このツアーはサウシーが新作ミニアルバム「ブルーピリオド」を携え開催したワンマンツアーで、チケットは全公演ソールドアウト。せとゆいか(Dr, Cho)、秋澤和貴(B)、石原慎也(Vo, G)の3人は10月18日の北海道・札幌PENNY LANE24から11月28日のZepp Tokyoまで計12公演を行い、「ブルーピリオド」の収録曲を中心に新旧織り交ぜたセットリストで、全国のファンにみずみずしいサウンドを届けた。
ステージに登場した3人は、ドラム前で拳を付き合わせる恒例の気合い入れの後、「ブルーピリオド」収録曲の「雀ノ欠伸」でさわやかにライブの幕を開けた。ノリのいいリズムと石原とせとの息の合ったハーモニーでフロアを和やかな雰囲気へ導くと、続く「ナイトクロージング」「真昼の月」では石原がクリーントーンで軽快にギターを鳴らしながら、身振り手振りを交えた感情的なパフォーマンスで盛り上げた。また序盤のMCで、せとは「ファイナルやからこそ、いつも通り楽しんで過ごそうと思ってます」と話していたが、秋澤が「めっちゃ緊張してるんですよね」と何度もこぼしたり、石原が演奏中に歌詞を忘れてしまったりと、3人からは満員の観客を前に緊張した様子が見てとれる。「曇りのち」の「何もかもが上手くいかない」というフレーズに続くブレイクでは石原が「歌詞飛んじゃったりね」と照れくさそうにはにかむ場面もあった。
ライブ中盤には石原がアコースティックギター、秋澤がエレキギター、せとがキーボードという編成のアコースティックコーナーが用意された。ここでまず演奏されたのは、「ブルーピリオド」のCD限定ボーナストラック「煙草とコーヒー」。せとは自身が作詞作曲から歌唱までを行うこの曲で、透明感のある歌声を楽しげに響かせた。続く石原がメインボーカルの「世界の果て」でも、せとは包み込むような高音ボイスを重ねた。通常の編成に戻った3人は「ゴーストバスター」「Tough」を畳みかけるなど、アコースティックコーナーとは打って変わって疾走感あふれる演奏でフロアを沸かせる。そしてこの日のハイライトとなったのは、ライブ終盤に石原がバラード調の新曲(タイトル未定)を弾き語りした場面。まだギターと歌のメロディしかできていないというこの曲をいち早く披露した石原の計らいに、観客はうれしそうな表情で体を揺らしていた。
アンコールでは石原の豊かな声量が特に際立つ「コンタクトケース」「いつか」「グッバイ」の3曲が届けられた。「いつか」「グッバイ」の2曲はこれまでの11公演でも演奏されたが、「コンタクトケース」はこの日に限った選曲に。「コンタクトケース」の演奏を終えると石原は「バンドを組んでいるとメンバー同士の言い合いとかもあるけど、そういう困難を乗り越えるたびに絆が強くなっていくと思う。このツアーを通してメンバーがすごく好きだなと思いました。そして僕たちがこうやってライブができるのはあなたたちのおかげです。僕たちがあなたの一部になれているかもしれないのと同時に、あなたは僕たちの一部になってるんです。本当にありがとうございます」と語った。そしてこの日一番の迫力で「グッバイ」を歌い始めた。シンガロングパートではイヤモニを外した石原がステージギリギリで観客の声に耳をすまして満面の笑みを浮かべ、最後に「ありがとうまたいつか! あなたに会えますように」と叫んでツアーを締めくくった。
サウシーは今後、3月22日の東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)から29日の東京・昭和女子大学人見記念講堂までの計4公演を回るキャリア初のホールツアー「はじめてのホールツアー」を行うことも決定している。
※記事初出時、本文に誤りがありました。お詫びして訂正します。
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Saucy Dog「ブルーピリオド Release tour『いつだって今日がはじまりツアー』」2019年11月28日Zepp Tokyo セットリスト
01. 雀ノ欠伸
02. ナイトクロージング
03. 真昼の月
04. 曇りのち
05. Humming
06. Wake
07. メトロノウム
08. 月に住む君
09. 届かない
10. 煙草とコーヒー
11. 世界の果て
12. 煙
13. ゴーストバスター
14. Tough
15. バンドワゴンに乗って
16. 新曲
17. スタンド・バイ・ミー
<アンコール>
18. コンタクトケース
19. いつか
20. グッバイ
リンク
音楽ナタリー @natalie_mu
【ライブレポート】Saucy Dog、満員Zepp Tokyoでファンに感謝「あなたは僕たちの一部」(写真9枚)
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