今回のツアーで、全国7つの会場を巡ったM!LK。「にぎやかなM!LKが全国を行脚する」という公演のコンセプトを掲げた彼らは、エンタテインメント性あふれるショーで各地の観客に驚きと笑顔を与える、タイトル通りサーカス団のようなステージで、会場に足を運んだみ!るきーず(M!LKファンの呼称)をもてなした。昼夜の2部制で行われた最終日の公演のうち、この記事では第2部の模様をレポートする。
開演時刻を迎えると、ステージ奥に設置された大きなLEDビジョンにはサーカステントの中でショーの準備を進めるM!LKの5人の姿が映し出された。1人ひとりの紹介映像に期待感が高まったところで誰もいないステージに5つのスポットライトが当てられると、その瞬間舞台上が強い光に包まれ、スポットライトの下にメンバーの姿が。まるでイリュージョンのような登場シーンに客席のペンライトが激しく揺れる中、軽快なクラップ音とともにM!LKのサーカスは「パッパラ・シュビドゥ・ヴァァァァァァァ」で幕を開けた。
絢爛なサウンドに乗って楽しげにスウィングし、今ツアー最後のショーにみ!るきーずを招き入れた5人。オープニングナンバーを終えるなり、佐野勇斗は「東京最終公演、ツアー最後だから悔いのないようにいこう!」と絶叫する。この言葉を合図に「テルネロファイター」へ突入すると、会場の空気は一気にヒートアップ。曲中、5人はヒーロー風の口上で名乗りを上げ、山中柔太朗は「盛り上がる準備できてんの? 俺らに愛される準備できてんの? 宇宙一幸せにしてやる、どうぞよろしく」とファンに熱いメッセージを送る。佐野による「お前ら、元気そ?」というおなじみのひと言もみ!るきーずのテンションを引き上げ、佐野が叫んだ「みんなで一緒に牛になれ!」という言葉通り、サビパートでは観客もメンバーと一緒に両手で牛の角のポーズを作って大きな一体感を形成した。
ここからM!LKの5人は、サーカスならではの魅せるパフォーマンスを盛り込んだエンタテインメントショーを展開してファンを楽しませる。「ジャングリズム」では曽野舜太がマジシャンさながらのマジックを披露。スカーフをステッキに変えたり、シルクハットの中からミニチュアの東京タワーを出現させたりして満面の笑顔を浮かべた。「コーヒーが飲めません」ではチェアダンスを披露し、7年前のデビュー曲をグッと大人びたアレンジでアップデートした5人。センターポジションを担う山中は艶やかな仕草で椅子を扱ってみ!るきーずの視線を奪い、椅子の背もたれに乗り上げて倒す大技もクールにこなしてみせた。佐野がダイナミックなストンプを披露し、ボディパーカッションを使ってのコール&レスポンスで観客を楽しませた「Good Morning Mr. Mistake」を経て、「交差点、信号、君と僕」では冒頭パートを吉田仁人がアカペラで歌い上げ、力強く響きわたるボーカルで客席を圧倒。ステージのあちこちに散らばった5人は心をひとつにした豊かなユニゾンも聴かせ、M!LKの確かなボーカル力を改めてファンに提示した。
オープニングパートの最後を飾った「energy」では、この曲のために設置されたバーカウンターの上で塩崎太智がボトルジャグリングを披露。軽やかなボトルさばきを見せたかと思えば、カウンターの上からバック宙でステージに着地するダイナミックなアクロバットも鮮やかに決めた。この曲ののちに設けられた最初のMCタイムでさっそくオープニングパートの演出に触れた5人は、それぞれがこのツアーのために用意したパフォーマンスを「決まっちゃったねえー」「今日、過去イチだったね!」「吉田さんのアカペラもよかったね!」とにぎやかに褒め合う。吉田は「13公演を経て、僕らも成長したんじゃない? とにかくずっと楽しかったよね」と、それぞれの進化をしみじみと噛み締めていた。
さわやかなポップチューン「君とスクロール」でライブが再開すると、5人はそれぞれに笑顔を交わしながら体を揺らす。会場が柔らかいピンク色の光に染まった「桜咲く頃には」では、佐野が「み!るきーずがいたから……!」と歌詞を変えてファンへ思いを伝えるシーンも。ふざけあい、自然体な振る舞いや表情を見せる5人の姿からはステージの上でメンバー、ファンと時間を共有する喜びがにじみ出るようで、そんな5人の姿をみ!るきーずも笑顔で見つめながらペンライトを振っていた。
サーカステントでの5人のやりとりを映し出すインタールード映像を経て、メンバーはモノトーンのシャツとパンツに衣装替えして再びステージへ。オリエンタルなEDMナンバー「MAGIC CARPET」、ゴシック調のサウンドがシリアスなムードを誘う「君の知らない世界へ」をクールな表情と仕草で歌い踊り、これまでの楽しげな雰囲気をがらりと変えてみせた。「gkbr」のハンディライトを使ったパフォーマンスでコミカルな顔をのぞかせたのち、「May」で5人が見せたのは、それぞれが手にした赤い布を操りながら楽曲を歌う演出。ぴんと張り詰めた空気感の中でお互いを束縛するようなポーズを作り、シャープなダンスで激情をあらわにするメンバーの全力の姿を、観客は息を飲むように見つめた。
