BUMP OF CHICKENの有観客ライブ開催は2019年11月まで行われた全国ツアー「aurora ark」以来、約2年8カ月ぶり。コロナ禍の真っ只中であった結成25周年の2021年を経て、今年2月10日と11日に結成記念日を祝う今回のライブが開催される予定だったものの、感染拡大状況の悪化に伴い延期となり、約半年を経て念願の振替公演が実現した。この記事では初日2日の模様をレポートする。
オープニングSEのThe Who「A Quick One While He's Away」が流れる中メンバーがステージに姿を現すと、1万5000人が集まった会場からは大きな拍手が沸き起こった。藤原基央(Vo, G)がギターを高々と掲げるのに合わせて観客が拳を挙げると、その腕にはめられた自動制御のリストバンド型ライト・PIXMOBが青く輝く。場内が一瞬の静寂に包まれたのち、涼やかに鳴り渡ったのは「アカシア」のイントロ。増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)のコーラスに合わせてオーディエンスの腕が上がる様子に、藤原は「やっと会えたね」とつぶやくように呼びかけた。
歓声の代わりに長く響いた拍手のあとは「Hello, world!」へ。4人は疾走感たっぷりにアグレッシブなプレイを繰り広げ、観客のテンションをさらに引き上げた。期待を高めるようにメンバーが向かい合って始まったのは「天体観測」。通常のライブならオーディエンスの大合唱が響く箇所は、感染拡大防止のため声を上げられない。そんな観客の心の声を聴くかのように藤原は歌声を止める。直後のMCで藤原は「世の中がこういう状況になっちゃう前、君たちが歌ってくれていた部分はそのままにしておこうと思います。たった1人の友達が学校を休んでしまって、その空席を『早く来ないかな』と見るような気持ちで空けておくつもりさ」と自身の思いを語り、ファンを感動に導いた。
温かなリズムが刻まれた「なないろ」のサビでは、PIXMOBがタイトル通りに7色に輝き楽曲の世界を彩る。増川がエモーショナルなギターソロを響かせた「宇宙飛行士への手紙」が終わると、藤原は「BUMP OF CHICKEN、25年目です。正確に言うと26年になっちゃったけど、みんな『せーの』でタイムスリップして、25年を祝ってください」と観客に語りかけた。
直井、増川、升がそれぞれの言葉でファンへの感謝の思いやこの日を迎えた心境を語ったあと、藤原は「ようやくこのライブをやれてうれしいよ」と喜びを明かしたものの「そんなこと言ったけど、今から何曲かすげえ暗いです(笑)。ついてきてください」と次なる展開を予告する。アコースティックギターを爪弾きながら藤原が歌い始めたのは「arrows」。ゆったりした空気を会場に届けたあとは「Small world」そして「銀河鉄道」へ。藤原の哀切なボーカル、直井と升の力強いリズム、増川のクリアなギターが響き合い、唯一無二の美しい世界観でオーディエンスを圧倒していった。
オレンジと赤のライティングに照らされて力強いアンサンブルが響いた「リトルブレイバー」のあとは、不穏なギターイントロから「乗車権」が始まり場内のムードが一変。スリリングなサウンドで再びオーディエンスのテンションは急上昇した。「Aurora」ではメンバーの煽りに応えて観客が息もぴったりなハンドクラップを鳴らし、オーロラのようにレーザー光線の波がゆらめく中で浮遊感と高揚感に満ちた演奏が繰り広げられた。藤原は「あと何曲かやったら終わっちゃうんだよ」とライブが終盤に近づいていることを明かすが、反応に困る客席の様子を見て「『えーっ!』て言いたいところだよね(笑)。俺も思っていた以上に感極まってて、すごく楽しくやらせてもらってます。ありがとう」とその思いを代弁した。
会場の一体感がピークまで高められた「ray」に続いては「オンリーロンリーグローリー」へ。ここまでカラフルにライブの世界を彩ってきたPIXMOBがこの曲では光らず、オーディエンスが挙げる拳や躍動する生身の体そのもので、それぞれの思いをステージに向けて届けるひとときとなった。本編最後を飾ったのは「メーデー」。藤原は最後の歌詞を「再び呼吸をする時は 君と一緒に」と歌いながら客席を力強く指差してみせた。
