「あなたの存在が僕らの剣になる」原因は自分にある。涙と笑顔あふれた2021年ラストワンマン

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原因は自分にある。が、12月30日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)でワンマンライブ「げんじぶ空間:case.2」を開催した。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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「げんじぶ空間:case.2」は、2021年4月に行われたグループ初の有観客ワンマン「げんじぶ空間:case.1」以来、約8カ月ぶりに行われたワンマン公演。12月27日の大阪公演に続く30日の東京公演は昼夜の2部にわたって行われ、ともにたくさんの観測者(原因は自分にある。ファンの呼称)が会場に足を運んでげんじぶの2021年ラストライブを見守った。この記事では、第2部の公演の模様をレポートする。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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げんじぶが12月にリリースした2ndアルバム「虚像と実像」は“ピアノロックに哲学的な歌詞”という、これまで作り上げてきたグループのアイデンティティやイメージを塗り替えるような挑戦的な楽曲の数々で構成された作品だった。この「虚像と実像」を引っさげ行われた「げんじぶ空間:case.2」は、アルバム1曲目に収録されている「黄昏よりも早く疾走れ」で幕開け。轟音のギターロックサウンドが響き渡る中7人のシルエットが浮かび上がると、客席を埋め尽くすオーディエンスは手にしたペンライトを輝かせて彼らを迎えた。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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この日のステージには高さの異なる3つの巨大キューブが置かれており、キューブの前面とステージ背景に貼られたLEDによって、背景全面に映像演出が映し出されるダイナミックな仕掛けが施されていた。大倉空人のパワフルな歌唱、杢代和人の「僕はここにいる!」という叫び、そして楽曲の疾走感をそのまま動きに落とし込んだ激しいダンスと、1曲目から圧倒的な熱量でパフォーマンスを届ける7人。ブレイクなしで「嗜好に関する世論調査」になだれ込むと、LEDビジョンにはモノトーンのクールなグラフィックが投影される。白と黒の世界に飛び込んだ7人が「2択 2択 2択」と歌う場面ではメンバーが順にスポットライトに照らされ、背景のメンバー紹介映像とリンクするという演出が、観測者の目と耳を楽しませた。

「灼けゆく青」のパフォーマンスの様子。(撮影:米山三郎)

「灼けゆく青」のパフォーマンスの様子。(撮影:米山三郎)[拡大]

ここから彼らは「J*O*K*E*R」「灼けゆく青」と、「虚像と実像」の収録曲を連投。絢爛なサウンドに挑発的な歌詞が踊る「J*O*K*E*R」では、冒頭、無数のサーチライトに照らされながらセンターに躍り出た吉澤要人がバレエ仕込みの美しいターンで観測者を魅了。7人はジャズダンスとヒップホップを融合させたような華やかなパフォーマンスを見せる。続く「灼けゆく青」は、ポエトリーリーディングで“失われた青春”を表現する楽曲。7人はステージの上段下段、あちこちに散らばり、順に曲のメッセージを歌いつないでいく。彼らの紡ぐ言葉には、アルバム音源とはまた違った生々しい悲しみの感情が宿り、その迫真の表現に客席はじっと耳を傾ける。LEDビジョンに映し出される歌詞の文字も踊ったり崩れたりと、メンバーによる感情表現とシンクロ。歌唱、ダンス、映像表現の見事な融合は、まるで1つの映像作品を観ているかのような錯覚を与えていた。