エッジーなダンスパフォーマンスでM!LKの表現の振れ幅の大きさが示されたパートが終わり、再び5人が舞台上から姿を消すと、LEDビジョンには「君のためだけのサーカスを始めるよ」というメッセージが映し出された。M!LKのショーは、「DEAR LIFE」でクライマックスへ。きらびやかなイエローのテキスタイルで仕立てられたセットアップに着替え、み!るきーずと向き合った5人は、メジャーデビュー曲「Ribbon」で描かれるまっすぐな愛情を柔らかな表情でオーディエンスへと歌い届ける。佐野の太く響く声が5人のアンサンブルを力強くリードした「HIKARI」では、横1列に並んだメンバーが“光”をつかむように客席へ向けて手を伸ばした。「Goin’ Down」では上層階の観客までをくまなく見つめて手を振る5人の思いに応えるように、客席にハンドウェーブの波が広がる。メンバーはこの光景に表情をほころばせながら、ライブ本編の幕を下ろした。
み!るきーずの思いのこもった手拍子を受けてスタートしたアンコールでは、「フレ!フレ!オレ!」のインスト音源に乗せてM!LKの楽曲のイントロクイズで対決した5人。最後まで正解することができなかった佐野は罰ゲームとして“胸キュンセリフ”を演技付きで披露することに。カメラマン兼監督を務めた曽野のリクエストで「ロミオとジュリエット」のロミオと化した佐野は、曽野が手にしたカメラに向かって「僕がそばにいてほしいのはただ1人、君だけだから。僕と付き合ってください、ずっと大事にするから」と甘い言葉を投げかけ「最終公演これで大丈夫? ホントに魂削られる!(笑)」とたじたじになっていた。また、アンコールでは8月10日にシングルリリースされる新曲で、東海テレビ・フジテレビ系ドラマ「僕の大好きな妻!」のオープニングテーマに決まった「奇跡が空に恋を響かせた」が披露される場面も。曲前に佐野が「夏にぴったりな曲」と伝えた通り、5人はさわやかなボーカルとダンスでファンを魅了する。5人がステージの両端にまで歩みを進めて元気いっぱいに客席を盛り上げた「ハナキン!」ののち、エモーショナルなメッセージソング「Winding Road」でライブは締めくくられる。肩を組み、手を重ね、「僕らを続けよう」と歌ってこれからも続く道を一緒に見つめた5人。曲を終え、佐野は「生でみんなに会えるのはやっぱり楽しいなって。俺らはみ!るきーずに支えられているんだなっていうことも実感できたので、これからもドームツアーに向かって、さらに突っ走っていきたいと思います」と約束した。
最後に挨拶に立ったリーダーの吉田は、ライブの演出を手掛けた塩崎や衣装を考案した山中の仕事ぶりにも言及。「素敵な衣装とステージがあって、皆さんがいるから僕らはここに立てているわけで。だから僕はもう『うれしいー! 超楽しいー!』っていうだけなんですよね(笑)。このステージの上で楽しめているのは、みんなが観てくれているから。そんなふうに考えると、もっといろんな景色を見たいなと思います」と意欲をのぞかせつつ「太智の頭の中は無限大だし、柔太朗はずっとおしゃれだし、もっといろんなことができると思っています。これからも、リーダーはみんなにおんぶに抱っこで、楽しんでいきたいと思いまーす!」と冗談交じりに宣言して、メンバーとみ!るきーずを笑顔にした。
M!LK「M!LK SPRING TOUR 2022 “CIRCUS”」2022年5月28日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) 第2部 セットリスト
01. パッパラ・シュビドゥ・ヴァァァァァァァ
02. テルネロファイター
03. ジャングリズム
04. コーヒーが飲めません
05. Good Morning Mr. Mistake
06. 交差点、信号、君と僕
07. energy
08. 君とスクロール
09. 桜咲く頃には
10. MAGIC CARPET
11. 君の知らない世界へ
12. gkbr
13. May
14. DEAR LIFE
15. Ribbon
16. HIKARI
17. Goin’ Down
<アンコール>
18. フレ!フレ!オレ!
19. 奇跡が空に恋を響かせた
20. ハナキン!
21. Winding Road
※塩崎太智の崎はたつさきが正式表記。
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にぎやかな“サーカス団”M!LKの全国行脚が渋谷で幕、充実のステージに「もっといろんな景色を見たい」 https://t.co/qSMpVApqSD