ART-SCHOOL木下理樹の生誕祭でPOLYSICSが「おめでトイス!」、syrup16gは新曲祭りで祝福

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ART-SCHOOLが10月15日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で木下理樹(Vo, G)の生誕祭イベント「KINOSHITA NIGHT 2023 ~木下理樹生誕祭・SHIGONOSEKAI~」を開催した。

木下理樹(Vo, G / ART-SCHOOL)(撮影:古溪一道)

木下理樹(Vo, G / ART-SCHOOL)(撮影:古溪一道)

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イベント前日の10月14日に、木下が45歳の誕生日を迎えたことを記念して行われた「KINOSHITA NIGHT」。45歳にちなんで“SHIGONOSEKAI”というサブタイトルが冠された5年ぶりの生誕祭には、ART-SCHOOLと縁のあるPOLYSICSsyrup16gがゲスト出演した。

木下理樹、おめでトイス!

POLYSICSのライブの様子。(撮影:古溪一道)

POLYSICSのライブの様子。(撮影:古溪一道)[拡大]

まずはトップバッターのPOLYSICSがThe Beatlesのバースデーソング「Birthday」を演奏。「理樹のバースデー! SHIGOのバースデー!」と歌詞を変えて届け、生誕祭の幕をにぎやかに開けた。そのままPOLYSICSは「Let's ダバダバ」や「Young OH! OH!」といったアップテンポのナンバーを勢いよくプレイ。POLYSICSらしい明るい演奏で木下の誕生日を盛大に祝福した。

バースデーケーキと木下理樹。開演前の様子。(撮影:古溪一道)

バースデーケーキと木下理樹。開演前の様子。(撮影:古溪一道)[拡大]

ハヤシヒロユキ(G, Vo, Syn, Programming)は「自分で言うのもなんですけど、今回のラインナップの中でPOLYSICSはかなり浮いてるなと思うんですよ。“SHIGONOSEKAI”って似合わないと思います」と笑いを誘い、「それと同じくらい、さっき木下理樹がバースデーケーキを持ってたのも似合わなかったね。ろうそくを吹くんだけどさ、全然消えないの。肺活量なさすぎだろと思ったよね」と楽しそうに語る。さらにハヤシは「ART-SCHOOLとは2002年に初めて対バンしたときから、割とよく対バンしてましたよ。理樹とは同い年だし、オルタナティブをやってるというところで、ちょっと通じるところがあったりして、仲良くやってるんです」とつながりを述べ、「syrup16gもSHIBUYA-AXというところで17年前に一緒やりました。17年も空いちゃったかという感じですよ」と懐かしそうに振り返った。

ハヤシヒロユキ(G, Vo, Syn, Programming / POLYSICS)(撮影:古溪一道)

ハヤシヒロユキ(G, Vo, Syn, Programming / POLYSICS)(撮影:古溪一道)[拡大]

その後もPOLYSICSは「Stop Boom」「MAD MAC」を続けて披露し、生誕祭を盛り上げていく。ここでハヤシから飛び出したのは、2002年に木下と札幌のイベントで出会った夜のエピソード。ライブで「車輪の下」を聴いて「きっとボーカルの人はJoy Divisionが好きに違いない」と確信したハヤシは「絶対に友達になれる」と思い、打ち上げでビールを片手に「Joy Division、好きなんですか?」と木下に話しかけにいったという。木下は「ああ……好きだね」と答えたきりで、その日は残念ながら話が盛り上がらず。しかし再び仙台で対バンを行った際に意気投合したそうで、ハヤシは「そのときになんと部屋飲みまで実施しちゃったんだよ。そこからポリの対バンイベントに出てもらったり、ART-SCHOOLのツアーのゲストにうちらが出たりすることもあって、こうやって仲が続いています。同い年の友達をこうして生誕祭で祝えるというのはうれしいですね」と声を弾ませた。ヤノマサシ(Dr, Vo)も「木下さんは私がやってたフットサルチーム・FCマッコリの監督なんですよ。何もしないんだけど、木下さんはいるだけでOK」と愛情たっぷりに語る。フミ(B, Syn, Vo)も「理樹が財布をなくして、一緒に交番に行ったことがあるの。財布がないから『お金貸そうか?』って言ったんだけど、理樹のカバンを見たら小銭がいっぱい入ってて、それを全部出して数えたら6000円くらいあった。『なんか全然困んないね』ってなって、帰した覚えがある」と木下らしいエピソードを明かした。