4曲を終えてのMCでは、吉澤が「皆さんのおかげで、今年は2枚もアルバムを出させていただきました! めちゃめちゃ曲数が増えたおかげで、こんなにすごいセットを入れてライブすることができています」と語る。「(ステージの)2階部分に立つと奥までよく見える」と、舞台セットからの景色を伝えた小泉光咲は「たくさんアピールしてくださいね」と観測者に呼びかけた。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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「ここから一緒に、伝説になるようなライブを作っていきたいと思いますので、楽しんでください」と長野凌大が言うと、雨が地面に打ち付けられる音が会場に響く。長野の歌声で始まる「豪雨」は、道ならぬ恋を歌い上げるバラードで、7人は主人公の揺れる思いを情感豊かな歌声に乗せて表現した。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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桜木雅哉を“物語”の主人公に、幽玄な世界観のダンスパフォーマンスで古の時代へのタイムスリップを表現した「伊呂波 feat. fox capture plan」、星空がきらめく映像演出をバックに小泉が透き通るような歌声を響かせた「幽かな夜の夢」が届けられると、ライブも折り返し。セットアップからカジュアルなストリートルックに着替えてステージに再登場した7人は、吉澤のクールなラップを皮切りに「0to1の幻想」をドロップする。LEDビジョンにはバイナリーコードが映し出され、ネオンカラーの光が鮮やかに会場を照らす中、メンバーは四つ打ちのビートに力強く体を揺らし、「Go!」「Let's go!」と声を合わせてオーディエンスを熱く煽った。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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まったく異なる世界観を持つ楽曲の1つひとつを丁寧に、力強く表現してきた7人は、ここで5曲をつなげたメドレーを披露し、色鮮やかで目まぐるしい展開をさらに加速させる。「嘘から始まる自称系」から始まったこのメドレーでは「犬と猫とミルクにシュガー」のリミックス音源を使ったダンスパートも差し込まれ、大倉と杢代のペアダンスや桜木のソロなど、さまざまな見せ方でダンスをつなぐ7人の力強い躍動がファンの目を奪った。ホーンセクションの華やかなサウンドに彩られた「In the Nude」では、ミラーボールの光の下でリズミカルに指を鳴らした7人。メドレーの最後に置かれた「半分相逢傘」は曖昧な関係性の2人の一夜の駆け引きを歌うナンバーで、メンバーは楽曲の主人公の揺れる心を衝動的なダンスで浮き彫りにしてみせる。曲中「これでどっちも悪いね」という“決定的”なセリフを担う吉澤は静かに優しい声色でこの言葉を放ち、観測者たちの心をぎゅっとつかんでいた。

「半分相逢傘」のパフォーマンスの様子。(撮影:米山三郎)

「半分相逢傘」のパフォーマンスの様子。(撮影:米山三郎)[拡大]

2度目の衣装替えを経て、「ギミギミラブ」でライブはクライマックスへ。ここまで曲の世界観に没頭していた7人の表情にはリラックスしたような笑みが浮かび、彼らはお互いに顔を見合わせたり、ハグしたりしながら「ペンライトを上げてください!」と客席に向かって呼びかける。楽しげなムードが広がった会場を見渡した小泉は、両手で大きなハートマークを作り、これを観測者に送った。続く「ネバーエンドロール」では吉澤が杢代をおんぶしたりと、7人のじゃれ合いも加速。ラストにはお互いに身を寄せ合って曲を締めくくり、温かな一体感を作り上げた。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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セルフタイトルのデビュー曲「原因は自分にある。」を届け終えると、長野は「この2年間、あっという間でした」と切り出す。彼は「ときどきつまづいて、進めないときもありました。そんなときに支えてくれたのはメンバーだったり、何よりもこうして会場に来てくれるそこのあなたでした。あなたの存在が、僕らの“原因”になり“剣”になります」と胸の内を語った。「このZepp公演を出発地として、僕たちは来年に向かって走っていきます。もしもまたつまずきそうになったときは“剣”を貸してください。僕たちと君の曲です。聴いてください」。そんな長野の決意の言葉とともに披露されたラストナンバーは、「虚像と実像」の最後を飾る「藍色閃光」。メンバー自身が「今までの総括的な曲」「『げんじぶは7人なんだ』ということが一番強く表れている」と語るこの曲には、スケール感のあるサウンドと“君と僕”のファンタジックなストーリーの中にグループの歩み、そしてメンバーとファンの切れない絆が表現されている。青空から星空までを駆け抜ける疾走感のある映像演出をバックに、横1列に並んだ7人はまっすぐなユニゾンを響かせて1つになる。一方で、ダンスパフォーマンスの中には長野と杢代の“衝突”を想起させる振り付けも。げんじぶが歩んできたありのままの道のりが反映されたダンスを気迫十分に踊る7人の姿を、観測者は息をのむように見つめた。曲終わり、7人が一斉に後ろを振り返ると、背景のビジョンには抜けるような青空が。ドラマティックなエンディングに深い余韻が残る中、本編の幕は下ろされた。

