「Butter」は2020年8月にリリースされ、世界中を虜にしたシングル「Dynamite」以来、グループにとって2作目の全編英語歌詞の楽曲。ダンスポップジャンルのこの楽曲には、Rob Grimaldi、Stephen Kirk、Ron Perry、Jenna Andrews、Alex Bilowitz、Sebastian Garciaなどさまざまなミュージシャンが参加しており、BTSのリーダー・RMも制作に携わった。
「うまくいくよ」というスラングの「Smooth like butter」から始まるポジティブな歌詞には、「僕たちの後ろにはARMYがいる」「僕のアツい魅力を知ってるだろ ありきたりな言葉ではなく 見せてあげる」など、BTSからARMY(BTSファンの呼称)に向けたメッセージも含まれている。また配信と同時に公開されたミュージックビデオではメンバーによる「ARMY」の人文字も確認することができる。
昨年11月に行われたアルバム「BE (Deluxe Edition) 」のグローバル会見は、左肩の手術後で療養期間だったSUGAを除く6名が出席。今回BTSはひさびさに7名そろって記者陣の前に登場した。SUGAは「リハビリを一生懸命やり、今も運動を中心にリハビリを続けています。多くの方が心配してくれたおかげで回復に向かっています」とコメント。髪色を“Butter”色にしたJ-HOPEは「“Butter”髪になりました」と話し、髪色のほかにも「Butter」リリースに向けて「バターの入ったキムチチャーハンを食べた」と笑顔を見せた。本日の会見でスパイラルパーマをかけた、プードルのようなヘアスタイルをお披露目したVは「コンセプトをもう少し理解してやらなければならなかったんですが……(笑)。人生で1回だけできる髪型だと思うので、やってみたかったんです」とはにかみ、「最近メンバーの中で“かわいい”を担当しているので、こういう髪型にした」と新たなヘアスタイルに挑戦した理由を明かした。
「Butter」についてJUNG KOOKは「とても楽しくさわやかな曲。1度聴いたら忘れられない曲で、メロディだけではなくパフォーマンスもすごいので何回も観たくなると思います。ステージを早くお見せしたい気持ちです」と語る。JIMINも「少し恥ずかしいですが『バターのようになめらかに溶け込んで君を虜にする』というかわいらしい告白ソングのように受け止めていただけたら。かわいかったり、おちゃめだったり、カリスマ性も感じられる、さまざまな魅力を盛り込みました」と述べた。
J-HOPEはパフォーマンスのポイントについて「エネルギッシュでかわいらしい曲なのでダンスにもその要素を盛り込みました。投げキッスをしたり、髪をかきあげる動作がポイントで、これまでと同じようにBTSのエネルギッシュな姿もご覧いただけるかと思います。ユニットの振り付けも魅力的なのでそちらにもご注目ください」と解説。MVの注目すべきシーンについては、Vが「エレベーターのセットの中で踊るシーンはそれぞれが即興で作った振り付けです。僕らそれぞれの魅力を感じてもらいたいです」と延べる。JINは人文字で「ARMY」(BTSファンの呼称)を作るシーンに言及し、「JUNG KOOKさんとAを作る部分があるんですが、最初の形はAらしくないなと思いまして2人で悩んでよりよいAの形を作りました」と2人で編み出した“A”のポージングに胸を張った。
また楽曲「Butter」の中で気に入っている箇所について記者から問われると、Vは「聴いた途端にすごく気分が盛り上がって楽しめる点が気に入ってます。その中で1つ選ぶとしたら僕のパートですね」と笑顔。JINも「僕も自分のパートが気に入っています」とごきげんな様子で、そのフレーズを軽く歌ってみせ、Vと2人で笑いあった。
コロナ禍で思うように活動ができない中でも、「HOT 100」1位獲得や「グラミー賞」ノミネートなどさまざまな成績を残しているBTS。そんな中で音楽創作に対する考え方に変化があったのかと記者から問われたSUGAは「僕たちも大変な瞬間がたくさんありました。特に僕の場合は(リハビリで休んでいた期間もあったので)、僕たちの音楽を聴きながら慰められたり、また励まされ、僕らの曲を聴いてくださる皆さんはきっとこんなふうに慰められているんだなと思ったんです。かつて僕はいろいろな音楽を聴いて音楽活動を始めたのですが、これからは僕が僕らの音楽を聴いてくださる皆さんに影響を与えることができると思い、責任感を持って音楽を作らないといけないと思いました。この1年はつらいこともありましたが、いい発展ができるきっかけが見つかって個人的にはよかったと思います」と話した。J-HOPEは「コロナ禍という状況で僕らも計画がなくなり、不安や混乱する気持ちもありました。そんな中でおめでたいこともたくさんあり、まるでローラーコースターのような1年でした。そんな中でいつも突破口になってくれて、いい結果を出してくれたものが音楽だったので、音楽がとても大きなエネルギーを持っていることを実感できた年でもあって。これからも素敵なエネルギーを聴いた人に与えていきたいと思いました」と自分たちの活動における音楽の重要さについて述べた。
