「失うことで強くなれる」HONG¥O.JP、“僕たちにしか送れない青春”を駆け抜ける

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HONG¥O.JPが4月21日に東京・HARLEMでラストライブ「HONG¥O.JP LAST LIVE ~今まで本当にありがとう~」を開催した。

HONG¥O.JP(撮影:大庭元)

HONG¥O.JP(撮影:大庭元)

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HONG¥O.JPはTOMAとRYUTOによるラップユニット。2月に解散を発表した彼らにとって最後のステージとなるこの日のライブは、HONG¥O.JPの前身グループ・MAGiC BOYZ時代からの彼らのホームグラウンドであるHARLEMを舞台に行われた。

DJ To-i from DISH//(撮影:大庭元)

DJ To-i from DISH//(撮影:大庭元)[拡大]

会場がオープンすると、オープニングDJを務めるYackleがホーミー(HONG¥O.JP、MAGiC BOYZファンの呼称)を迎える。またTOMAとRYUTOにとってはEBiDANの先輩にあたるDJ To-i(橘柊生 from DISH//)がサプライズで登場してDJプレイを披露。To-iはHONG¥O.JP「Just Do It」をスピンして「このあと大本命が来ますから、盛り上がって帰ってください!」と呼びかけ、満員のフロアの期待感を最高潮まで高めてみせた。

MAGiC BOYZのパフォーマンス。(撮影:大庭元)

MAGiC BOYZのパフォーマンス。(撮影:大庭元)[拡大]

TOMAとRYUTOのラストライブは、MAGiC BOYZの“復活ライブ”で幕を開けた。会場の壁にはグループが始動した2015年から2018年の彼らの最後のライブまで、メンバーの成長を追った映像が投影され、ホーミーはそれぞれの表情でそれを見つめる。すると、ラストシングル「ハッピーエンドマジック」で着用していたワークウェアに身を包んだTOMAとRYUTOが威勢よくファンの前へ。マジボはデビュー曲「MAGiC SPELL~かけちゃうぞ!ぴっぴっぴっ~」を1曲目に選び、RYUTOは「HARLEM、盛り上がってるか!?」と声を上げた。

TOMAの背中にもたれかかるRYUTO。(撮影:大庭元)

TOMAの背中にもたれかかるRYUTO。(撮影:大庭元)[拡大]

2曲目の「DK GO!!!」で2人がキレのあるラップを叩き付けると、フロアも「あるある!」の声で応戦。RYUTOは「俺たちがマジボ、一夜限りの復活だ! もっと盛り上がっていこうか!」とさらにホーミーを焚き付け「オレでしょ??」ではこの曲では恒例だった、フロアに降りてのパフォーマンスも。また「ハミダス」ではそれぞれがリリックを今の思いをつづったものに書き変え、2人は言葉の1つひとつに熱のこもったラップを聞かせていた。

紙幣をばらまくTOMAとRYUTO。(撮影:大庭元)

紙幣をばらまくTOMAとRYUTO。(撮影:大庭元)[拡大]

MCではTOMAが「マジボらしく楽しんでいきたいと思いますので、よろしくお願いします!」と挨拶した。しかし、この言葉とは裏腹に、2人はMAGiC BOYZ時代よりもMCとして確かに進化した姿で楽曲を届けていく。次に届けられたのは、ホーミーから最多リクエストを獲得しセットリストに選ばれた、SUSHIBOYSの提供曲「O.NE.DA.RI」。TOMAとRYUTOは「みんなおねだりしたいんだろ?」と呼びかけ、これに応えたホーミーたちは息の合ったハンドクラップを会場に響かせていた。

ZEN-LA-ROCK(右)が登場しての「Oh!!!受験☆Night Fever」のパフォーマンス。(撮影:大庭元)

ZEN-LA-ROCK(右)が登場しての「Oh!!!受験☆Night Fever」のパフォーマンス。(撮影:大庭元)[拡大]