「ラベンダー」でスタートしたアンコールでは、曲終わりにこの日初めてまとまったトークタイムを取った7人。1stシングル収録の「ラベンダー」の披露がひさびさだったという話題では、大倉が当時の映像を振り返ったことをファンに伝え「雅哉とか、まだちっちゃくて」とひと言。すると最年長の武藤潤が「俺だけじゃん、何も変わんないの!」と応じて、メンバーの笑いを誘った。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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小学校6年生のときに、EBiDANのライブイベント「EBiDAN THE LIVE」で初めてステージに立ったと振り返ったのは長野。「すごく大きなステージで夢をもらったけど、グループ活動が始まってからは正直不安で」と続けた彼は、BATTLE STREETという名前で1歩目を踏み出した7人の、グループ結成当時の苦難を口にする。「『原因は自分にある。』になって、名前もおかしいから大丈夫かなって(笑)。でも僕らに会いに来てくれる人がいて、だんだん増えていって、俺たちは間違ってなかったなって。逃げ出したいこともあったけど、音楽を嫌いになったことはなくて。僕たちの“原因”は、本当にあなたなんです」と、ファンに向けてまっすぐに思いを伝えた長野は「もっとたくさんの人の原因になれるようにがんばっていきます。絶対に離さないんで、付いてきてください」と続けた。

「僕は大事なときに噛むんです。はあ、緊張した(笑)」。長野が気恥ずかしそうにメッセージを締めくくると、7人はラストナンバーとして「時速3km」を観測者に届けた。2ndシングルに収録されているこの曲は、同じ歩幅で一緒に歩いて行こう、と7人がファンに伝える、げんじぶが結成当初から大切にしているナンバー。横1列に並び、ファンと笑顔を交わしながら歌声を響かせていた7人だったが、感極まった武藤の瞳はみるみるうちに涙で潤んでいく。曲を歌い終え、最年長の涙に気付いたメンバーは口々に「潤くん!(笑)」と声をかけ、「潤くんがしゃべるとこだよ!」と締めの挨拶を促す。すると武藤は「いぞう……以上! 原因は自分にある。でした!」と涙声を張り上げた。この挨拶を横で聞いていた杢代の瞳にも涙が浮かび、7人は互いに肩を寄せ合う。涙と笑顔が入り交じる柔らかなムードの中でげんじぶの2021年ラストライブは幕を閉じ、メンバーは何度も「ありがとう!」をファンに伝えながら会場をあとにした。

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原因は自分にある。「げんじぶ空間:case.2」2021年12月30日 Zepp Haneda(TOKYO) 第2部 セットリスト

01. 黄昏よりも早く疾走れ
02. 嗜好に関する世論調査
03. J*O*K*E*R
04. 灼けゆく青
05. 豪雨
06. スノウダンス
07. 伊呂波 feat. fox capture plan
08. 幽かな夜の夢
09. 0to1の幻想
10. 嘘から始まる自称系~犬と猫とミルクにシュガー~柘榴~In the Nude~半分相逢傘
11. ギミギミラブ
12. ネバーエンドロール
13. 夜夏
14. 原因は自分にある。
15. 藍色閃光
<アンコール>
16. ラベンダー
17. 時速3km

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読者の反応

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micociy🌱 @moku_my

2021.12.30★げんじぶ空間:case.2

げんじぶLive初参戦🌟
めちゃくちゃ年齢的に場違い感気にしていて写真も全然撮れなくてソワソワしていて娘に怒られてたなwwww
" 僕はここにいる‼️"
生歌のアレンジ✨✨
5列目でくらった杢ちゃんの最強口ハート💚

衝撃すぎた、、、

https://t.co/AFMAjCje05 https://t.co/MaCHKbIxaG

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