ステージに現れたアメリカンダイナー
ライブには活動休止中の河瀬詩、清井美那を除くメンバー9人が出演。彼女たちはポップなアメリカンダイナーの店員に扮し、ドラマ仕立てのライブを繰り広げた。開演を告げるブザーとともに緞帳が上がると、そこに現れたのは常連客が絶えないアメリカンダイナースタイルのカフェ「SEVENS RAINBOW」。おしゃれな店内では、ポップなウェイトレス風の衣装に身を包んだメンバーたちが開店準備に大わらわだ。フジテレビ系「めざましテレビ」のリポーターとしても活躍している麻丘真央が「今日も気持ちのいい朝だー!」とさわやかな表情を浮かべ、「みんな、オーダーが入ったよ。青春の味!」と声を上げると、「不確かな青春」でライブがスタートする。これまでもさまざまな演出でファンを驚かせてきたアニバーサリーライブだが、今回はメンバーの芝居とともにノンストップで楽曲を披露していく斬新な構成となった。事前に行われたファン投票に基づいてセットリストが組まれたのも本公演の特徴だ。
元気印の望月りのは、昨日も食器を割ってしまったようだが、落ち込んだときに聴いて明るさを取り戻す曲があるという。そうしてジュークボックスから流れた「謎の力」を皮切りに、「覚醒」や「未来があるから」がファンの力強いコールとともに響き、会場の盛り上がりが加速していく。今年相次いで卒業したメンバーのパートがどのように引き継がれるかという点も注目されていたが「ポニーテールは振り向かせない」では、昨年加入したメンバーの1人である麻丘がアイドル力を全開にして「君が好きだ」というセリフを放ち、楽曲に新鮮な魅力を加える。また「夢を見ていた」というフレーズはオリジナルメンバーの西條和が引き継ぎ、卒業していった同期との絆を感じさせた。
平和な店内が一転して修羅場に
水分補給も芝居に組み込まれるなどその後も徹底した演出が続き、アドリブを交えていると思われる天城サリーの軽妙な話術にメンバーたちも翻弄されながら、忙しいカフェの1日が進んでいく。「ナナニジのプリンス」こと月城咲舞のイケメンな振る舞いに合わせて鳴る「キラリン」という効果音が観客の笑いを誘う場面もありつつ、椎名桜月がふざけている天城や、ぬいぐるみを抱いて居眠りばかりしている西條に噛み付いたことから、平和な店内が一転して修羅場に。ホールチームとキッチンチームのどちらが忙しく働いているかという小競り合いは、カップを積み上げたり崩したりしながら規定の形にするまでのスピードを競うスポーツスタッキング対決へとなだれ込んだ。そしてこの白熱の勝負を制したキッチンチームより、椎名が“特別なまかない”としてオーダーしたのは「ハレロ(全部のせ)」。今回のファン投票企画で唯一ランクインしたユニット曲「ハレロ」をメンバー全員でパフォーマンスするという、この日限りのスペシャルメニューだった。9人が声をそろえて「ハレロ」と唱えると、心にかかっていたもやが晴れていくような爽快感が会場に広がった。
「ロマンスの積み木」で色香漂う一面を見せたかと思えば、「絶望の花」では退廃した世界に佇むように歌唱し、ドラマチックな楽曲の数々が店のムードを次々に塗り変えていく中で、メンバーたちはひたすらに歌い踊り続けていく。「理解者」の「それならここから出ていけばいい」という天城の叫び、相川奈央の穏やかさの中に迫力が光る「誰が僕の理解者だ?」という問い。店の扉は、心の葛藤を表すようにバタンバタンと開けて閉めてを繰り返した。その先で披露されたのは、生きることの意味など、メッセージ性の強い楽曲を歌い続けてきた22/7だからこそ表現できる2曲だ。激情に揺さぶられるようにして歌う「命の続き」、アウトロのエモーショナルなフリーダンスが見どころの「とんぼの気持ち」。活動初期は1人途方に暮れていることが多かった西條が、後輩の望月りのの手を取って踊る姿がグループの“今”を象徴していた。
「ここまでやってきて本当によかった」
どうにかこうにか営業を終え、掃除を始める「SEVENS RAINBOW」の店員たち。「6年も続くやなんて思ってなかったなあ、いろいろあったねえ……」と感慨深く語る涼花萌の言葉を受け、天城は涙で声を震わせながらメンバーたちを見回し、「正直、“クローズ”したほうが幸せなんじゃないかなと思ったときもあったけど……ここまでやってきて本当によかった。私もみんなとやっているこのカフェが大好きだから、7年目も8年目も、これからもずっとよろしくね!」とグループへの思いと重ねながら語った。
