SUPER★DRAGON、野音に刻んだ無二のアイデンティティと9人の譲れない絆

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SUPER★DRAGONが昨日9月7日に東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ「SUPER★DRAGON ONEMAN LIVE『IDENTITY NINE』」を開催した。

SUPER★DRAGON

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SUPER★DRAGONの野音ワンマンの様子。

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8月にリリースされた3rdアルバム「3rd Identity」を引っ提げ、大阪・大阪城音楽堂と日比谷野音で行われた「IDENTITY NINE」は、グループにとって初めての野外ワンマン公演。スパドラと共に夏の終わりを肌で感じるべく、日比谷の会場には立ち見を含めた約3000人のファンが集まった。

ファンの前に姿を見せたSUPER★DRAGON。

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西部劇のサルーンを思わせるようなステージセットが来場者を迎えたこの日の公演。開演直前には田中洸希による影アナがライブへの期待感を一層高めていく。オープニングSEが鳴り響くと、ステージ上段の大型ビジョン横に設置された2つのスイングドアからメンバーが順にファンの前へ。9人は手にしたピストルやライフルでビジョンを撃って名乗りを上げ、大歓声の中で満員の客席を見つめた。

SUPER★DRAGON

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SUPER★DRAGON

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9人がそろってポンチョを脱ぎ去ったのを合図に、ライブは「Mada' Mada'」でスタートした。洸希は「日比谷盛り上がっていこうぜ!」と叫び、オーディエンスはメンバーの動きに合わせて手に持つペンライトを思い切り左右に振る。そして池田彪馬が「まだまだ行けるぜ」と歌うと、客席は「SUPER★DRAGON!」と大きな声を響かせた。「hide-and-seek」を続けたあとに、メンバーは自己紹介へ。彪馬は「俺から目離すんじゃねえぞ」とクールに決めて初の野音ワンマンに気合いをにじませたが、容赦ないツッコミが持ち味の松村和哉が即座に「ハイハイ、わかったわかった」と反応していつものにぎやかな空気感を作り上げる。このライブで鮮やかなオレンジ色に染めた新しいヘアスタイルを披露した志村玲於は「(大好きな)紅茶飲みすぎてこんな色になっちゃいましたー!」と冗談を飛ばしつつ「俺の髪色より明るく盛り上がれますか?」とファンに呼びかけた。

松村和哉

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「Dragonfly」のパフォーマンスの様子。

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「3rd Identity」は9人それぞれの「個性」を大きなテーマに、1人ひとりが1曲ずつ収録曲のコンセプトやミュージックビデオをプロデュースした作品。メンバーが白で統一された衣装に着替えたのちに展開された中盤のセクションでは、9人が「3rd Identity」の楽曲に込めた個性がライブパフォーマンスという形で次々に具現化した。「La Vida Loca」ではこの曲をプロデュースした和哉が1人色の付いたスカジャンを羽織り、ステージの上段に立つ。和哉は持ち前の低音ボイスを生かした攻撃的なラップで斬り込み、8人のメンバーを牽引。自身のアイコンをパワフルに主張してみせた。ポップアップでダイナミックに登場し驚きの歓声を上げさせたのは飯島颯で、赤いシャツを着た颯は“絆”を歌うプロデュース曲「Dragonfly」でセンターポジションへ。颯のほかに玲於や彪馬もポップアップで派手に宙を舞い、“仲間との信頼関係”も曲に込めた颯の思いがパフォーマンスで表現されていく。大サビでは横1列に並んだ9人が「SUPER★DRAGON」と書かれたタオルを力強く掲げ、結束の強さをまっすぐに表明した。

「My Playlist」のパフォーマンスの様子。

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「Jacket」のパフォーマンスの様子。

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ライブの幕開け時は夕暮れだった空もすっかりと暗くなり、ステージ奥の空に明るい月が浮かぶ中でスタートしたのは古川毅のプロデュースした「My Playlist」。カラーサングラスをかけ、片手に12inchレコードを持った毅は憂いを帯びた歌声で恋人たちのすれ違いの情景を描き出していく。ステージのあちこちに散らばったメンバーも音に身を任せて思い思いに体を揺らす中、間奏では玲於と颯による組み技・ジャックナイフが大きな歓声を呼んだ。洸希の手がけた「Jacket」にシーンが移ると舞台上には5体のトルソーが置かれ、MVを彷彿とさせる光景が観客の眼前に広がる。この曲を披露したのは洸希、毅、彪馬、ジャン海渡、和哉の5人。1人淡いピンクのジャケットを着た洸希は苦しみをにじませた情感豊かなボーカルで素直になれない心の内を表現し、トルソーにそっと指を這わせた。

