ライブのSEとともに吉田山田のファンたちが寄せたメッセージ音声が流れ始める。これは吉田山田のInstagramアカウントにて募集されていたファンたちの「叫びたいこと」であり、吉田山田はライブを楽しみにするファンの声に導かれるようにステージに登場した。2人を歓迎する拍手を一身に浴びながら山田義孝(Vo)が「この会場において“ただの空席”は1つもない。全国各地にいるファンの思いでパンパンになった上野野音!」と叫ぶと、1曲目「RAIN」の演奏がスタート。冒頭にアッパーチューンを演奏することが多かった例年までの「吉田山田祭り」と異なり、今年のイベントで吉田山田は「浮遊」「つながる」といったじっくり聴かせるナンバーを序盤に披露して、オーディエンスの心をつかんでいった。最初のMCで山田が「やっと会えたね!」と声を出すと、客席からは割れんばかりの拍手が巻き起こる。なかなか鳴り止まない拍手に笑顔を見せる吉田結威(G, Vo)は「最高です皆さん。これで終わってもいいくらい。感無量です」と、思いを口にした。
「やっぱりライブは最高」と口を合わせた2人は、向かい合って「いくつになっても」のイントロを奏で始める。歳を取ること、大人になることをポジティブに歌うこの曲で勢いを付けた2人は、“三部作”としてリリースしてきたアルバム作品の表題曲である「証命」「欲望」の2曲を立て続けに披露。ユニットの過渡期を痛々しく、赤裸々に歌い上げる「欲望」という曲を現在の世相と重ねて歌う2人の姿を観客たちはじっと見つめ、その歌声に聴き入っていた。
ライブ中盤には12月1日発売予定のアルバムタイトルが「愛された記憶」であることがアナウンスされ、今作に収録される予定の新曲「才能開花前夜」が披露されることに。この曲は吉田山田が所属する事務所の後輩である木田健太郎(
吉田山田が制作した歯磨きソング「イ~ハ~」を皮切りにアッパーチューンが立て続けに披露され、ライブはフィナーレに向けて熱を帯びていく。「未来」では感極まった山田が観客に向けて「何回だって言うよ。あとちょっとだ。がんばれ!」と叫び、ライブを観る者にエールを贈った。ライブ終盤、赤い法被を着た2人はバチを手に取って和太鼓に向かう。2人は「ハッ」と声を合わせて太鼓を鳴らし、勢いを付けたところで「夏のペダル(祭りver.)」の演奏へ。再び登場した木田もギターで演奏に加わり、吉田山田はバンドメンバーや木田とともに「ワッショイワッショイ」と夏らしいかけ声を繰り返す。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、大きな声を発することが禁止されていたオーディエンスが盛大な手拍子で彼らの「ワッショイ」にレスポンスを送ると、吉田は胸を叩きながら「届いた」とつぶやいた。
「魔法のような」の演奏中には、過去の吉田山田のライブで収録されたオーディエンスの歓声が流れ始め、吉田は「皆さんの声援がどれほどうれしかったか。どれだけ僕らの力になってきたか。それを実感できた1年半でした。今までもそして今日も、ずっとありがとう」と感謝の気持ちを伝える。ファンの歓声が「LALALA」のシンガロングに変わると、吉田山田はそれに重ねるように「魔法のような」の一節を歌い始める。過去のファンの声とのシンガロングで会場をひとつにまとめた2人は、「吉田山田祭り2021」を締めくくる1曲として「約束のマーチ」を熱唱。山田は「また来年も会えるかな。叶うかわからないけど、約束しよう」と再会の約束を交わした。すべての楽曲を披露し終え、オーディエンスに深々とお辞儀をした2人は晴れやかな笑顔を浮かべながらステージをあとにした。
吉田山田「吉田山田祭り2021」2021年9月5日 上野恩賜公園 野外ステージ セットリスト
01. RAIN
02. 浮遊
03. つながる
04. いくつになっても
05. 証命
06. 欲望
07. 才能開花前夜
08. グレープフルーツ
09. ひとつぶ
10. 日々
11. イ~ハ~
12. イッパツ
13. 未来
14. Color
15. 夏のペダル(祭りver.)
16. 魔法のような
17. 約束のマーチ
リンク
音楽ナタリー @natalie_mu
【ライブレポート】吉田山田、夏恒例の「祭り」でファンと再会の約束交わす(写真21枚)
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#吉田山田祭り https://t.co/Q9cqKKABgN