久保正樹のソロプロジェクト、
「Insane Modernities」は昨年10月にダウンロードコード付きカセットテープとBandcampでの配信にてリリースされた最新アルバム「Postcards from No Man's Land」の収録曲。MVにはアメリカ出身の映像作家、ジェフ・ゾリラが2017年の東京の街並みを、8mmフィルムで撮影した映像が使用されている。
former_airline コメント
アルバム「Postcards from No Man's Land」について
これまでリリースしたアルバムには特にコンセプトはなく、全体の仕上がりから無意識に統一感が見えてきて、そこから後づけでテーマが決まっていたのですが、今回ばかりはパンデミックを無視することができず、制作過程から
このアルバムは、コロナ以前の2019年終わりに作った楽曲とコロナ以降に自宅にこもって録音した音を組み立てた楽曲で構成されています。〈まだ変わる前の世界〉と〈もう変わってしまった世界〉との移り変わりを連続的に記録し、無人地帯からの空虚な響きが取りもつ不安定な世界とのつながりを憂い、ポストカードにしたためたようなものです。それはノスタルジックな過去でもなく、夢見がちな未来でもない、超現実的で虚ろな「いま」を幻想的に照らし出す試みでした。
ちなみに最後のトラック“S.Sontag in the Psykick Dancehall”はサイキックTVのアシッド・ビートを意識して作った曲ですが、完成直後にジェネシス・P・オリッジが亡くなってしまい、図らずも彼に捧げる曲となりました。
楽曲「Insane Modernities」のミュージックビデオについて
アルバムの中で一番最後に作った曲であり、全体的にゆるやかに流れるアルバムにスピード感を加えるために、完成間近に急きょ差し替えることにした曲です。結果、アルバムの中でもっともキャッチーな曲になったような気がします。
レーベル・オーナーのイアンさんから監督の作品を教えてもらったとき、“Insane Modernities”の壊れた世界とハンマー・ビートのリズムに、監督の特異なフィルターを通したぼやけた都市イメージの連続、速度のあるカットアップの組み合わせはきっとうまく混じり合うだろうと感じました。コロナ以前の荒涼としながらも楽観的な東京を切り取った膨大なシーン。小津の静けさとも、ヴェンダースの熱気とも異なる奇妙なオリエンタリズム。色彩の揺らぎ。光と影の残像。序盤の温かみさえ感じられる人々を中心とした鮮明な映像から、徐々に物質的な様相を帯びて霧深いカオスに向かっていく展開は、まるで猥雑なファンタジーのようです。
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former_airlineの「Insane Modernities」と2017年の東京 https://t.co/4PNSFjhSyj