「Remedy For Love」のパフォーマンスの様子。

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「雨ノチ晴レ」のパフォーマンスの様子。

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毅と彪馬が息の合ったボーカルワークでドラマティックに歌い上げる柴崎楽プロデュースの「Remedy For Love」では、楽がMVで披露したゴシックなモノトーンの衣装を着てステージへ。1人の女性ダンサーがしなやかな身のこなしで楽曲を表現する中、バラの花束を手にした楽は物憂げな表情で舞台上をさまよい、愛がついえた空虚感を浮き上がらせた。楽がバラを手放し、曲にある“落としたブーケ”の情景を再現したラストシーンに客席は息を飲んだが、そんなムードを一転させたのは伊藤壮吾。メンバーに「超ポジティブ」と言われる壮吾らしい晴れやかなポップナンバー「雨ノチ晴レ」がスタートすると、9人はステージ上段に並んで腰かけ、お互いを見合って笑顔を交わす。間奏では玲於、颯、楽が鉄オタの壮吾を担ぎ上げる、神輿ならぬ“電車”がステージを快走。のちのMCで壮吾は「MV撮影でもお世話になった京急をイメージしました。京急は本日無事、全線運転再開しました!」と、この“電車”についてうれしそうに語っていた。

「New Game」を歌うジャン海渡。

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「PANDORA」を歌う池田彪馬。

「PANDORA」を歌う池田彪馬。[拡大]

ゲームの操作音をサンプリングしたダンストラックからスタートしたのは、ジャンが楽曲制作にも携わった「New Game」。ジャン、洸希、和哉のMCチームが3人のバックダンサーとセッションする形でパフォーマンスが展開し、ジャンは抑揚の効いたなめらかなフロウでゲームの世界に没入していく曲の主人公になりきってみせた。メンバー全員がステージに戻った「PANDORA」では、この曲をプロデュースした彪馬が1人ソファに座り、気だるげに体を預けながら艶っぽい仕草を見せる。1対8のフォーメーションが印象的なパフォーマンスはスパドラのメインボーカルの片翼を担う彪馬の存在感を際立たせ、彪馬は突き抜けるような高音ボーカルでパンドラの箱を開いて“君”を強く求める激情を表現した。

「Strike Up The Band」の志村玲於。

「Strike Up The Band」の志村玲於。[拡大]

メンバープロデュース曲のラストには、玲於の「Strike Up The Band」が届けられた。玲於が銅鑼を思い切り打ち鳴らすと体を芯から揺さぶるような重低音が響き、9人はパワフルに体を弾ませながら声を合わせて「まだまだいけんだろ!」とオーディエンスを鼓舞。力強く拳を掲げるメンバーのパフォーマンスに応じたファンも手を高く挙げ、会場は熱い一体感に包まれた。楽曲ジャンルも表現方法も彩りに満ちた9曲を駆け抜けると、ジャンが英語で読み上げるナレーションが“9つの並行世界”が1つに交わる瞬間が訪れることを告げる。ピンク色の衣装に着替えたメンバーは、ここで「3rd Identity」のリード曲「Don't Let Me Down」を披露。感情の機微をすくい取る毅と彪馬のボーカル、声色やフロウに個性のにじむジャン、和哉、洸希のラップ、そして9人の息の合ったダンスが流れるように展開していくこの曲はスパドラの“ミクスチャーユニット”としてのアイデンティティを浮き彫りにし、オーディエンスも熱い眼差しをステージに向けながら手にしたブルーのペンライトを揺らした。

「BROTHERHOOD」で肩を組むSUPER★DRAGON。

「BROTHERHOOD」で肩を組むSUPER★DRAGON。[拡大]