餓鬼レンジャーがマジボに贈った「10000000000YEN」で“100億円札”の束を鷲づかみにしてフロアに紙幣の雨を降らせると、「Do The D-D-T!!」ではダンスを交えた渾身のパフォーマンスでステージ上から大きなパワーを放った2人。続く「Oh!!!受験☆Night Fever」ではマジボの元メンバー・ZEN-LA-ROCKがサプライズで登場し、きらめくミラーボールの下、パワフルな煽りでホーミーの興奮を誘う。はなむけのパフォーマンスで場内の熱気を一段と高めてみせたZEN-LA-ROCKは、最後にTOMA、RYUTOと肩を組んで大きな笑顔を浮かべた。スペシャルゲストを送り出し、マジボのライブのラストを飾ったのは「ハッピーエンドマジック」。「さよならのあとは 超ハッピーエンド」と温かなメッセージを伝えるこの曲を穏やかに歌い上げた2人は「以上、僕たちがMAGiC BOYZでした!」と挨拶して舞台袖へと姿を消した。

TOMA(撮影:大庭元)

TOMA(撮影:大庭元)[拡大]

HONG¥O.JPのラストライブも、グループのこれまでの軌跡をたどる映像からスタートした。衣装を着替えて再びステージに立つと、手始めにスマートフォンの着信音をサンプリングしたトラックに乗せてフリースタイルを披露する2人。TOMAは「本当にラストライブ、悔いの残らないように楽しんでいきましょう!」、RYUTOは「すべてが“ハッピーエンド”じゃないけど、今が一番楽しいぜ!」と思いを叫ぶ。TOMAが「最初から飛ばしていくんで、ホーミー付いて来い!」と呼びかけてリズムに乗った「Flex Speed」、高校生の日常を鋭く切り取った高速ラップを叩き付ける「high skrrr boyz」と続け、マジボのステージとはひと味違う、エッジィでクールな表情を見せていく。陽気な「SUPER BANANA」では、オーディエンスが挙げた手を揺らしながら心地よいトロピカルサウンドに乗っていた。

RYUTO(撮影:大庭元)

RYUTO(撮影:大庭元)[拡大]

MCに入るとTOMAは「皆さんも悔いが残らないように、楽しんでいただけたらいいな」と思いを伝える。そしてRYUTOは「もっと盛り上がっていけんのか!?」と熱くファンを鼓舞し、「Oppotunina」へとつなげた。強い信念を歌う「One Road」ではTOMAもRYUTOも力強い眼差しで前を見据え、思いを言葉に乗せる。続いて用意されたソロ曲のパートでは、TOMAが恋愛模様を歌う「Don't forget the love」で甘く切ないムードを作り出し、フロアを優しい空気で満たす。RYUTOは「All night feat. さなり&Yackle」でこの曲を共作したさなりとYackleをゲストに迎えてパフォーマンスを展開。同年代の仲間たちとのコラボレーションで観客を楽しませ「(2人に)負けてられないって思います。この2人と曲ができて、本当にうれしいです」とあふれる思いを口にした。

HONG¥O.JPのラストライブの様子。(撮影:大庭元)

HONG¥O.JPのラストライブの様子。(撮影:大庭元)[拡大]

ライブが佳境に差し掛かると、RYUTOは「ここまでいい盛り上がりで来たから、さらにいい盛り上がりで終わりたいんですよ!」とファンに伝える。この言葉に少し感傷的なムードが広がったが、2人はアッパーな「SWITCH」で「最高に楽しんで、ホーミー!」と大いにフロアを盛り上げてみせた。すると、続く「Just Do It」では、スマホのバックライトを点灯させたホーミーが、2人のことを明るく照らし出す。エモーショナルな空気感の中、ライブはラストの「ourdawn」へ。TOMAとRYUTOはお互いの目を見て指を差し合いながら歌声を重ね、「みんな本当にありがとう!」「以上、僕たちがHONG¥O.JPでした!」と深く頭を下げた。

HONG¥O.JPのラストライブの様子。(撮影:大庭元)

HONG¥O.JPのラストライブの様子。(撮影:大庭元)[拡大]

