超特急タカシ&シューヤ「せぶいれのうた」で歌い描いた“一人じゃ見れなかった世界”、明かした2人の夢

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超特急のバックボーカル・タカシとシューヤによるライブ「アコースティック超特急『せぶいれのうた』」が、昨日2月28日に埼玉・大宮ソニックシティで行われた。

シューヤとタカシ。(撮影:鈴木友莉)

シューヤとタカシ。(撮影:鈴木友莉)

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“せぶいれ”コンビ、初のライブ企画

「せぶいれのうた」は、普段はその歌声でダンサーメンバーのパフォーマンスを支え彩る、超特急の7号車・タカシと11号車・シューヤ、2人だけのライブ企画。タイトルにある「せぶいれ」とは、2022年8月にシューヤが超特急に加入した直後から8号車(超特急ファンの呼称)に親しまれていた、ボーカルコンビの愛称だ。YouTubeでもパフォーマンス動画が公開されている、超特急の楽曲をアコースティックバージョンで届けるボーカルプロジェクト「アコースティック超特急」に紐付いた「せぶいれのうた」では、3人編成のバックバンドによる生演奏のもと、ここだけでしか聴けないアレンジでタカシとシューヤが超特急の楽曲の数々を披露。持ち前のボーカルスキルを存分に発揮する2時間のパフォーマンスで、集まった大勢の8号車に上質なひとときを届けた。

2人で歌う「Asayake」の力強い輝き

シューヤとタカシ。(撮影:鈴木友莉)

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2月1日にZepp Haneda(TOKYO)で行われた「せぶいれのうた」初回公演の盛況を受けて用意された、大宮ソニックシティでの追加公演のステージ。ホールに足を踏み入れると、舞台いっぱいに置かれたビンテージ風のスタンドライトやテーブルランプ、温かな色合いのカーペットの装飾が来場者の目を奪う。普段の超特急のライブとはひと味違う、ボーカルのためだけに仕立てられたステージセットに期待感が高まる中、カジュアルシックな白と黒のロングジャケットスタイルで現れたタカシとシューヤは、「Asayake」で「せぶいれのうた」の幕を開けた。

タカシ(撮影:鈴木友莉)

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未曾有の事態に世界が不安に包まれ、誰もが経験したことのないような閉塞感を感じていた2020年の冬、“夜明けの到来”を願って作られた「Asayake」がボーカル2人体制で歌われるのは、今回が初めて。タカシとシューヤはそれぞれクリアな歌声を冒頭から響かせ、彼らが互いに目を合わせて重ねるユニゾンは力強い輝きをたたえて聴衆の心に訴えかける。「『せぶいれのうた』へようこそ!」というタカシの声を合図に2曲目の「Call My Name」へ進むと、シューヤは「みんな立ってー! 今日は最高の思い出作っていきましょう!」と8号車へ向けてひと言。軽やかに心躍るポップなメロディに身を任せながら、2人は自由にステージを動いてオーディエンスをぐんぐんとステージへ巻き込んでいった。続く「a kind of love」では、歌詞に合わせてタカシの袖をぎゅっとつかんだシューヤの振る舞いに、8号車からにわかに歓声が。シューヤがキュートな声色で曲を歌いこなせば、タカシは力強いロングトーンを響かせて客席を圧倒。オープニングから細やかかつ高度なボーカルスキルをそれぞれの方法で惜しみなく発揮していく2人の気迫みなぎるパフォーマンスは、曲を重ねるごとにオーディエンスのテンションを確かに高めていった。

曲ごとに景色を変える歌声、革張りのソファに腰掛けながら

シューヤ(撮影:鈴木友莉)

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3曲を終え自己紹介を済ませると、タカシは「追加公演、ありがとうございます。今日なんて、平日のど真ん中ですよ。みんな来てくれてありがとうね」と感謝を伝える。続くシューヤは「アコースティック超特急」というライブタイトルに触れ「実はエレクトリックな部分もけっこうあります(笑)。『アコースティックだからおしとやかに行こうかな』なんて思ってたそこのあなた! テンションこのくらいにしてください!」と言って、片手を頭の上まで高く伸ばしてみせた。