まだまだ木下のエピソードは尽きないようだったが、POLYSICSは勢いを加速させるように「シーラカンス イズ アンドロイド 」「SUN ELECTRIC」を熱演。ラストナンバー「カジャカジャグー」まで駆け抜けるようにハイテンションなパフォーマンスを繰り広げたあと、ハヤシが「木下理樹、おめでトイス!」と叫んでステージを締めくくった。

怒涛の新曲連投

syrup16gのライブの様子。(撮影:古溪一道)

syrup16gのライブの様子。(撮影:古溪一道)[拡大]

syrup16gは1曲目から新曲を投下。ゆらめくような美しいアンサンブルがじんわりと場内を満たしていく。その心地よさにオーディエンスが浸っていると、syrup16gはさらに新曲を続け、赤い照明の中で熱を帯びたサウンドに乗せて気だるげに言葉を吐き捨てた。五十嵐隆(Vo, G)は「全部新曲やります」と告げてオーディエンスを驚かせたかと思えば、「嘘! あと2曲」と茶目っ気たっぷりに翻弄。その後も中毒性のあるギターリフがループする楽曲など、冒頭から4曲の新曲を披露して観る者に衝撃を与えた。

五十嵐隆(Vo, G / syrup16g)(撮影:古溪一道)

五十嵐隆(Vo, G / syrup16g)(撮影:古溪一道)[拡大]

等間隔で刻まれるベースに乾いたギターサウンドが重なり、「神のカルマ」の演奏がスタートすると、フロアから大きな歓声が上がる。五十嵐のシャウトを皮切りにsyrup16gは気迫に満ちたプレイを繰り広げ、オーディエンスの心を鷲掴みにした。さらに彼らは「生活」「天才」と多くの人々に愛されてきた楽曲を惜しみなく連投。言葉を挟むことなく、生誕祭と言えども変わらない朴訥としたスタイルで、熱演を通して木下に祝福を贈った。最後にsyrup16gは「落堕」で衝動のままに音を鳴らす。そしてアウトロで五十嵐が「木下理樹、誕生日おめでとう!」と絶叫し、残響音の中で3人はステージを去っていった。

特別な夜に感謝を込めて

ART-SCHOOLのライブの様子。(撮影:古溪一道)

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2組からバトンを受け取り、いよいよ木下、戸高賢史(G)、サポートメンバーの中尾憲太郎(B)、藤田勇(Dr / MO'SOME TONEBENDER)、やぎひろみ(G / NITRODAY)の5人がステージに登場。ART-SCHOOLは最新アルバム「luminous」のオープニングナンバー「Moonrise Kingdom」でライブを開始し、たゆたうような幻想的なアンサンブルを響かせた。さらに彼らは疾走していくように「アイリス」を前のめりにプレイ。戸高は「信じられない対バンが実現しまして。袖で見ていて、2000年代初頭に戻った感覚になりました」と述べ、「今日は木下理樹の生誕祭ということで、木下理樹のカッコいいところをたくさん見て帰ってもらおうかなと思います」と意気込んだ。その言葉の通り、「EVIL」「foolish」で木下は熱のこもった歌で盤石のバンドメンバーをけん引していく。「おめでとう!」という声がフロアに飛び交うと、木下は「ありがとうございます」と告げ、「syrup16gとPOLYSICSは20年近くの付き合いになるんですよね。こういうふうに好きなバンドを呼べて感謝しています」と穏やかに述べた。

戸高賢史(G / ART-SCHOOL)(撮影:古溪一道)

戸高賢史(G / ART-SCHOOL)(撮影:古溪一道)[拡大]

