GEZANが野音を真っ赤に染めた春、マヒトが見た新しい希望

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GEZANが昨日3月27日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)で単独公演「BUG ME TENDER vol.17」を開催した。

GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」の様子。(撮影:taro mizutani)

GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」の様子。(撮影:taro mizutani)

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日比谷公園の桜。(撮影:taro mizutani)

日比谷公園の桜。(撮影:taro mizutani)[拡大]

マヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo, G)(撮影:taro mizutani)

マヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo, G)(撮影:taro mizutani)[拡大]

「3×9(さくら)=27」という語呂合わせに加えて、桜の開花時期と重なることから3月27日は「さくらの日」とされている。日比谷公園の桜も満開となっており、当日は花見を楽しむ家族連れも多く見られた。そんなのどかな風景から隔絶された野外音楽堂。ステージには真っ赤な幕が下され、異国の民族音楽が流れる中、客席には人があふれかえる。ただならぬ雰囲気の舞台から狼煙が上がると、バグパイプを吹くイーグル・タカ(G)、ヤクモア(B)、石原ロスカル(Dr)、コーラス隊がぞろぞろと登場。Million Wish Collectiveと名付けられたコーラス隊のスキャットに呼び寄せられるように現れたマヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo, G)がトランペットを吹けば、いよいよ“独炎”の幕開けだ。満員の客席はバンドが打ち鳴らすビートに合わせて脈打ち始めた。

GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」の様子。(撮影:taro mizutani)

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赤い旗がはためく中、呪文のような言葉を唱え、咆哮するマヒト。「デタラメな世の中なんでデタラメに踊りましょう」と呼びかけた彼らは、最新アルバム「狂(KLUE)」の収録曲を境目なくパフォーマンスし、混沌とした空間を生み出していく。その荒々しい演奏が落ち着きを見せたかと思えば「もう俺らは我慢できない!」という言葉からパフォーマンスは再び熱を帯び、彼らがボブ・マーリーの「Get Up, Stand Up」を歌う中、観客はステージに向かって拳を振り上げる。30分ほど続いた儀式のようなパフォーマンスを締めくくったのは「東京」。Million Wish Collective退場後、タカ、ヤクモア、ロスカルもひと際激しいセッションを繰り広げてステージを去った。

マヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo, G)(撮影:taro mizutani)

マヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo, G)(撮影:taro mizutani)[拡大]

熱気冷めやらぬ中、1人残ったマヒトはクラシックギターの弾き語りでソロ曲「失敗の歴史」を披露。宵闇に包まれた会場に繊細な歌声が響きわたり、つい先ほどまでの狂乱じみた光景が幻だったかのように、穏やかな時間が流れる。しかし、そこにタカ、ヤクモア、ロスカルが再び現れ「Wasted Youth」の演奏を始めれば場内の空気はまたも一変。マヒトもクラシックギターからエレキギターに持ち替えて声を張り上げ、聴衆を熱狂に導いていった。

GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」の様子。(撮影:taro mizutani)

GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」の様子。(撮影:taro mizutani)[拡大]

カルロス・尾崎(B)の脱退後、当時18歳のヤクモアを昨年5月に迎え入れ、8月の「FUJI ROCK FESTIVAL '21」で新体制を披露したGEZAN。マヒトによれば1年前の3月27日は偶然にもメンバーオーディションの初日だったという。激動の1年を送ってきたヤクモアだが、話を振られると「GEZAN入ってよかったっす!」とひと言だけ挨拶。その潔さに笑いも起こる中、「龍のにほい」で演奏を再開した4人は「blue hour」「END ROLL」といった過去の代表曲でバンドが持つエネルギーを存分に示した。

大きな拍手が巻き起こる中、タカは「今日は集まってくれてありがとう。準備突っ走ってきたんですけど、昨日いろいろ考え事してたら改めて友達っていいなと思いました」と素朴な思いを語る。またカルロス脱退後、タカがバグパイプを始めたことにも触れると、ロスカルは「バグパイプの音でタカさんの居場所がわかるんすよ」、マヒトは「肩書きもギターの前にバグパイプ書いてるからなコイツ。次のアルバムはバグパイプが多くなるやろな」と言い、場内は笑い声にあふれた。

マヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo, G)(撮影:taro mizutani)

マヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo, G)(撮影:taro mizutani)[拡大]

そんなくだけたやり取りもありつつ、「戦争もそうやし、地震もきたり、めちゃめちゃ揺さぶられた3月だった」と語り始めたマヒトは、「人が集まることが悪とされてきた時間があって、その中でいろんなものが変わってしまったり、終わってしまったりしていったと思うんですけど、今日ここに立って思うのは本当に人が集まるということは力、というか価値がある」と発言。「ずっとモヤモヤした気持ちが毎日あるんですけど、音楽が理屈じゃなく寄り添うというか一緒にいてくれるっていうのは自分にとって救いで。3月を音楽で終われてよかったなって。音楽家に音楽をやらせてくれてありがとうございます」と感謝し、「言葉にする必要ないけどあえて言葉にしていきます。この景色自体が新しい希望の形なんで」と語った。

GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」の様子。(撮影:taro mizutani)

GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」の様子。(撮影:taro mizutani)[拡大]

ライブ終盤、Million Wish Collectiveを再び迎え入れたGEZANは、未発表の新曲を立て続けに披露。生命力あふれるパフォーマンスで観客を圧倒していく。終始エネルギッシュにドラムを叩き続けたロスカルは「ニュースとか聞いてると春ってこうじゃねえよなとか思って。でも今日は野音で、Million Wishで、GEZANで、ライブやって、デカい音出して、そういう意味で春です!」と清々しく叫ぶ。そして「この曲を歌いに来たと思ってます」というマヒトの言葉からMillion Wish Collectiveの輪唱が始まると「JUST LOVE」という名の新曲でパフォーマンスは締めくくられた。

GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」の様子。(撮影:taro mizutani)

GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」の様子。(撮影:taro mizutani)[拡大]

GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」の様子。(撮影:taro mizutani)

GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」の様子。(撮影:taro mizutani)[拡大]

ここでGEZANとMillion Wish Collectiveは退場するが、観客がアンコールを求める中、すぐにステージに戻ってきたメンバーは「DNA」でライブを再開。ストレートなサウンドで再び熱気をもたらしつつ、Million Wish Collectiveを迎えた「リンダリリンダ」でバンドの新しいモードを見せる。

「これからもいろいろなことがあると思うし、1年後は想像もつかないけど、集中力を持って、想像力だけは捨てずに、そんときそんときの正解をちゃんと自分の意志で見つけていくのがホンマに大事だと思っていて。最後その気持ちで1曲やって終わります」

GEZANとMillion Wish Collective。(撮影:taro mizutani)

GEZANとMillion Wish Collective。(撮影:taro mizutani)[拡大]

マヒトの呼びかけからGEZANが最後に演奏したのはバンドのアンセムと言える「Absolutely Imagination」だ。興奮を抑え切れない観客に「モッシュはやめてくれ!」と訴えつつ、マヒト、タカ、ヤクモア、ロスカルは彼らが今考える“正解”を叩き付けて退場。強烈な余韻が残る中、GEZAN初の野音単独公演は終演した。

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GEZAN「BUG ME TENDER vol.17」2022年3月27日 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)セットリスト

01. 誅犬
02. 赤曜日
03. EXTACY
04. replicant
05. AGEHA
06. Soul Material
07. もう俺らは我慢できない
08. Get Up, Stand Up
09. 東京
10. 失敗の歴史
11. Wasted Youth
12. Ambient Red
13. 龍のにほい
14. blue hour
15. END ROLL
16. We were the world
17. We all fall
18. 萃点
19. 輪唱
20. JUST LOVE
<アンコール>
21. DNA
22. リンダリリンダ
23. Absolutely imagination

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