シューヤとタカシ。(撮影:鈴木友莉)

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8号車に着席を促し、自らも革張りのソファに腰掛けた2人は、美しいファルセットの歌い出しから「Thinking of You」でライブを再開させる。ピアノ伴奏のみの歌い出しからドラム、ベースのリズムセクションが加わるサビパートへ。リズムの変化によっても物語がドラマチックに変化していく、ボーカルライブならではのダイナミックなアレンジが施されたこの曲で、2人はシーンごとに鮮やかに色を変えてゆく巧みなボーカルを聴かせてオーディエンスをロマンチックな楽曲の世界へと誘った。しかしながら、続く「UNKNOWN...」でステージの柔らかなムードは一変。ぐっと照明が落とされたステージに浮かび上がる2つのシルエットは、シリアスに張り詰めた空気をダウナーな歌声で演出し、“キミ”の不在を嘆き叫ぶ主人公の切迫した心情をリアルに浮き上がらせる。今回のライブで初めてこの楽曲のボーカルを取ったシューヤは、がなりを交えたアレンジで内なる叫びを表現。タカシは椅子から落ちてしまいそうなほど身を乗り出して曲に没頭し、ホイッスルボイスのような上ハモで緊迫感を助長させる。そんな2人の気迫に満ちた歌声を、8号車は息を呑むように見つめていた。

思い出の「クレッシェンド」、2人が歌いたかった歌

「さあ、ここからは曲調を変えて軽快な楽曲をお届けします。みんな立って!」。タカシが導いた「クレッシェンド」は軽やかなボサノバ調のアレンジで原曲のイメージを一変させ、フルートの音色が彩るパーカッシブなサウンドに乗せて、タカシとシューヤは柔らかなファルセットが印象的なボーカルワークとハンドウェーブでハートウォーミングな空気感を作り上げた。この楽曲に特別な思い入れを持っているシューヤは、曲を終えるなり「リリース当時ね、この曲をめちゃくちゃ聴いていたんです」と8号車に明かす。「クレッシェンド」がリリースされたのは、新メンバーオーディションが行われていた期間の真っ最中。「有線で流れているのを聴いて『俺はこのグループに入るのか……』なんて思ったり。オーディション中だから曲を聴いている余裕なんてなかったんですけど……めちゃめちゃ聴いてましたね!(笑)」と当時を振り返ったシューヤは「今回、こうして歌えてうれしいです」と笑顔を浮かべた。

シューヤとタカシ。(撮影:鈴木友莉)

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「クレッシェンド」の知られざるエピソードに続くように、ライブ中盤のパートではタカシとシューヤ、2人の思い出やそれぞれの心情に寄り添った楽曲の数々が8号車へと届けられていった。超特急のデビュー曲であるシリアスなエレクトリックナンバー「TRAIN」は、「Re-TRAIN」としてタカシとシューヤが2人で最初にレコーディングを行った楽曲。「せぶいれのうた」では2人のパワーボーカルをフィーチャーしたアレンジによってオリジナルとはがらりと色を変えた楽曲へと変貌を遂げ、タカシは「僕らにとって、ある意味思い出の曲。リテイクで進化して、今回の『せぶいれのうた』を通してさらにパワーアップしたね」と実感を語った。そして、続く楽曲ではシューヤが「僕が超特急に入ったばかりのリハーサルのとき、タカシくんが『シューくんに合うと思うから聴いてみて』って言ってくれた曲があって。いつか早く歌いたいと思っていた曲を、今日歌わせていただきます」と曲紹介をする。届けられたのは、2013年にリリースされたミドルバラードの「FLASHBACK」。キーボード伴奏のみのシンプルなアレンジは、愛しい人へ向ける張り裂けそうな心情を繊細な声の揺らぎで表現する2人の歌を美しく際立たせていた。

タカシ(撮影:鈴木友莉)

