「大事な何かをつかんだ気がします」DISH//“バンドの覚悟”見せたツアー、横浜で幕

DISH//が昨日1月4日に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールにて、「LIVE TOUR　-DISH//-2019」の追加公演を行った。

初めてバンド名をツアータイトルに冠した「LIVE TOUR -DISH//-2019」で、バンドは2019年11月から12月にかけて全国12カ所を回った。この日のライブは各地でチケットがソールドアウトしたため決まった追加公演。DISH//の2020年初となるパフォーマンスを目撃するべく、会場には満員のスラッシャー（DISH//ファンの呼称）が集まった。

新春を祝うような真紅のバックドロップが掲げられた広いステージの上、矢部昌暉（Cho, G）、橘柊生（Key, DJ）、泉大智（Dr）の3人が一斉に音を重ねてライブの幕開けを告げる。轟音と歓声の中、最後に姿を見せた北村匠海（Vo, G）はマイクを握ると「パシフィコ！」と叫び声を上げ、バンドは「SING-A-LONG」を力強い演奏で届けた。

「2020年、始まりました！ 今年も楽しんでいきましょう、どうぞよろしく！」という匠海の短い挨拶を挟んで「Newフェイス」を続け、ラウドかつエッジーなサウンドで勢いを加速させていくDISH//。この曲で会場中がヘッドバンギングをする圧巻の光景を作り上げると、3曲目に用意されたキラーチューン「東京VIBRATION」では柊生がDJブースから飛び出し「新年早々ブチ上がっていきましょう！」とパワフルにオーディエンスを煽った。MCを挟み、昌暉の奏でる晴れやかなギターサウンドが印象的な「ビリビリ☆ルールブック」では匠海と昌暉、柊生による軽快な掛け合いに楽しげなムードが広がっていく。そして、続く柊生作詞作曲のアーバンソウル「Loop.」ではそんなムードを塗り替えるように、肩の力の抜けた洒脱なアンサンブルとボーカルを届けるなど、バンドは多彩なサウンドでオーディエンスを楽しませていった。

7曲を終えてのMCでは、匠海が今回のライブツアーのタイトルに言及。なぜバンド名を冠したかについて「（2019年8月開催の）コニファーフォレストでの大きなライブの先のツアーでどう成長するか、自分たちに発破をかける意味もあるし、覚悟を見せるツアーにする、という意味もありました」と明かした。こののち、匠海が「ツアーで磨いてきたお楽しみコーナー」と言ってスタートさせたのは各メンバーのパフォーマンスや歌声をフィーチャーしたソロ曲のメドレーで、先陣を切った大智はドラムボーカルで「SECRET」を熱く歌い上げる。続く柊生はハンドマイクで「音花火」を歌って客席にハンドウェーブの波を起こし、「誰にでもあるでしょう」を披露した昌暉は持ち前の甘く優しい歌声をホールいっぱいに響かせた。そしてラストの匠海は「明日を見つめて」でブルージーなボーカルをじっくりと聞かせていた。

ライブが中盤に差し掛かると、4人はダンスロックのパフォーマンスで盛り上がりに拍車をかけていく。匠海と昌暉、柊生が軽快なステップを踏んだ「BEAT MONSTER」ではスラッシャーもサビを大合唱した。最新曲「PM5:30」が披露される際には歌詞を書いた匠海が曲に込めた思いを語り、「なんとなく一人ぼっちだな、からっぽだなと思っている人の心を助けられたら」とメッセージを送る。匠海が1つひとつの言葉に思いを込めた温かいボーカルでこの曲を歌い上げると、スケールを感じさせる「DAWN」でクライマックスへ。匠海と柊生のコミカルなやりとりが楽しい初期のナンバー「こくっちゃえっつーの！」でスラッシャーを大いに楽しませつつ、バンドは匠海の「ラストスパート、付いて来てください！」という叫びを合図に「JUMPer」「I'm FISH//」とアッパーな楽曲を連投。「JUMPer」では、スラッシャーが会場を揺らすほどのジャンプで盛り上がった。客席の上層階まで巻き込んだ匠海のコール＆レスポンスからなだれ込んだ「勝手にMY SOUL」では、「新年早々喉壊そうぜ！」と熱狂の会場に呼びかけた柊生が渾身のシャウトを響かせる。大きな一体感の中、4人は「This Wonderful World」を最後に届け、ステージをあとにした。

スラッシャーの熱烈な「おかわり！」コールを受けてスタートしたアンコールでは、最初に1stアルバム「MAIN DISH」収録のレア曲「birds」がプレイされた。続く「皿に走れ!!!!」で匠海がマイクを客席に向けるとスラッシャーは大きなシンガロングを返し、メンバーは晴れやかな表情でこれを見つめる。そして、ここで匠海は「DISH//の覚悟を見せるという思いで臨んだこのツアーで、僕らは原点を塗り替えるんだという思いがあったのかなと思います」と切り出し「ここから先に進むために、大事な何かをつかんだ気がします。いろんな思いを伝えられる1年になると思うし、希望や未来がこのツアーで見えました。それは皆さんのおかげです、本当にありがとうございます」と大きな達成感を口にした。「僕ららしく、ワイワイ騒いで終わりませんか？ 踊れる準備できてますか？」という匠海の煽りと共に届けられたラストナンバーは「愛の導火線」。ステージ上のメンバーも客席も一体となっての大ジャンプの瞬間にはテープキャノンが放たれ、大きな高揚感の中でツアーは終幕。4人は最後にオフマイクで「以上、DISH//でした！」と思い切り叫び、最後まで大きくスラッシャーに手を振っていた。

なおライブの中では、DISH//が8月29日に山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストでワンマンライブ「DISH// SUMMER AMUSEMENT '20」が行われることが発表された。チケットなどの詳細については追ってアナウンスされる。