彼らが姿を消すと、満員のオーディエンスは大きな声でアンコールを求める。すると2人はこれに応じてステージに上がり、RYUTOは「アンコールをしてもらえるように、あっさり終わろうって(TOMA)と話してました」といたずらっぽく笑みを浮かべた。そして彼らはここで、胸に抱く思いをファンに伝える。RYUTOは「終わるときはあっさり終わるものなのかなと、実感が湧かないんですけど……」と素直な心境を明かしつつ「悲しいけれど、骨折したあとは骨が強くなる感じというか。10代で(HONG¥O.JPを)失うことで、また僕たちは強くなれると思います。自分の未来に迷うこの時期に、これだけの経験をさせてもらえたこと、誇らしく思います。周りに自慢したいくらいです。でもそれは俺たちだけの力じゃなくて。本当に恵まれていたと思います」とまっすぐな語り口で語る。TOMAは「EBiDANに小5のときに入って7年間。音楽活動をこんなに長く続けられるとは思っていなかったです。それまでは内気な性格だったけど、この活動を通してたくさんの方に応援してもらい、僕の人生楽しくなって思い出もできて……ここまでやってきてよかったなと思います」「いろんなことがあったけど、HONG¥O.JPになったときも信じて付いて来てくれた皆さんには感謝しかありません」と感謝を伝える。そして「僕が死ぬとき、走馬燈の6、7割は占めるほどの濃い内容で……」とTOMAが続けると、RYUTOは「残りの人生、実りがなさすぎるだろ(笑)」と即座にツッコミ。感傷的な中にも和やかな雰囲気が戻り、TOMAは「青春時代、周りの友達はみんな遊んでいてうらやましい気持ちもあったけど、僕たちにしか送ることのできない青春を送らせていただいて、ありがとうございます!」と思いをまとめた。

肩を組むTOMAとRYUTO。(撮影:大庭元)

肩を組むTOMAとRYUTO。(撮影:大庭元)[拡大]

挨拶を終えると、2人は悲しいムードを吹き飛ばすように「SWITCH」を披露。「最高に楽しいね!」「いいね、もっともっと楽しんで!」とファンに語りかけながらステージを動き回った。そして「Good Night」でアンコールを結ぶと、TOMAは「本当に最高のホーミーです、みんなありがとう!」と思い切り叫んだ。

HONG¥O.JPのラストライブの様子。(撮影:大庭元)

HONG¥O.JPのラストライブの様子。(撮影:大庭元)[拡大]

それでも別れを惜しむオーディエンスの喝采とアンコールを求める声は止まず、TOMAとRYUTOは「予定していなかった」というダブルアンコールのステージへ上がった。HONG¥O.JPがホーミーに贈ったラストナンバーは、グループの“始まりの曲”である「Just Do It」。DJがこの曲をスピンすると、観客は再びスマホのライトを点けて幻想的な景色を作り出す。会場が1つになり、最高潮に高まったムードを受け取ったTOMAは「皆さん、最高の景色です! いい思い出をありがとう!」とひと言。がっちりと肩を組み、この曲を歌い終えた2人は晴れやかな笑顔でフロアを見つめ、何度も「ありがとう」を伝える。そして「今日はすごいたくさん肩組むね(笑)」と笑い合いながら、肩を組んだままでステージを降りていった。

HONG¥O.JP「HONG¥O.JP LAST LIVE ~今まで本当にありがとう~」2019年4月21日 HARLEM セットリスト

MAGiC BOYZ

01. MAGiC SPELL~かけちゃうぞ!ぴっぴっぴっ~
02. DK GO!!!
03. オレでしょ??
04. ハミダス
05. O.NE.DA.RI
06. パーリーしようよ
07. 10000000000YEN
08. Do The D-D-T!!
09. Oh!!!受験☆Night Fever
10. ハッピーエンドマジック

HONG¥O.JP

11. フリースタイル
12. Flex Speed
13. high skrrr boyz
14. SUPER BANANA
15. Oppotunina
16. One Road
17. Don't forget the love
18. All night feat. さなり&Yackle
19. Good Night
20. SWITCH
21. Just Do It
22. ourdawn
<アンコール>
23. SWITCH
24. Good Night
<ダブルアンコール>
25. Just Do It

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古柳アキ @koyanagi_aki

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