「Butter」が「Dynamite」に続く全編英語歌詞のナンバーとあって、Billboardのシングルチャート「HOT 100」で首位獲得を狙えるのではないかとMCから言われたSUGAは「いつもこういうことを話すのが僕なのでプレッシャーを感じますが、そのように期待していただけるだけで感謝しています。『Butter』は楽しいサマーソングなのでだんだん暑くなってくるこの時期に多くの方々に楽しんでいただけたらと思います。そして『HOT 100』の1位には……なるんじゃないですか? いや、なるべきですね。しないといけない。やってみせます」と意気込む。また今年の「第63回グラミー賞」では最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンスの部門にノミネートされるも惜しくも受賞ならずだったが、今回の「Butter」でも受賞を目指すのかと記者から問われると「当然グラミー賞を受賞したい気持ちは今もありますし、『Butter』でもう一度挑戦したい思いがあります。そしていい結果が得られたらいいなと思います」と語った。RMも「グラミー賞も念頭に置いておりますので、最善を尽くして挑戦したいと思っています」と付け加えた。
楽曲の作家陣にクレジットされているRMは参加の経緯についても言及。「『Butter』はガイドから完成度が高かったんですが、ラップパートは僕たちとは少し合わない部分があったので僕たちのスタイルで直してみようという提案をしたんです。実は英語ができるから僕が参加したというわけではなくJ-HOPEとSUGAも参加したんですが、血も涙もない決定があり、僕のものが採用されました。僕が提案したものを中心に修正されて今の形になっています。母語ではないので少し伝えたいこととの乖離や違和感があったんですけど、僕が音楽を始めたのはアメリカのヒップホップがきっかけなので楽しくできました」とRMが語ると、SUGAは「英語で書かないといけないので僕も英語の勉強をがんばったのですが選ばれませんでした。血も涙もないです」と残念そうに話した。なおRMはJ-HOPEと掛け合うパートやSUGAのラップパートの作詞を担当したとのことなので、ARMYは該当部分の歌詞を今一度チェックしてみよう。
6月13日にデビュー8周年を迎えるBTSは、現在夏にリリースされるアルバムを制作中。この制作期間にメンバーの間で話題になっていることについて記者から聞かれたJINは「Vさんがパーマを大変かわいくかけたので、パーマを何時間かけたらああいう髪が完成するのかが話題ですよ」と声を弾ませる。その一方でJIMINは「チーム全体としては、8周年と少し関連があると思うんですが、メンバーとファンの皆様の関係などについて悩みましたね。もっといい姿を見せるためにはどうしたらいいのか、いろいろ考えました」と話し、RMも「一番の関心事はBTSのこれからのこと。未来のことですね。こういったニューノーマルの中で、僕たちの機能はなんなのか、僕たちがなぜ存在するのか、なんのために音楽を作り、発表するのか……。もちろんグラミーのような成果も重要だと思いますが、僕たちBTSがK-POPという産業的なジャンルの中でどうやって生き残ることができるのか、そして形を残すことができるのかと考えていました」とそれぞれ真摯な思いを述べた。
チャーミングな回答で記者陣を沸かせたJINだったが、BTSの人気の秘訣を聞かれると真面目な回答も披露。「いろんなインタビューや動画を見ていく中で『同年代の話をしてくれてありがとう』という話がありました。悩みを抱えた人たちが僕らを見て『このように解決しているのか』と思えたという話もあったので、共感を得られた部分が大きいのではないかと思います」とコメントした。
アメリカの人気ドラマ「フレンズ」の特別版「Friends: The Reunion」への出演について記者から質問が飛ぶと、RMは「撮影は終えました。どのような形になるのかは直接ご視聴願います」と回答。また「Butter」のティザーが発表された際にTwitterにてQueenからの反応があったことについては「サンプリングやオマージュではありません」と断言し、ARMYが期待するQueenとのコラボについてはJINが「その部分についての計画は今ありません。いい機会があればいつでもご連絡お待ちしております」と呼びかけた。
BTSが所属するHYBEのミュージアム「HYBE INSIGHT」で上映されている映像コンテンツを視聴した記者から「RMは人々の心に長く残りたい」、SUGAが「聴いてくださる方のための音楽をしたい」という発言が印象に残ったという話題が出ると、RMは「BTSがアルバムを作って音楽を企画して制作する前には、今どんな話をしたいのか、どんな気分なのかについてインタビューのようなことをするんです。そこで見つけたバランスがBTSがやりたいことになるんですが、その反対側には人々はBTSからどんなことを聞きたいのかというテーマもあって、いつもいろいろと悩んでいます。僕らはヒップホップのようなグループから始めて、『学校』シリーズや『花様年華』シリーズ、『Love Myself』シリーズ、『MAP OF THE SOUL』、そして『Dynamite』『BE』を作りました。毎回そのときどきで発表するアルバムやタイトル曲が最善を尽くした結果だ考えています。そしてまた今『Butter』という僕たちなりの答えを出したと言えるでしょう」と話す。そして最後にSUGAは「僕の場合は大邱で音楽を始めたときは、2人の観客の前で公演をしたこともあります。ソウルに来てもいろんなことがありましたが、今では身に余るほどに多くの愛をもらっています。聴いてくださる人がいない音楽には悲しい記憶があるので、聴いてくださる方のために音楽をする。だから誰のために音楽をするべきなのかと考えると、その答えはいつもファンの皆さんでした。回答になったかわかりませんが、以上です」と、グローバル会見を締めくくった。
ugの人 @hiramee
BTS待望の新曲「Butter」リリース「グラミー賞にもう一度挑戦したい」 - 音楽ナタリー
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