その後、木下はスタンドマイクで心地のいいギターカッティングに乗せて「クロエ」を歌い、「プール」では透明感のある歌声を響かせた。「サッドマシーン」で会場を盛り上げ、戸高は「随分ひさしぶりにライブに来る方もいらっしゃるんじゃないかなと思いますけど、楽しんでくれている感じはすごく伝わってくるので、ありがとうございます」とフロアを見渡す。戸高は「ハヤシさんのMCを聴いていても思ったんですけど、木下理樹のすごいところは、そこに本人がいないときに話をしたくなるというか。彼が活動をちょっと休んでいた間、僕は違うバンドで行った先々で『木下くんはさー』『リッキーはさー』ってずっと言われ続けましたらから。やっぱり愛されてるんだなと思って。それを今日すごく感じました」としみじみと語った。木下は「syrup16gもPOLYSICSもいい演奏で、とにかくカッコよかった」と絶賛。syrup16gのライブをひさしぶりに観たという戸高が「前と変わらずめちゃくちゃヒリヒリしていて、ものすごい安心感がありましたね」と話すと、木下も「いきなり新曲だもんね」とセットリストに言及。木下は「俺、会場に着いてから五十嵐さんの楽屋に行って、『今日どんな曲やるんですか?』ってセトリを見に行ったら、知らない4曲が書いてあって……『あれ? 俺すごいsyrup16g好きで曲名知ってるけど、知らない曲だぞ』って」と動揺を述べつつ、「でも、『プレゼントだ』って言ってくれたんで」とうれしそうに語った。

そしてART-SCHOOLは昨年再始動した際に一発目に発表した楽曲「Just Kids」をエネルギッシュにプレイ。「ロリータ キルズ ミー」「FADE TO BLACK」ではオーディエンスが楽しげな表情で一斉に拳を突き上げた。ラストナンバーは最新アルバムのリードトラック「Bug」。美しい轟音と柔らかな歌声で会場を満たし、5人はステージをあとにした。

ART-SCHOOLのライブの様子。(撮影:古溪一道)

ART-SCHOOLのライブの様子。(撮影:古溪一道)[拡大]

アンコールを求める拍手に呼ばれて、ART-SCHOOLは再びステージへ。戸高は「昔を思い出しながら、いろいろ準備していて。ART-SCHOOLに僕が入って一番最初に買ったエフェクターを足元に入れています。そういうエフェクターで弾いた曲をやります」と告げ、「スカーレット」を勢いよく演奏し始めた。木下と戸高はステージで向かい合い、生き生きとギターを鳴らす。木下は「こういう夜は生きていてあんまりないですよね。そんな夜を与えてもらったことに感謝しています。またライブでお会いしましょう。僕らもこの感謝を返せるように演奏します」と思いを言葉にした。最後にART-SCHOOLが届けたのは「ニーナの為に」。この曲を優しく歌い上げた木下は、大きな拍手を浴びながらフライングVを高く掲げて「ありがとうございました!」ともう一度感謝を伝え、生誕祭を締めくくった。

セットリスト

ART-SCHOOL「KINOSHITA NIGHT 2023 ~木下理樹生誕祭・SHIGONOSEKAI~」2023年10月15日 Zepp DiverCity(TOKYO)

POLYSICS

01. Birthday(The Beatlesカバー)
02. Let's ダバダバ
03. Young OH! OH!
04. Funny Attitude
05. Stop Boom
06. MAD MAC
07. シーラカンス イズ アンドロイド
08. SUN ELECTRIC
09. URGE ON!!
10. カジャカジャグー

syrup16g

01. 新曲
02. 新曲
03. 新曲
04. 新曲
05. 神のカルマ
06. 生活
07. 天才
08. 落堕

ART-SCHOOL

01. Moonrise Kingdom
02. アイリス
03. EVIL
04. foolish
05. クロエ
06. プール
07. サッドマシーン
08. Just Kids
09. ロリータ キルズ ミー
10. FADE TO BLACK
11. Bug
<アンコール>
12. スカーレット
13. ニーナの為に

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2023.10.15 (sun)
KINOSHITA NIGHT 2023
〜木下理樹生誕祭・SHIGONOSEKAI〜
at Zepp DiverCity
ライブレポート公開‼️



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