2006年3月15日にシングル「SAKURA」でメジャーデビューしたいきものがかり。デビュー15周年記念日の前日に行われた今回の無観客ライブでは、彼女たちの地元である神奈川のアリーナ・横浜アリーナを舞台に全15曲が披露された。
開演時刻になると無観客の横アリの座席にたたずむ水野良樹(G)、吉岡聖恵(Vo)、山下穂尊(G, Harmonica)の姿が配信画面に映し出される。3人は吉岡の「おひさしぶりです。今日は一緒に楽しんでいきましょう」という挨拶から「会いにいくよ」をアコースティックスタイルで披露。“0曲目”に位置付けられた事前収録の「会いにいくよ」が終わると、放牧期間(活動休止期間)明けの2018年11月に初めて発表した楽曲「太陽」をバックにこのライブを迎えるまでのいきものがかりの姿を収めたオープニング映像が上映された。
会場の設営が終わったところで、映像は舞台裏のいきものがかりとバンドメンバーを映すカメラにスイッチ。円陣を組み「がんばりましょう!」と気合いを入れた彼女たちはいざ、横アリのステージへと向かう。このライブを待ちわびたいきものがかりファンへのメッセージが流れる中、ステージへとたどり着くと水野は「配信ライブになっちゃったけど、それも楽しさに変えていけたら。よろしくお願いします。まずはこの曲から」と1曲目の「笑顔」へとつなぐ。この曲ではファンが「笑顔」のコーラスを歌う動画が、ステージ後方の巨大ビジョンに流れ、同じ空間にいることはできずとも横アリでの合唱が実現した。
ピースフルな「笑顔」に続いて、吉岡のアカペラとピアノの伴奏から始まったのは「茜色の約束」。吉岡の切なさのにじむ歌声と、水野、山下、そしてバンドマスターの本間昭光率いるバンドによるドラマチックな演奏で視聴者を魅了した。最初のMCで水野は「昨日ゲネプロをしたけれど、やっぱり“画面の向こうにいる”と思うだけで空気が違う」とうれしそうに語り、メンバーは1人ずつ順番に「皆さんこんにつあー!」とお決まりの挨拶。そして「早めにガッと盛り上がっていきます」という宣言をすると、アッパーチューン「気まぐれロマンティック」を披露した。この曲では、山下のハーモニカソロのパートを全方位から映し出すなど、配信ライブならではの迫力のあるカメラワークで届けられた。
ヤクルト「ミルミル」のCMソングとしておなじみの「アイデンティティ」では、吉岡のパワフルなボーカルが炸裂。チャット欄には「ラララ」というシンガロングが続々と書き込まれた。ひさしぶりの披露となった「KIRA☆KIRA☆TRAIN」では、吉岡が星型のタンバリンを持って熱唱。歌い終えた吉岡は「なんかみんながいるって感じ……しちゃったんだよねえ」と目を輝かせた。
「NHK全国学校音楽コンクール」中学校の部の課題曲として制作され、卒業式でもよく歌われている「YELL」を披露したあと、いきものがかりは「夏・コイ」を演奏。牧歌的なメロディを3人で歌うこの曲では、リラックスしたムードの中で美しいハーモニーが響いた。
ライブの中盤ではFM Yokohama 84.7のラジオブースで収録された映像が上映された。FM Yokohama 84.7はいきものがかりの初ラジオレギュラー「寄り切り!押し出し!!上手投げ!!!」が放送されていたラジオ局で、今でも山下のレギュラーラジオ「上手投げ!!!ラジオ」を毎週土曜日21:30からオンエアしている。ラジオブースで3人は「寄り切り!押し出し!!上手投げ!!!」初回の台本を見返し、3月31日にリリースするニューアルバム「WHO?」に収録される秘蔵曲「からくり」を流していたことなどを懐かしむ。また2006年のデビュー日当日にこのブースから生放送を行い、番組終了後にFM Yokohama 84.7スタッフから贈られたシャンパンで乾杯したことを振り返った。そんなやり取りのあと、3人はデビュー曲「SAKURA」をブースの中で演奏した。
再び会場と中継がつながると、いきものがかりは15年間の感謝の気持ちを込めて「ありがとう」を披露。昨年夏に発表した、孤独に寄り添う楽曲「きらきらにひかる」では、きらめく映像をバックに吉岡がシリアスな表情でまっすぐな歌声を響かせた。1月に配信リリースされたファンクやソウルを取り入れたロックチューン「BAKU」では、エネルギッシュな歌唱と演奏で視聴者を魅了。ライブ定番曲の「じょいふる」では、笑顔はじけるパフォーマンスを繰り広げ、最後には15周年にちなんでメンバー全員で15回ジャンプした。