ここで9人はデビュー曲「僕は存在していなかった」を披露し、まばゆいパフォーマンスで会場全体を照らす。続く「君はMoon」では歌い出しを担う椎名の歌声が観客の心を癒やした。そして公演本編のラストを飾ったのは、途中加入の後輩メンバーにとってのデビュー曲「曇り空の向こうは晴れている」。ダンススキルの高い相川奈央と月城咲舞がシンメトリーで立ち並ぶ姿が、観る者に頼もしさを感じさせる。さらに西條の「今はそのままでいいから」というセリフが包容力をたたえながら響き、卒業したメンバーから「希望ちゃん」と呼ばれていた望月の必殺のセリフが力強く轟いた。
閉店後のダイナーで、クラッカーを鳴らして6周年を祝うメンバーたち。次にカフェを出店する場所に悩んでいる天城に、望月は「はーい!」と手を上げ、「東京ドーム!」とまっすぐな瞳で伝える。会場中から湧き上がる歓声、頷きあう9人。メンバーたちは心をひとつにして、22/7の未来を見つめた。
ナナニジの夢はドームアイドルになること
アンコールではファンの「ナナニジ」コールに応え、メンバーが純白のナポレオンジャケットにラベンダー色の柔らかなリボン、ふわりと広がるスカートという凛々しくもかわいらしい新衣装に着替えて再登場。去年のアニバーサリーライブの映像を観て「本当に私?」と思うほど成長を実感できたという麻丘は涙を浮かべつつ、「大好きな先輩の卒業や同期の活動終了、この活動をしていなかったら感じることがなかったんだろうなという苦しいことがいっぱいあったけど……この景色を見ていたら、もうちょっとがんばりたいと思いました」と、客席で揺れるペンライトの光を前に目を輝かせる。卒業したメンバーが残した言葉に心を動かされたという天城は、「私たちが掲げるには大きすぎる目標だと思って口に出すのを怖がっていたけど、正式に『ナナニジの夢はドームアイドルになることです!』と言えて、身が引き締まります」と強いまなざしで語りながら、「各自友だちを5人作ってナナニジを広めてください!」と観客の笑いを誘った。
1人ひとり胸の内を伝え終えた22/7は、11月22日にリリースする2ndアルバム「旅人算」収録の新曲を披露。これまでグループの道のりを想起させる振付を盛り込んだ「君とどれくらい会わずにいられるか?」、スケールの大きな“愛”を感じさせる「世界の矛盾」を堂々とパフォーマンスし、「7年目のナナニジも、どうぞよろしくお願いします!」と呼びかけた。
彼女たちは次の1歩として、メンバーが演じるキャラクターの舞台「22/7 Character’s Theater 2023」が12月23日に開催されることを発表。この舞台は配信と、メンバーが登壇する映画館でのライブビューイングの形式で上演される。
セットリスト
「22/7 ANNIVERSARY LIVE 2023」2023年11月7日 EX THEATER ROPPONGI セットリスト
-OPEN-
01. 不確かな青春
02. Just here and now
03. 風は吹いてるか?
04. 謎の力
-LUNCH-
05. 覚醒
06. 未来があるから
07. ポニーテールは振り向かせない
-DINNER-
08. ハレロ(全部のせ)
09. ロマンスの積み木
10. 絶望の花
11. 理解者
12. 命の続き
13. とんぼの気持ち
-CLOSED-
14. 僕は存在していなかった
15. 君はMoon
16. 空のエメラルド
17. 曇り空の向こうは晴れている
-帰り道-
<アンコール>
18. 君とどれくらい会わずにいられるか?
19. 世界の矛盾
イベント情報
22/7 Character’s Theater 2023
2023年12月23日(土)
[第1部]「Pieces of Memory」START 13:00(12:30より配信)
[第2部]「Pieces of Mystery」START 17:00(16:30より配信)
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楊(やん) @yan_negimabeya
【ライブレポート】22/7、ドラマ仕立ての6周年ライブで宣言「ナナニジの夢はドームアイドルになること」(写真12枚) https://t.co/JP0988nUeY