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シューヤの念願が結実した「FLASHBACK」を経てタカシがセレクトしたのは、彼のセンター曲でもあるウインターソング「Whiteout」。タカシはこの曲について「大人っぽいテイストの曲なので、この流れで聴いてもらうのがいいかなと思って。超特急、実はこんな楽曲もあります」と8号車に伝えた。タカシの軽やかなフェイクからスタートしたこの曲はぐっとテンポを落としたジャジーなアレンジが施され、ミラーボールの光の粒が舞う演出もラグジュアリーなムードを際立たせる。スウィングするリズムとメロディアスなベースラインの上で躍動するピアノに、タカシとシューヤの息ぴったりなボーカル。季節を彩る洒脱なアンサンブルに、オーディエンスは心地よさそうに身を委ねていた。

僕はすべて超特急に還元したい

「Whiteout」を終えてもなお演奏をストップさせないバックバンドの3人の音に耳を傾けるタカシとシューヤ。特徴的なベースラインと軽快なリムショットが導いたのは「宇宙ドライブ」で、シューヤは「テンションブチ上げていけますか!?」と呼びかける。遊び心たっぷりに何度もサビを繰り返すステージ上の5人の盛り上げによって客席の熱気はぐんぐんと高まっていき、タカシとシューヤが曲の最後の「ゴチになります」で“ごちそうさまポーズ”を見せると、8号車からは思わず「かわいい!」の声が上がった。

シューヤ(撮影:鈴木友莉)

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ライブ後半のMCで、タカシとシューヤはボーカル2人でのライブが実現できたことに、感謝の気持ちを表明。シューヤは「超特急に入った当初は、1年ちょっとでこういったライブができるなんて思っていなかったです。歌うことが大好きだから、こうして2人でライブを作れている今を、本当に幸せに感じています」と思いを語る。そして、ボーカル2人のみでの活躍の場も徐々に増えてきていることに触れたシューヤは「2人での仕事が増えてきてうれしいけど、僕はすべて超特急に還元したいと思っているので。8号車の仲間をどんどん増やしていけるよう、僕らは歌っていきますので、これからもよろしくお願いします」とまっすぐに表明。優しい眼差しを向けながらシューヤの言葉に耳を傾けていたタカシも「自分がどう思うかよりも、8号車を笑顔にできるか、どんなエンタメを届けられるかが大事やと思う」と自身の思いを明かし「8号車がいて、隣にはシューくんがいて。そして9号車(スタッフ)、バンドメンバーの皆さんがいるから、僕はここで歌えているんやなって改めて感じたし……愛にあふれたステージに恵まれている僕は幸せ者やなって思いました」と笑顔で続けた。

「僕たちのハーモニーが誰かを笑顔にできますように」。そうタカシが告げると、2人はお互いのほうを向き合い「君と、奏で」のサビパートを歌い出す。マイクを口から遠ざけ、ほとんどオフマイクの状態ながら、彼らが目を合わせ心を重ねて届けるユニゾンとハーモニーは広い空間へと力強く放たれてオーディエンスの心を震わせた。曲中、ステージ奥のビジョンには2人のメンバーカラーである純白とチャコールグレーのペンライトで埋め尽くされた客席が映し出され、彼らがマイクを向けると8号車も大きな歌声で2人に呼応。タカシとシューヤ、そして会場中の8号車の柔らかなシンガロングによって、ホールは大きな一体感に包まれた。

視線の高さは違っても

かけがえのない“相棒”の存在によって広がっていく世界の輝きを歌う「My Buddy」の冒頭では、タカシが「シュ、シュ、シューくん、シューくん!」、シューヤが「タ、タ、タカシ、タカシやで!」とお互いの名前をコール。「視線の高さは違っても 同じ景色を今日も明日も見ていたいね」と歌うパートに差しかかると、体を寄せ合い“同じ景色”を覗き込む仕草で笑い合う2人の確かな絆を目の当たりにした8号車が、思わず「フウー!」と快哉を叫ぶ瞬間もあった。自然体にしてフレンドリー、音楽への純粋な愛情に満ちた2人が醸成する温かな高揚感は、続く「Burn!」で最高潮に。リズムに合わせて元気いっぱいにペンライトを振る客席へ向け、タカシは「今日は2人で歌います。みんな、僕らに捧げてね!」と呼びかけ、2人は楽しそうに肩を寄せ合いながら落ちサビを歌い上げた。

シューヤとタカシ。(撮影:鈴木友莉)