終盤のMCで吉岡は「ライブができなくて苦しかったけれど、その時間をアルバム制作の時間に充てることができたりもして。また会えるように前を向いていきます。今日はどうもありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします」とコロナ禍でライブができなかった日々を振り返りつつ、ファンに感謝の思いを伝える。そして「この曲を歌うと当時の暖かい空気を思い出すし、またこれからもがんばろうという気持ちになれるから、この曲を歌って前に進もうと思います」と語り、デビュー曲「SAKURA」を熱唱。彼女たちのデビュー15周年を祝福するように、チャット欄には桜の絵文字が咲き乱れた。
チャット欄に続々書き込まれる「アンコール」の文字に応えて行われたアンコールでは、4月に始まるツアー「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!」に、5月7、8日の千葉・幕張メッセ公演と、6月10、11日の横浜アリーナ公演が追加されたことが水野の口から発表された。加えて水野はニューアルバム「WHO?」に収録される、映画「100日間生きたワニ」のテーマソング「TSUZUKU」をここで初披露することを予告。「この1年は、皆さんそれぞれに大変な物語があって“続く”ことが難しい1年間でした。これからもこの困難は続くと思うんですけど、だからこそ自分の感情を丁寧に大切にしたり、目の前の日々を大切にすることが大事になっている。そんな意思を込めてこのタイトルにしました。僕らも続けていきたいと思っているので、その意志を込めてこの曲を届けたい」と楽曲に込めた思いを語り、「TSUZUKU」をお披露目した。「TSUZUKU」はいきものがかりの原点である「桜」のフレーズも盛り込まれたハートフルな1曲。つらい別れを経て、歩み出す瞬間を描いたこの楽曲を、吉岡は歌詞の1つひとつを噛みしめるように歌った。
ライブの最後を飾ったのは「風が吹いている」。この曲のミュージックビデオは、国立競技場の中、別々の場所にいる3人が同じ場所に歩いていく姿が3分割の画面で映し出されるシーンが印象的だが、今回の配信でも歩く3人の姿が3分割の画面で映し出される演出が取り入れられた。サビでは3人がアリーナの中央に集結。ステージ後方の巨大ビジョンには「次は、会おう!みんな、元気でね!」というメッセージが映し出されていた。「どうもありがとうございました。いきものがかりでした。これからもよろしくね」とファンにメッセージを送った3人は深くお辞儀をしてアリーナの外へと消えていった。
このライブのアーカイブ映像は、3月21日(日)16:59までStreaming+とstagecrowdにて配信中。視聴チケットは“サンキュー15周年価格”の税込3195円で、3月21日(日)12:00まで購入することができる。
いきものがかり「いきものがかり デビュー15周年だよ!!! ~会いにいくよ~特別配信ライブ」2021年3月14日 横浜アリーナ セットリスト
00. 会いにいくよ
01. 笑顔
02. 茜色の約束
03. 気まぐれロマンティック
04. アイデンティティ
05. KIRA☆KIRA☆TRAIN
06. YELL
07. 夏・コイ
08. ありがとう
09. きらきらにひかる
10. BAKU
11. じょいふる
12. SAKURA
<アンコール>
13. TSUZUKU
14. 風が吹いている
いきものがかり「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!」
2021年4月14日(水)大阪府 大阪城ホール
2021年4月15日(木)大阪府 大阪城ホール
2021年4月24日(土)愛知県 日本ガイシホール
2021年4月25日(日)愛知県 日本ガイシホール
2021年5月7日(金)千葉県 幕張メッセ 国際展示場1~3ホール(※追加公演)
2021年5月8日(土)千葉県 幕張メッセ 国際展示場1~3ホール(※追加公演)
2021年6月10日(木)神奈川県 横浜アリーナ(※追加公演)
2021年6月11日(金)神奈川県 横浜アリーナ(※追加公演)
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音楽ナタリー @natalie_mu
【ライブレポート】いきものがかり、デビュー15周年ライブで渾身の15曲「次は、会おう!みんな、元気でね!」(写真12枚)
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