でんぱ組.incが幸福な「箱庭」作り上げた中野サンプラザ単独公演、レアなセトリで各メンバーが個性発揮

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でんぱ組.incのワンマンライブ「箱庭の掟」が、11月13日に東京・中野サンプラザホールで行われた。

でんぱ組.inc

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今年2月に愛川こずえ、天沢璃人(ミームトーキョー)、小鳩りあ、空野青空(ARCANA PROJECT)、高咲陽菜を迎え、10人体制となったでんぱ組.inc。それから約9カ月を経て開催された本公演は、休養中の古川未鈴と根本凪を除く8名でのステージとなったが、レアな楽曲も交えたセットリストで、それぞれが個性を発揮し、進化し続けるグループの現在の姿を観客に印象付けた。

ペンライトを手にし、グッズを身に付けたファンが集結した中野サンプラザホール。辛い日々が続く中でも「箱庭でだけは幸せでいたい」というナレーションが優美な音楽とともに流れると、ミュージカル調の「プリンセスでんぱパワー!シャインオン!」でライブは幕を開けた。メンバー8人がまとっている華やかなドレスは、スタイリストの佐野夏水がこの日のために制作したもの。ステージセットとともにクラシカルな雰囲気を生み出していた。

でんぱ組.inc「箱庭の掟」の様子。

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ドラマチックな歌とダンスで1曲目からクライマックスのような感動を巻き起こした8人は、続けて「最Ψ最好調!」を怒涛の勢いでパフォーマンス。「みんな会いたかったよ!」と手を振った相沢梨紗は、「今日は10人全員の完全体ではないんですけど、ここにいるみんなで800%! 1000%! みんなを楽しませたいと思っていますのでどうぞ最後まで付いてきてくださいね!」と観客に呼びかけた。

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自己紹介後、「みんな突っ走ってこれるかー!? 踊れる準備もできてるかー!?」という藤咲彩音の煽りから披露されたのは、多様性を歌った「玉虫色ホモサピエンス」。彼女たちは演劇のようなパフォーマンスを展開し、曲中には“天の声“としてレコーディングに参加した古川の声もホールに響きわたる。「でんぱーりーナイト」「でんぱれーどJAPAN」の玉屋2060%(Wienners)提供曲2連発に続いては、相沢と天沢を除く6人で「NEO JAPONISM」へ。ステージを元気いっぱいに走り回りながら「ぜ ぜ ぜ 絶好調!」と連呼し、ありあまるエネルギーを見せつけた。

左から愛川こずえ、藤咲彩音、小鳩りあ。

左から愛川こずえ、藤咲彩音、小鳩りあ。[拡大]

歌唱後、「一緒にいる今の時間は絶好調にしないとダメだよね!」と意気込んだ鹿目凛は、高咲、空野と一緒にカニの真似を披露。すると長い手足の藤咲が「カニはこう!」と言ってお手本を見せ、大きな拍手と笑いを集めた。「カニうまいですね」と愛川、小鳩に褒められた藤咲は、2人と結成したユニット・チャペの泉の初オリジナル曲「愛♡舞☆ミライ!」を披露。初期のでんぱ組を彷彿とさせる電波ソングをハイテンションに歌い踊った。

左から高咲陽菜、藤咲彩音。

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左から相沢梨紗、空野青空、鹿目凛。

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そこにほかのメンバーが戻って始まったのは「とんちんかんちん一休さん」。意外な選曲に驚きが広がる中、センターを務める高咲がキュートでコミカルな魅力をアピールする。「千秋万歳!電波一座!」「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」に続けて披露された「アンサンブルは手のひらに」は、2016年発売のアルバム「GOGO DEMPA」の収録曲。Cozy(車谷浩司)が作詞作曲を手がけたジャジーな1曲で、これまでライブではほとんど歌われることのなかったナンバーだ。この曲ではソファに座った空野がメインボーカルを担当。周囲で踊るメンバーとともにムーディな世界観を作り上げた。

相沢梨紗

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「待ちぼうけ銀河ステーション」のパフォーマンスの様子。

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前に出てパフォーマンスする鹿目凛。

前に出てパフォーマンスする鹿目凛。[拡大]

これまたレアな「Phantom of the truth」で力強い歌声を観客にぶつけたあと、相沢はソロで「秋の葉の原っぱで」を伸びやかに歌唱。エモーショナルな雰囲気が生まれるが、すぐに「待ちぼうけ銀河ステーション」が始まり、天沢と小鳩がロマンチックなムードでデュエットを繰り広げる。そんな2人のイチャイチャっぷりに茶々を入れた鹿目が「ぺろりんのターン!」と宣言すると「キラキラチューン」へ。しかし、ほかのメンバーを押しのけながらパフォーマンスする鹿目に怒ったメンバーは次々にステージを去り、1人になった鹿目はステージ後方にうずくまってしまう。

