11月19日に刊行された
「オルタネート」は「小説新潮」2020年1月号から9月号にて連載された作品。高校生限定のマッチングアプリ“オルタネート”を巡る3人の高校生の物語が描かれている。加藤は本作が直木賞の候補作品に選出されたと知ったときの心境について「作家にとって憧れの賞ですので、もちろんいつかは候補に選ばれたいと思っていましたが、聞いたときは本当にびっくりしました」と明かす。記者に直木賞を獲りたいと思っていたかと問われると、「ずっと思っていました。ただ厳密に言うと賞が欲しいということではなくて。新人賞を獲ってから作家になるというのが通例にも関わらず、自分はジャニーズ事務所に所属しているから、タレントだから、『ピンクとグレー』(2012年1月に刊行された加藤の処女小説)を出させていただきました。そのことに対して引け目というか、文学界、小説界にお邪魔している感覚や作家として名乗ることへの迷いがあったんです。でも今回直木賞の候補に選ばれたことで、多少は作家として認めていただけたのかなと思っています」と真摯に語った。
11月に加藤と小山慶一郎が新型コロナウイルスに感染し、これを受けて12月に予定されていたNEWSの配信ライブ「NEWS LIVE TOUR 2020 STORY」は中止となった。このことについて話題がおよぶと、加藤は「ご心配おかけしたかと思いますが、コロナにかかって外出できない期間がありまして。なかなか仕事の目処が立たなかったりとか、迷惑をかけてしまったことを考えたりして、気落ちしていた部分もあったんです。そこから今回の知らせがあったので……フットボールアワーの後藤(輝基)さんふうに言うと、『高低差ありすぎて耳キーンとした』という感じでした」と話して記者の笑いを誘った。また加藤は、「オルタネート」が直木賞の候補作品に選出されたことについて誰かに伝えたかという質問に「基本的には知らせていませんが、昨日メンバー2人だけには伝えました。自分で言うのは恥ずかしかったのでマネージャーを通してですが。まだ2人に会えてはいないんですけど、マネージャーによると、増田(貴久)は『僕は本を読まないのでよくわからないんですけど、すごいことなんですよね?』と言って、小山は『すごいなあ』と噛みしめるように喜んでくれたと伺っております」と答えた。
2012年より多くの作品を書き上げてきた加藤。これまでの作家活動について「ここまで続けてこられたのは、ファンの方をはじめたくさんの方々の支えがあったからです。『ピンクとグレー』を出して初めて書店回りをしたときに、書店員の方に『作家さんが書き続けないと応援し続けられない。応援し続けたいから書き続けてください』と言われたのが印象的で。本気で小説を書くという覚悟は伝えたいなと思っているので、書き続けることが自分を受け入れてくれた小説界に対しての恩返しかなと思いますし、続けているうちにすっかり小説を書くことがライフワークになっていますね」と振り返った。
11月に行われた本作の刊行を記念した囲み取材で、執筆にあたって関ジャニ∞の丸山隆平に取材したと明かした加藤は、その後の丸山とのやりとりについて「前回の囲み取材でお話させてもらったので、『名前出してくれてありがとう』『5冊買おうとしたら1人1冊までって言われて5冊買えなかったよー。今度買ってみんなに配るね』みたいなことを言ってくれました。お礼も言いたいし、今回のことが公になったタイミングで、改めて連絡してみようと思います」と笑顔で語った。
最後に加藤は本作について「若い方に本を読む楽しさを実感していただけたらという気持ちが強くあって、そこを意識しました。やっぱり面白くないと読みたくないと思いますので、とにかく楽しく本を読んで、読む前とあとで見える景色が少し変わって見える。そういった作品になるように心がけて書きました」とアピールした。
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【会見レポート】加藤シゲアキ、新作小説が直木賞候補作品に選出され驚き「高低差ありすぎて耳キーンとした」(写真4枚) https://t.co/8rIycZPMJj