「BROTHERHOOD」のパフォーマンスの様子。

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左右の客席に声を求め、盛り上がりを加速させた「LRL-Left Right Left-」でライブはクライマックスへ。スモークの噴出とともにキラーチューン「Untouchable MAX」が投下されると、ジャンは歓喜の声を上げる客席に向けて「野音盛り上がっていこうぜ!」と叫び声を上げる。野音の建物全体に投影されたダイナミックな映像演出もムードを高める中、洸希は得意のビートボックスを炸裂させ、9人はラストの高速ダンスシーンまでを渾身のパフォーマンスで駆け抜けた。ここで毅はグループに対して抱く胸の内を語り出す。「今年の夏も突っ走ってきて……普段忘れてしまうけど、もう(グループ活動も)4年、もうすぐ5年です。みんなと一緒に、地道に1歩ずつ、足を踏み出せているなと思います」と振り返りつつ、毅は「生きているとグループのことばかりじゃない、それだけじゃないことを考えるときもあるし、切り替えが難しいと思うときもあります。だけどこうして変わらず楽しく。これ大事なんだけど、“楽しく”(スパドラを)やれているのはみんなのおかげだし、どこに行っても、9人の中でスパドラが“譲れないもの”になっています」と熱い思いを吐露。そして「これからもこだわり抜いて最高のものを届けて、僕たちの見たい景色をみんなと一緒に見たい。そう思っています。最後の曲です。一緒に歌いましょう!」と力強く呼びかけた。ラストに届けられたのは、兄弟の強い絆を歌う「BROTHERHOOD」。グループ内ユニットのファイヤードラゴンとサンダードラゴンを表すハンドサインを頭の上で重ねた9人は万感の表情でオーディエンスと向き合い、毅は「この場所に今いれるのは “お前らがいたからだよ!”」と歌詞を言い換えて思い切り叫んだ。

左から松村和哉、飯島颯、ジャン海渡、田中洸希。

左から松村和哉、飯島颯、ジャン海渡、田中洸希。[拡大]

ミニアルバム2週連続リリース決定をファンに報告するSUPER★DRAGON。ジャン海渡(右端)はカマキリから離れた場所に避難中。

ミニアルバム2週連続リリース決定をファンに報告するSUPER★DRAGON。ジャン海渡(右端)はカマキリから離れた場所に避難中。[拡大]

「PAYAPAYA」からスタートしたアンコールでは、9人がMCをしている最中にステージにカマキリが乱入するプチハプニングも。虫が苦手なジャンは「うわー!」と大騒ぎでステージを逃げ回って会場中の爆笑をさらいながら、11月16日に東京・チームスマイル・豊洲PITで毎年恒例のイベント「ドラフェス」が行われること、さらにファイヤードラゴン、サンダードラゴンのユニット別ミニアルバムが今冬2週連続でリリースされることをファンにアナウンスした。9人が“10人目のメンバー”と称したカマキリの活躍もあり、笑い声に満ちた楽しげなムードの中でラストナンバーへ。「冬に向けて、冬服買いに行ったほうがいいんじゃない?」というジャンの半ば強引な曲振りから「SHOPPING TIME」が始まり、毅が彪馬の手を引っ張ってステージの端まで走ったり、ジャンと洸希が肩を組んだりとメンバーは思い思いにふるまって笑顔の輪を広げていく。曲を終えると、洸希は「また皆さんと会える日を楽しみにしています!」、毅は「最高の夏の思い出をありがとう!」とひと言。充実感に満ちた笑顔を浮かべた9人はファンに大きく手を振りながら、野音のステージをあとにした。

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SUPER★DRAGON「SUPER★DRAGON ONEMAN LIVE『IDENTITY NINE』」2019年9月7日 日比谷野外大音楽堂 セットリスト

01. Mada' Mada'
02. hide-and-seek
03. WARNING
04. La Vida Loca
05. Dragonfly
06. My Playlist
07. Jacket
08. Remedy For Love
09. 雨ノチ晴レ
10. New Game
11. PANDORA
12. Strike Up The Band
13. Don't Let Me Down
14. LRL-Left Right Left-
15. Untouchable MAX
16. BROTHERHOOD
<アンコール>
17. PAYAPAYA
18. SHOPPING TIME

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(撮影:笹森健一、小坂茂雄)

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みんみ @2oK_F27

MCの内容書いてあった!
バンドマンみたいなアツいMCで良い
https://t.co/PydjmBgcnw https://t.co/Ww3CeCjGnE

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