アーヤカ姫の戴冠式へようこそ、佐々木彩夏が怪盗あーりんとの1人2役で魅せた「AYAKA NATION」

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佐々木彩夏ももいろクローバーZ)のソロコンサート「AYAKA NATION 2022 in TOKYO GARDEN THEATER」が昨日7月18日に東京・東京ガーデンシアターで開催された。

アーヤカ姫(撮影:上飯坂一)

アーヤカ姫(撮影:上飯坂一)

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毎年この季節に行われている恒例ライブ「AYAKA NATION」。今年はお馴染みの会場である神奈川・横浜アリーナから東京ガーデンシアターに舞台を移して開催され、隣接する複合商業施設・有明ガーデンとのコラボレーション企画も実施されるなど、例年とひと味違ったコンサートに。ストーリー性の強いミュージカルのような展開や、ソロ曲、ももクロの楽曲、カバー曲を絶妙なバランスで組み合わせたセットリストによって今まで以上に没入感の強い世界観が作り上げられた。

ステージ上の幕に映し出された「AYAKA NATION 2022」のロゴ。(撮影:上飯坂一)

ステージ上の幕に映し出された「AYAKA NATION 2022」のロゴ。(撮影:上飯坂一)[拡大]

佐々木彩夏「AYAKA NATION 2022 in TOKYO GARDEN THEATER」の様子。(撮影:上飯坂一)

佐々木彩夏「AYAKA NATION 2022 in TOKYO GARDEN THEATER」の様子。(撮影:上飯坂一)[拡大]

ライブ当日、場内はプニノフ(佐々木ファンの呼称)が身に付けるグッズによって鮮やかなピンク色で染まり、BGMとして流れるディズニー音楽が開演前から非日常的なムードを作り上げていた。開演時刻になると会場が暗転し、客席一面がペンライトのピンクの光でいっぱいに。そして西暦2022億年にチ・キユウ星 ヒ・イズール大陸 りん王国に住む佐々木13世の王女・アーヤカ姫を紹介するオープニングムービーが流れ始めた。誰もが羨む美貌と清らかな心を併せ持つアーヤカ姫は1年に1度、彼女の誕生日を祝う民衆の前に姿を見せ、多くの笑顔を与えてきたという。今年もその時期を迎えた彼女は自身の26回目の誕生日に加え、女王即位を祝うパーティを盛大に催すことになった。ポップな登場SE「あーりんちゅあ」を経てステージにかかっていた白幕が開くと、西洋の城内をイメージしたセット、その階段の上にクラッシックなドレス姿で佇むアーヤカ姫、彼女の近くに置かれた戴冠式用の王冠が観客の目に飛び込む。ステージの左右には生バンドがスタンバイし、バックダンサーを務めるAMEFURASSHICROWN POPB.O.L.T、播磨かなもドレス姿や兵隊の派手な格好に。突然目前に広がった絢爛豪華な光景にプニノフたちが息を呑む中、昨年の佐々木の誕生日にリリースされた楽曲「A-rin Kingdom」で華やかにライブの幕が開いた。チ・キユウ星 ヒ・イズール大陸 りん王国やアーヤカ姫はこの曲のイントロで初登場した名前で、約1年越しにその設定が具現化された。

アーヤカ姫(撮影:上飯坂一)

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ももクロの楽曲「HOLIDAY」でも舞踏会のようなゴージャスかつにぎやかなパフォーマンスを繰り広げ、観る者を一気に物語の世界観に引き込んだアーヤカ姫は、序盤の2曲を終えたところで早々にお色直しへ。後輩メンバー扮するドレス姿の淑女たちが姫の噂話に花を咲かせている間、本人は胸元の大きなリボンが印象的なピンクのドレスにチャンジ。再びステージに姿を見せると、「あーりんと 同じ時代生まれたみんな おめでとう!」という自己肯定感と“圧”の強い歌詞で自身の誕生日を祝う「ハッピー♡スイート♡バースデー!」、“50's”をテーマにした「My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)」を軽快に歌唱した。続く「My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ)」ではステージ上にパーティ用のテーブルがセッティングされ、ベネチアンマスクを付けたアーヤカ姫はパーティの参加者たちとともにお盆やグラスを使ったおしとやかなパフォーマンスを展開。テーマパークのアトラクションのように目まぐるしくきらびやかなステージで観客を夢中にさせた。

怪盗あーりんからの予告状。(撮影:上飯坂一)

怪盗あーりんからの予告状。(撮影:上飯坂一)[拡大]

子分を連れた怪盗あーりん(中央)。

子分を連れた怪盗あーりん(中央)。[拡大]