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本編のラストナンバーを前に「会場広いよね。ここで2人でライブやるのか、と思って……」と切り出したシューヤは、ステージのバミリにダンサーメンバーの顔写真を貼って2人がライブに臨んでいたというエピソードをここで明かす。思わぬ場所からの“ダンサーメンバー登場”に観客が大盛り上がりする中、カイの顔写真の前に立ったタカシが「たまに無意識で、けっこうちゃんと踏んじゃってたりする(笑)。ごめんな、カイ!」と言うと、客席とシューヤからは笑い声がドッとあふれた。「9人でのライブも、こうして2人でやるライブも、僕にとってはすごく幸せな時間です」。シューヤが笑うと、タカシは「これからも僕たち、みんなと笑顔を紡いでいけたらいいなと思っています」と続く。2人が本編の最後に届けたのは、どこにいてもつながる大切な人との絆を歌う「Synchronism」。時に寄り添い、時に高め合うようにお互いを意識しながら2人が放つ“せぶいれの歌声”は最後まで力強く、温かくオーディエンスの心を揺さぶり、客席から贈られる万雷の拍手の中でタカシとシューヤはステージ袖へと姿を消した。

いつか2人でアリーナに

シューヤとタカシ。(撮影:鈴木友莉)

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普段ならば「超特急!」の声が湧き上がるアンコールだが、8号車は「せぶいれ! せぶいれ!」というかけ声で2人の再登場を求めた。大きな“せぶいれコール”に導かれてステージに戻ったタカシとシューヤは、「gr8est journey」でライブを再開させる。ステージの縁に腰掛けて、8号車と同じ視線の高さで心を通わせ曲を歌っていた2人が曲の最後にステージ中央でポーズを決めると、直後にタカシは「オーディションの最終選考でこの曲一緒に歌ったやん。今と立ち位置一緒やし、距離もこのくらいやったよな。なんだかそのときとバチっとリンクしてさ、不思議な気持ちになるよな」とシューヤに語りかける。するとシューヤも「懐かしさというかしんみりというかうれしさというか……わかんない!」と顔をくしゃくしゃにしながら感情をあふれさせ「あの日はお偉いさんとか厳しい視線のメンバーが前にいたけど、今日はかわいいみんなが目の前にいてくれてうれしいです」と、客席に満面の笑みを向けた。

「せぶいれのうた」の様子。(撮影:鈴木友莉)

「せぶいれのうた」の様子。(撮影:鈴木友莉)[拡大]

続く「refrain」は撮影OK、さらにはInstagramとTikTokでの生配信も実施され、2人はグルーヴィなアレンジが施された楽曲に自由なフェイクを入れながら、ダイナミックに楽曲を歌いこなす。「せぶいれのうた」を締めくくる楽曲として、2人から8号車へ「Yell」が送られると、タカシは「ありがとう、最高のライブができた!」、シューヤは「皆さんのおかげです。ありがとうございます!」と観客に感謝を伝える。ライブの中で、せぶいれとしてのさらなる野望として「いつか2人でアリーナに立ちたいね。夢はでっかく。2人でアリーナ立ちます!」と語っていたタカシとシューヤ。最後に改めて「大きな野望はたくさんあるからね」とタカシが口にすると、シューヤも「立つぞアリーナ!」と即座に応じる。確かな手応えと充実感の中で、タカシは「これからもせぶいれの活躍をよろしくお願いします!」とメッセージを送り、2人は「以上、超特急ボーカルのタカシやでと」「超特急ボーカルのシューヤでした!」と挨拶をしてステージをあとにした。

セットリスト

アコースティック超特急「せぶいれのうた」2024年2月28日 大宮ソニックシティ

01. Asayake
02. Call My Name
03. a kind of love
04. Thinking of You
05. UNKNOWN...
06. クレッシェンド
07. Re-TRAIN
08. FLASHBACK
09. Whiteout
10. 宇宙ドライブ
11. 君と、奏で
12. My Buddy
13. Burn!
14. Synchronism
<アンコール>
15. gr8est journey
16. refrain
17. Yell

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ようすけ🦖 @yo_sk14bt

写真、最高すぎんか https://t.co/qp0VUA5s6x

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