そんな彼女の元へ徐々にメンバーが戻ってくると、鹿目は「一緒じゃなきゃダメなの!」と伝え、全員でパフォーマンスを再開。息の合ったダンスを見せながら、まぶしい笑顔を弾けさせた。その勢いのまま「くちづけキボンヌ」「サクラあっぱれーしょん」を畳みかけた8人は、グループがメジャーデビュー10周年を迎えたことを告げ、これからも一緒に未来に突き進もうとファンに呼びかけると、10周年バージョンもリリースされた代表曲「Future Diver」に突入。大盛り上がりの中、荒々しい最新シングル曲「衝動的S/K/S/D」でライブ本編を締めくくった。

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アンコールに応じてステージに戻った8人は、1人ひとり思いをコメント。相沢は2カ月前に骨折した際、メンバーやクルーに支えられたことに触れ、「この10人のでんぱ組.incがもっともっと大好きで愛おしく思える時間を過ごすことができました。これからもたくさんでんぱ組の愛を届けていきたいと思いますので、みんなラブパワー受け取ってください!」と呼びかける。空野は「私にとってでんぱ組.incって光のような存在だったから、これからでんぱ組のincの……」と言い間違えて笑いを起こしつつ、「でんぱ組.incの一員ということなので、いろんな人を照らせるような、包み込めるような青空として、これからもがんばっていきたいと思います」と意気込んだ。

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小鳩は加入当初、受け入れてもらえるのかという不安があったことを明かしながら、「それも吹き飛ぶくらい、でんぱ組.incを好きでいてくれるみんな、関わってくれるみんな、本当にたくさんの人のおかげで9カ月間とっても幸せに過ごしました」と振り返る。同じく新メンバーの愛川は「でんぱ組.incの曲って明るくて、アップテンポで、めっちゃポジティブみたいな感じで聴いてたんですよ。でも自分がメンバーになって改めて聴いてみたら、ネガティブな部分とかマイナスな部分も肯定して、それでも前に進んでいこうよって曲がすごくたくさんあるなって思ったんですね」と涙ながらにコメント。ほかのメンバーを「かわいい子ばっかだし、みんな若い」と紹介して笑いを起こしつつ、「私、本当にホールでライブしてみたいなって思ってたので、今日すごい後ろの方まで……人がいっぱいで……すごくうれしいです」と言葉を詰まらせながら喜びを伝えた。

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高咲は自身が憧れていたでんぱ組.incに加入し、新しい夢を見続けられているのと同じように「いろいろな人がちょっとでも幸せになれたらいいなって思うし、そういうでんぱ組.incであり続けたいと思っています。これからも幸せがちょっとずつ広がって、どんどん続いていきますように」とコメント。天沢は「メンバー1人ひとりの尊敬できるところとか、クルーの皆さんの頼れる部分、優しい部分をたくさん見てきて、すごい素敵だなあって心穏やかになってます。そして振り入れの中で、めっちゃいいじゃんって曲めちゃめちゃありますね。それをもっと早く知りたかった」と笑顔で語った。

新メンバーの加入により立ち位置が変わったという藤咲は、落ち込んだときに支えてくれるメンバーやレールを引いてくれるクルーの姿を見て、「私も前線でがんばっていかなきゃいけないんだなって改めて感じました」と語り、「みんなも一緒なので、これからもどうぞよろしくお願いしまーす!」と元気に挨拶。でんぱ組.inc加入当初は自分のことが嫌いで悩んでいたという鹿目は、ファンのおかげで「自分を好きでいるってことはすごい素晴らしいことなんだよ」と新メンバーに伝えられるほど成長したことを語り、ファン1人ひとりに向かって「あなたのことを幸せにさせてください」と伝えた。

「いのちのよろこび」のパフォーマンスの様子。

「いのちのよろこび」のパフォーマンスの様子。[拡大]

そして8人は、2カ月連続リリース第1弾として12月17日に配信される新曲「好感Daybook♡」を披露。この曲は作詞をゆっきゅん、作曲を中村瑛彦が担当した楽曲で、カリプソ風の陽気なサウンドと、「ハワイから見てもかわいい」など独特な言葉選びで自身を肯定する歌詞が印象的なナンバーだ。さらに彼女たちは炎のような模様の布が付いた扇をそれぞれ手にすると「いのちのよろこび」をエネルギッシュにパフォーマンス。大団円のムードが生まれる中、今後の活動について告知したあと「キボウノウタ」を情感豊かに歌い上げてライブに幕を下ろした。

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でんぱ組.incワンマンライブ「箱庭の掟」2021年11月13日 中野サンプラザホール セットリスト

01. プリンセスでんぱパワー!シャインオン!
02. 最Ψ最好調!
03. 玉虫色ホモサピエンス
04. でんぱーりーナイト
05. でんぱれーどJAPAN
06. NEO JAPONISM
07. 愛♡舞☆ミライ!
08. とんちんかんちん一休さん
09. 千秋万歳!電波一座!
10. おやすみポラリスさよならパラレルワールド
11. アンサンブルは手のひらに
12. Phantom of the truth
13. 秋の葉の原っぱで
14. 待ちぼうけ銀河ステーション
15. キラキラチューン
16. くちづけキボンヌ
17. サクラあっぱれーしょん
18. Future Diver
19. 衝動的S/K/S/D
<アンコール>
20. 好感Daybook♡
21. いのちのよろこび
22. キボウノウタ

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