アンコールを求める大きな拍手に応えて再びステージに現れた4人は、和やかに談笑しつつ客席をバックにした記念撮影を行う。ここで藤原は「古い曲もいろいろやったけど、新しい曲もやりたいです」と紹介し、「クロノスタシス」の演奏へ移った。多数のミラーボールの光がきらめく中、4人はこの場所に集まった観客への思いを表現するような歌声と演奏を繰り広げる。最新のBUMP OF CHICKENのモードを届けたあと、藤原は「『クロノスタシス』や『Small world』よりも前に書いた曲があるんだけど、まだ世に出してないんだ。その曲を今からやらせてください」と未発表曲を披露することを明かし、オーディエンスを驚かせた。
演奏された新曲「木漏れ日と一緒に」は、日常の景色とその中で抱く思いを描いたナンバー。後半から大きく表情を変える展開でこれまでのBUMP OF CHICKENの楽曲とはまた異なる印象を与え、オーディエンスも4人が繰り広げる世界に食い入るように見入っていた。新曲の披露を終えた藤原は「誰も知らない曲をやって『じゃあ終わります』って終われないので……(笑)。一番歴史が古い曲、結成記念日にはやるか!ってなる曲です」と最後の曲を紹介した。ここで披露されたのは結成当初に制作され、いまだに正式なレコーディング音源が存在しない幻の楽曲「BUMP OF CHICKENのテーマ」。この選曲に、オーディエンスは声を押さえながら大いに喜んでいた。
客席に向かって大きく手を振りながら直井、升、増川がステージを降りたあと、最後に残った藤原はコロナ禍を経て今回の25周年公演を実現させた心境を「絶対にみんなにこの誕生日に出席してもらいたくて、あきらめきれなくて」と吐露する。そして「君たちが見せてくれる未来があります。俺は1人でスタジオで曲を作ってるときも『この曲は未来につながる』と思ってます。それは君たちが教えてくれた、宝物みたいな経験です」とファンとの絆を熱く語り、「これからもよろしくお願いします」と改めて感謝の気持ちを表した。
なお今回のライブの映像が、8月14日(日)18:00よりHuluにて独占配信されることも決定した。18:00からのライブ配信終了後には8月28日(日)まで見逃し配信の視聴も可能。チケット購入に関する詳細はHulu公式サイトで確認を。
またTikTokではBUMP OF CHICKENの公式アカウントも開設された。記念すべき最初の投稿として、今回のライブの映像が公開されている。公式アカウント開設に合わせ、TikTokではBUMP OF CHICKENがこれまでにリリースした全楽曲の使用が解禁された。
BUMP OF CHICKEN LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe 02/10-11 2022年7月2日・3日 幕張メッセ国際展示場9~11ホール セットリスト
DAY 1
01. アカシア
02. Hello,world!
03. 天体観測
04. なないろ
05. 宇宙飛行士への手紙
06. arrows
07. Small world
08. 銀河鉄道
09. リトルブレイバー
10. 乗車権
11. Aurora
12. ray
13. オンリーロンリーグローリー
14. メーデー
<アンコール>
15. クロノスタシス
16. 木漏れ日と一緒に
17.
DAY 2
01. アカシア
02. Hello,world!
03. 天体観測
04. なないろ
05. ギルド
06. イノセント
07. Flare
08. 銀河鉄道
09. リトルブレイバー
10. 才悩人応援歌
11. Aurora
12. ray
13. ファイター
14. メーデー
<アンコール>
15. クロノスタシス
16. 木漏れ日と一緒に
17. ガラスのブルース
18. くだらない唄
リンク
BUMP OF CHICKEN情報非公式 @BUMPOFCHICKEN_s
(ナタリー記事 https://t.co/YDSIKogAOt によると幕張公演のライブ映像が『8月14日(日)18:00よりHuluにて独占配信』とな #BUMPOFCHICKEN #SilverJubilee )