序盤では平和かつ優美なライブが繰り広げられたが、ここから場内の世界観が怪しげなムードに一変する。暗転したステージに薔薇のマークが浮かび上がると、王冠があった場所に怪盗あーりんの予告状が。黒光りするタイトなスーツを着用した怪盗あーりんがAMEFURASSHIの愛来と小島はな扮する子分を引き連れて城内に侵入し、アーヤカ姫の王冠を盗み出した。彼女はアニメ「キャッツ♥アイ」の主題歌である杏里「CAT'S EYE」、これまでのソロコンでも披露されてきた「キューティーハニー」をセクシーにカバーし、プニノフたちを虜に。怪盗あーりんバージョンとして披露したももクロ「行くぜっ!怪盗少女」では、「ピカピカのダイアモンド そんなものは 興味がないの」という歌詞を「ピカピカのダイアモンド そんなものに興味があるの」にアレンジしたり、間奏で10人の兵隊とダンスバトルをしたりと、エンタテインメント性あふれるステージを展開した。次に黒いマントを羽織った怪盗あーりんは、今年5月17日の結成14周年記念日にリリースされたももクロの最新アルバム「祝典」よりリード曲「MYSTERION」をパフォーマンス。歌唱の難易度が高いナンバーを1人で歌いこなしてみせると、そのままの勢いでダークヒーローをイメージしたももクロの楽曲「D’の純情」、スピード感あふれるアッパーチューン「SPECIALIZER」、ロックナンバー「Bunny Gone Bad」を立て続けに歌唱し、会場のボルテージを右肩上がりに上昇させた。

アーヤカ姫(撮影:上飯坂一)

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王冠を手にした怪盗あーりんが颯爽と立ち去ると、スクリーンに「アーヤカ姫の王冠が盗まれ大変な事態なのでサイリウムを一旦オフにお願いします」という注意書きが表示され、会場内が暗闇で包まれる。兵隊たちが懸命に探すも王冠と犯人は見つからず、アーヤカ姫の城は悲しい空気でいっぱいに。白いワンピースドレスに身を包んで登場したアーヤカ姫は、“心の闇”をテーマにしたももクロのナンバー「魂のたべもの」を繊細に歌い上げ、悲哀にあふれた自身の感情を歌で伝えた。続いて彼女はバラードナンバーの「Grenade」「Memories, Stories」もしっとりと歌唱。壊れそうなほどに切ない表情に会場中の視線が釘付けになった。

アーヤカ姫のドレスに浮かび上がった薔薇のマーク。(撮影:上飯坂一)

アーヤカ姫のドレスに浮かび上がった薔薇のマーク。(撮影:上飯坂一)[拡大]

アーヤカ姫改め怪盗あーりん(中央)。

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悲しみに暮れつつ徐々に笑顔を取り戻していくさまが楽曲を通して描かれ、会場に安堵の空気が広がるも、ここで突如として怪しげな音楽が響き渡り、アーヤカ姫が怯え始める。そこに忍び寄るようにして現れたのは怪盗あーりんの子分である愛来と小島。2人がアーヤカ姫を拘束し、その体にブラックライトを当てると、薔薇のマークがドレスに浮かび上がった。さらに彼女にかけられた白いマント、ステージを覆った白幕にも同じマークが。事態を見守るプニノフたちが急展開に戸惑い、驚いていると、アーヤカ姫の表情が不敵な笑みへと変わり、実は姫自身が怪盗あーりんだったことが明かされた。子分を従えたアーヤカ姫ならぬ怪盗あーりんは、クールな女泥棒を描いたダンサブルなナンバー「Lady Cat」をパフォーマンスする。「Lady Cat」は「AYAKA NATION 2022」のテーマソングとして制作された新曲で、本日7月19日に配信リリースされた。曲が終わると「A-rin Kingdom」のラストパートが流れ始め、観客は再びペンライトのスイッチをオン。怪盗あーりんの「Bye bye!!」という言葉とともに約1時間半にわたる“あーりん劇場”が完結した。

アンコール前には美術家、イラストレーターのニイルセンによる「AYAKA NATION」恒例の幕間映像が上映される。ニイルセン劇場と題した今回の映像では怪盗あーりんの盗品が紹介され、「モナ・リザーリンの肖像」「永遠の命を与える『賢者のピンク石』」などの品々がスクリーンに映されるたびに観客から拍手が沸き起こった。映像の最後には「いいえ、あの方は何も盗らなかったです」と話すプニノフに対し、百田夏菜子、玉井詩織、高城れにが「いや、やつはとんでもないものを盗んでいきました。あなたたちの心です」と伝えるアニメーションが映し出され、客席から思わず笑い声が漏れていた。

佐々木彩夏(撮影:上飯坂一)

