スカパラ、熱狂の全国ツアーに幕！情熱のサウンドで“全員の人生抱きしめた”夜

東京スカパラダイスオーケストラの全国ツアー「2018TOUR『SKANKING JAPAN』“燃やせ、揺らせ”編」が、本日6月24日に愛媛・松山W Studio REDにてファイナル公演を迎えた。

4月にスタートしたこのツアーは全国のライブハウスを回ったもの。全25公演のチケットはすべてソールドアウトし、スカパラの9人は攻撃的なセットリストで各地のファンを熱狂の渦に巻き込んだ。この記事では6月21日に行われた東京・渋谷CLUB QUATTRO公演の模様をレポートする。

開演時刻を少し過ぎた頃、期待感の高まる会場に姿を見せたメンバーは谷中敦（Baritone Sax）の「いくぞー！」という咆哮を合図に「Samurai Dreamers<サビレルナ和ヨ>」でライブの幕を切って落とす。谷中と加藤隆志（G）、大森はじめ（Per）のスピード感あるボーカルのかけあいにオーディエンスも「オイ、オイ、オイ！」と声を上げ、ライブハウスの温度は急上昇。続く「スキャラバン」では加藤が「東京スカパラダイスオーケストラ、渋谷に帰ってきたぜー！」と叫び、フロアは早くもスカダンスの渦と化した。

会場を埋め尽くすファンを笑顔で見つめた谷中は「顔の数だけ人生があるね。全員の人生抱きしめる勢いで行くぜ。戦うように楽しんでくれよ！」と熱いメッセージでオーディエンスを歓迎。底抜けに明るいサウンドに大きなシンガロングが響いた「Glorious」、茂木欣一（Dr）と大森がスピーディなソロバトルで互いのスキルをぶつけ合い、NARGO（Tp）がデスボイスで観客を煽った「The Battle of Tokyo」と、9人は次々にパワフルなナンバーを連投して勢いを加速させていく。続いて「Heaven's Door」「24Hours To Ska」といったさわやかな楽曲がメドレーで届けられた場面では「CALL FROM RIO」で流麗なソロを聴かせるGAMO（Tenor Sax）に向けて歓声が上がり、ほかのホーンセクションのメンバーはタオル回しで彼のプレイを盛り上げていた。

GAMOが持ち前のエンタテイナーぶりを存分に発揮し、彼の独壇場となった「Paradise Has No Border」に会場が大いに盛り上がると、茂木がマイクを手にドラムセットの前へ歩み出る。渋谷CLUB QUATTROでの思い出を語り出した彼は「フィッシュマンズのライブが1994年の夏に初めて満員になったとき、『もしかしたらこれが音楽人生のピークかもしれない』と思ったけど……ピークはたくさんあるんだってこの歳になってわかったね……！」と言葉を噛みしめる。そして、当時ブレークしたスカパラを見て、フィッシュマンズのボーカル・佐藤伸治が「俺たちも（バンド名を）“東京スカフィッシュマンズ”にしようか」と言っていたというスペシャルなエピソードを披露。「まさか自分が本当に“東京スカフィッシュマンズ”のメンバーになるとは……！（笑）」という彼の言葉に、ファンは大盛り上がりで声を上げる。こののちに彼がボーカルを取ったのは、スカパラがシシド・カフカと共に日本版エンドソングを担当したディズニー/ピクサー映画「リメンバー・ミー」の主題歌「リメンバー・ミー」。心地よい裏打ちのリズムに乗って、茂木は気持ちよさそうに朗らかな歌声を響かせていた。

沖祐市（Key）のアグレッシブなキーボードプレイに情熱的なバンドアンサンブルが絡み合った「白と黒のモントゥーノ」のインストバージョンで会場の熱を再点火させた9人は、ライブ後半も容赦なくアッパーチューンを畳みかけてオーディエンスのエネルギーを発散させていく。「野望なき野郎どもへ」で大森が「今日は俺がTOSHI-LOWの代わりに歌うぜ！」と言ってパワフルなボーカルを響かせれば、続く「One Step Beyond」ではそれまで最後列でアンサンブルを支えていた川上つよし（B）が最前線へ。彼の攻撃的なアジテートに対抗するようにメンバーもファンも一心不乱にステップを踏むと、次の「White Light」では加藤がセンターマイクを奪い取る。彼は「まだいけんだろ!? 今年一番高く跳べ、渋谷！」と絶叫し、存分に熱を帯びたギタープレイを見せていた。

そうして、ここでマイクを握ったのは谷中。彼は「たとえ道なき道でも信じた道、夢を追っていこうぜ！」とファンに思いの丈をぶつけ、「道なき道、反骨の。」を力の限りに歌い上げた。クライマックス、キラーチューンの「DOWN BEAT STOMP」「ペドラーズ」でフロアを狂乱状態に陥れた9人は本編ラストに「ちえのわ」を届ける。この曲のボーカルを務める峯田和伸（銀杏BOYZ）から「僕が行けないときは茂木さんと加藤くんが歌って」と思いを受け取ったという加藤は「まだまだスカパラはいろんな夢を持って進んでいきたいと思っているし、そうやって進んでいくことで来てくれるみんなに恩返しができたら最高だと思います」とメッセージをファンに伝え、思いを込めたまっすぐな歌声を響かせていた。

オーディエンスの大歓声に迎えられ始まったアンコールでは、最後までアグレッシブなプレイでホーンセクションを牽引していた最年長・北原雅彦（Tb）が「私スカパラと出会って30年、今が一番元気な気がします！」と頼もしい言葉で会場を沸かせた。また大森はブラジルで本人に間違われたというサッカー日本代表・本田圭佑のコスプレ姿でファンを楽しませる。そして9人が最後に叩き付けたのはデビュー曲の「MONSTER ROCK」。渋谷の真ん中で熱狂のステージを繰り広げ完全燃焼したメンバーとオーディエンスは互いを称えるように笑顔を交わし、メンバーは「ありがとう渋谷、楽しかったぞ！」と思い切り叫んでステージをあとにした。

なおスカパラは8月には、多数のフェス出演に加えてメキシコでのワンマン公演と10万人規模のコロンビアの音楽フェスに参加する。さらに9月からは今回の｢SKANKING JAPAN TOUR｣のホール公演「“めんどくさいのが愛だろっ？”編」がスタート。ツアーファイナルは12月24日の大阪・大阪城ホール公演で、こちらにはゲストが出演予定となっている。