ビッケブランカ、2020年初の有観客ライブを開催“必要な声”受け止めて港町に響かせた歌声

ビッケブランカが昨日12月13日に神奈川・Billboard Live YOKOHAMAでワンマンライブ「Billboard Special Live」を開催した。

この日の公演は、ビッケにとって今年初の有観客ライブとなった。開演時刻を迎えると、客電の落とされた場内に壮大なオープニングSEが鳴る。バックバンドのメンバーに続いてステージに上がったビッケはスタンドマイクの前に立ち、おもむろにフランス語のアカペラを響かせた。オープニングナンバーが「Ca Va?」だと察した観客から大きな拍手が送られる中、ビッケとバンドメンバーはパワフルなダンスビートと歌声で場内の熱を一気に引き上げた。

力強いファルセットが炸裂した「ファビュラス」、エレクトリックピアノの前に座ったのち、「アン、ドゥ、トロワ！」の合図にオーディエンスが息の合ったハンズアップで応じた「アシカダンス」と、ビッケはアッパーな楽曲を連投し、冒頭から熱いパフォーマンスで聴衆を魅了する。4曲を終えて場内をじっくり見渡しファンに手を振ると、彼は「久しぶりなんです、この感じが！」と言葉を噛みしめた。そして、ほぼ直立不動で歌っていた冒頭のパフォーマンスについて「僕、いつもだったらライブ中に立ち止まることがないんですよ。やっぱり違うルールがあるみたいで」と笑いつつ「『必要以上の発声はダメ』ってアナウンスがあったと思うんですけど、ホントは必要ですからね、皆さんの声」と訴え“必要なだけのボリューム”でファンと「こんばんは！」という挨拶を交わした。

Billboard Liveという会場について、ビッケは「ディナーショーやるところやん。横向きに座って観られることなんて今までにないもん」とかしこまりつつ、MCのあとには音と言葉で自由に遊ぶ「Shekebon!」でオーディエンスの体を揺らす。続くメロディアスなロックナンバー「Black Rover」ではギターを思い切り鳴らし、会場と曲の“ミスマッチ”を楽しんでみせた。

「もう冬が始まってますけど、今年は夏（にライブ）がやれなかったので。一瞬夏に戻ってもらっていいですか？」という呼びかけと共に届けられたのは「夏の夢」。センチメンタルなムードを誘う繊細なギターの音色に乗せ、ビッケは切なさの滲む歌声で夏を振り返った。

MCでは近況についても語られ、ビッケは「これまでは曲の中で複雑なことをするのが好きだったんですよ。だけど最近さ、みんなこの現状に『疲れた』とか言うじゃん。自分も複雑な曲を聴く気にならなくて、今、めっちゃまっすぐな曲作ってるんですよ。最近“どピュア”です、僕」と心境の変化を明かした。そして「懐かしい曲もやろうかな」と「WALK」をまっすぐに歌い上げてみせる。

「まっしろ」が披露された際には、ビッケがイントロでミスタッチをしてしまうというハプニングも。演奏を止めて天を仰いだ彼に向け、ファンは「大丈夫！」「がんばれ！」と、この日一番の“必要な声”をかけて場の空気を和ませる。入念な下準備ののち、この曲を仕切り直したビッケは思い切り情感を込めたドラマティックな弾き語りを聴かせ、その熱演で直前の出来事を吹き飛ばしていた。

最後のMCタイムで、ビッケは「皆さんそれぞれの目線が僕をリセットさせてくれた気がします。切り替えて2021年に向かって行くので、皆さんどうぞよろしくお願いします！」とファンに語りかけた。バンドが鳴らす壮大なサウンドと共に「Winter Beat」でライブはクライマックスへ。晴れやかで美しいメロディが自然と笑顔を誘うこのウィンターソングで本格的な冬の到来を高らかに告げると、流麗なピアノの音色からスタートした「Slave of Love」では観客から大きなクラップや拍手が送られる。イヤモニを外し、全身でこの音を受け止めたビッケは、喜びを歌声に滲ませながら芯の通ったファルセットボイスを響かせた。この日の最後に届けられたのは「ウララ」。ファンがハンドウェーブでステージ上の熱演に呼応する中、ハンドマイクを握ったビッケはステージを端から端まで歩き回り、一時の別れを惜しむようにオーディエンスへ向けて手を振り続けていた。

SpotifyとApple Musicでは、この日のセットリスト順に楽曲を並べたプレイリストが公開された。また、延期となっていたツアー「Tour de Devil 2020」の振替公演となるホールツアー「Devil Tour "Promised"」が、2月12日の愛知公演を皮切りに開催されることが決定。チケットの振替手続きなど、詳細に関してはオフィシャルサイトで確認を。