチューン「BOOGIE MAN RADIO」では、黒ジャケットを羽織った彼の色気あふれるパフォーマンスに、客席から黄色い歓声が上がる。秦がジャジーなシャッフルビートを刻んだ「裏終電・敵前逃亡同盟」に続けて演奏されたのは「美女と野獣」。山本が奏でるギターの音色がしっとりとこだました。

佐伯隼也(B)(撮影:中山涼平)

佐伯隼也(B)(撮影:中山涼平)[拡大]

秦がドラムソロで圧倒的な演奏テクニックを見せ付けたのち、宮崎が「ここではなんでも叶うんだよ!」と叫ぶ。疾走感あふれる「夜間飛行」「夜間飛行少年」では、クジラ夜の街の息の合ったグルーヴがファンを魅了した。それから「少年少女」「時間旅行」「時間旅行少女」と曲名でしりとりをしていくかのように、楽曲が畳みかけられていく。演奏を終えたメンバーがステージをあとにすると、ぶ厚く立ち込めるスモークの中に再び未来人の青年が登場。「この音楽を、あの衝動を、ずっと覚えているつもりだったんですが、やはり記憶というものは薄れていってしまうんですね。でも忘れたなら、思い出せばいい。途切れたなら、巻き戻せばいい。音楽は、ライブは、ロックバンドは、永遠に残していくべき文化です。この思いを引き継いでいくために、僭越ながら、私も彼らの歌を歌ってみてよろしいでしょうか。そういえば、自己紹介がまだでしたね。私たちは、1000年先のロックバンド……」と口にした彼はフードを取り、白装束に身を包んだメンバーとともに“1000年後のクジラ夜の街”として「Saisei」を歌った。

「7歳」の様子。(撮影:中山涼平)

「7歳」の様子。(撮影:中山涼平)[拡大]

アンコールに応えてステージに戻ってきたクジラ夜の街は「浮遊」「ハナガサクラゲ」を投下。宮崎は「例えば会えなくなってしまった人がいたり、例えばその人がもうこの世界にはいなかったり。微かなつながりが信じられなくなって、塞ぎ込んでしまう日は、いつか必ず訪れるんですよ。でも、それもずっとは続かない。人の心なんてものは、天気みたいにコロコロ変わっていくものです。僕たちはいつだって感情に振り回されてばかりなわけです。でもそれは、克服できません。日々変わっていく感情を、どうか楽しんでください。それが生きてるってことじゃないですか。命が続くってことじゃないですか。僕は、みんなが幸せになれるって思ってますよ」と語り、ラストナンバー「祝祭は遠く」を披露。熱の込もったパフォーマンスに拍手喝采が巻き起こった。

クジラ夜の街「7歳」セットリスト

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セットリスト

「クジラ夜の街ワンマンLIVE “7歳”」2024年6月21日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

01. 踊ろう命ある限り
02. ここにいるよ
03. 風のもくてきち
04. 失恋喫茶
05. あばよ大泥棒
06. BOOGIE MAN RADIO
07. 裏終電・敵前逃亡同盟
08. 美女と野獣
09. 拝啓
10. 歌姫は海で
11. 再会の街
12. ヨエツアルカイハ1番街の時計塔
13. 夜間飛行
14. 夜間飛行少年
15. 少年少女
16. 時間旅行
17. 時間旅行少女
18. ずっとおぼえていてね
19. Saisei
<アンコール>
20. 浮遊
21. ハナガサクラゲ
22. 祝祭は遠く

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Ryohey Nakayama @rrrryonnnn1

クジラ夜の街(@Qujila_band )

撮影した写真をライブレポートに使っていただいています https://t.co/MVnBJS6ZTe https://t.co/xUbhDae4Dt

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