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そして映像内のプニノフが叫ぶ「さーさき!」コールを受けてクラップが起こり、アンコールがスタート。グッズの「イケイケイニシャルキャップ」を被って再登場した佐々木は、ライブの鉄板曲「あーりんは反抗期!」で会場のテンションを一気に引き上げる。この日初めてのMCでは「ついに本編にMCはなくなりました(笑)」とリラックスした様子で話し始め、「みんな意味わかってくれた?」「アーヤカ姫が泥棒だったっていうライブでしたー(笑)」と、ストーリーや構成を練り込んだライブ本編をあっさりとひと言で説明して観客を和ませた。その後も素の姿そのままのトークでプニノフとのコミュニケーションを楽しんだ佐々木は、B.O.L.Tの中学生2年生メンバーである青山菜花と白浜あやによるダンスをバックに「空でも虹でも星でもない」を歌い上げ、優しく温かい歌声を響かせる。昨年の「AYAKA NATION」で発売されたコール音声入りペンライト「あーりんコールペンライト」を持ったプニノフに「あーりん今日もかわいいよー」という声を一斉に鳴らさせ、ご満悦な表情を浮かべたあとは、後輩メンバーたちと「仕事しろ」「あーりんはあーりん♡」をにぎやかにパフォーマンス。「あーりん」と78回連呼する楽曲「あーりんはあーりん♡」では“あーりんママ”に取り込まれそうになる佐々木に向かって、観客が手でハートを作ってエールを送った。

「だって あーりんなんだもーん☆」をパフォーマンスする佐々木彩夏。(撮影:上飯坂一)

「だって あーりんなんだもーん☆」をパフォーマンスする佐々木彩夏。(撮影:上飯坂一)[拡大]

場内が幸福感と心地よい一体感で満たされる中、ラストに披露されたのは佐々木のソロナンバーの代表曲「だって あーりんなんだもーん☆」。後輩メンバーたちは佐々木の顔がプリントされたうちわを持って踊り、笑顔いっぱいのダンスでライブに華を添えた。前から今回のテーマでライブを開催したかったという佐々木は達成感を顔ににじませ、「私がやりたいことだけじゃやっぱり自己満足になっちゃうので、みんなが観たいもの、楽しかったなと思ってくれるもの、満足してもらえるものって何かなって考えながらライブを作っていったんですけど、その過程がすごく楽しくて」「こんなに幸せな空間が、『AYAKA NATION』っていう年に1回帰ってくる場所があるのがすごくうれしいなと思います! 次はもっともっとレベルアップして皆さんに満足してもらえるようなライブができたらいいな」と挨拶。「また皆さんに会えるのを楽しみにしています。また次があったら『AYAKA NATION』来てくれますかー!?」と問いかけて大きな拍手を浴び、客席の隅々まで丁寧に“レス”を送って今年の「AYAKA NATION」の幕を閉じた。

終演後には「会場内に怪盗あーりんが紛れているかもしれません。どなた様も気を付けてお帰りください。怪盗あーりんをお見かけした際はお近くのエスタシオンスタッフまでお知らせください」というアナウンスが流れ、再び客席から拍手が沸き上がる。さらに出口までの場内通路に怪盗あーりんの指名手配を知らせる紙がいくつも貼られ、開演前にロビーに展示されていた王冠が終演後にはなくなっているという徹底した演出により、プニノフたちはライブの世界観と余韻に浸りながら会場をあとにした。

なお本公演の模様を生中継したニコニコ生放送では、7月23日(土)22:00より「AYAKA NATION 2022 in TOKYO GARDEN THEATER 反省会」が配信される。

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佐々木彩夏「AYAKA NATION 2022 in TOKYO GARDEN THEATER」2022年7月19日 東京ガーデンシアター セットリスト

SE. あーりんちゅあ
01. A-rin Kingdom
02. HOLIDAY
03. ハッピー♡スイート♡バースデー!
04. My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)
05. My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ)
06. CAT'S EYE
07. キューティーハニー
08. 行くぜっ!怪盗少女
09. MYSTERION
10. D’の純情
11. SPECIALIZER
12. Bunny Gone Bad
13. 魂のたべもの
14. Grenade
15. Memories, Stories
16. Lady Cat
<アンコール>
17. あーりんは反抗期!
18. 空でも虹でも星でもない
19. 仕事しろ
20. あーりんはあーりん♡
21. だって あーりんなんだもーん☆

ニコニコ生放送「AYAKA NATION 2022 in TOKYO GARDEN THEATER 反省会」

配信日時:2022年7月23日(土)22:00~
配信URL:https://live.nicovideo.jp/watch/lv337694390
チケット購入ページ:https://dwango-ticket.jp/project/xa6ShWDJQg

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きーせんふ @KDHRkiisen0393

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