全国で計9公演を行う今回のツアー。初日公演は、3月に小林龍二がグループを脱退して以降初めて行われる彼らのワンマンライブだった。北村匠海(Vo, G)が右手首を負傷中のため、演奏にはサポートギタリストとサポートベーシストを迎えたスタイル。泉大智(Dr)、橘柊生(DJ, Rap, Key, Flying Dish)、矢部昌暉(G)がそれぞれの場所に着くと最後にステージに姿を見せた匠海は満員の会場を見渡し、彼らは「Newフェイス」でライブの幕を切って落とす。ラウドなサウンドに乗せ匠海が唸るようなボーカルを聴かせると、これまでの上手奥から下手前方にDJブースをポジションチェンジした柊生は激しいヘッドバンギングで熱くオーディエンスを煽った。
彼らは初っ端からアップチューンを連投し、ぐんぐんと会場のボルテージを引き上げていく。この日はボーカルに専念した匠海はMCで「(フロアが)ギュウギュウだから、もし手首ひねっちゃったりしたらスタッフさんに声をかけてくださいね」と自虐ネタで笑いを誘いつつも、彩り豊かな歌声でバンドを牽引していった。また、昌暉は曲中の自身のセリフを「東京スラッシャー(DISH//ファンの呼称)、大好き!」と言い換えるなど、サービス精神旺盛な振る舞いでファンの黄色い歓声を誘う。大智のパワフルなドラミングからなだれ込んだ「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント~」では、ステージ両端のステップに登った柊生と匠海がお互いを挑発するように激しく頭を振り、歌声を重ねる。彼らの熱気に感化されるようにスラッシャーたちも大合唱の声を響かせ、匠海は「ありがとう!」と満足そうに笑みを浮かべた。
ひさびさに用意された自己紹介コーナーでワンマンならではのアットホームな雰囲気が生まれると、匠海は「次の曲は4人で、歌だけで届けたいと思います。僕らの次の夢・横浜スタジアムでのライブに向けて、僕らが作詞作曲した曲です」とファンに伝えた。4脚のハイチェアに座ったメンバーは、夢への思いを歌うミドルチューン「サクラボシ」を披露。ミラーボールの光の粒に照らされる中、真っすぐな歌声でスラッシャーへと思いを届けた。
ライブ中盤にはダンスパートも用意され、4人は軽快なステップを踏んでオーディエンスを楽しませる。するとここで柊生が「新曲を持ってきました!」とひと言。彼の言葉ののちにスタートした新曲「GET ur BODY」は大智もダンスに参加する“ダンスロック”のナンバーで、ドラムセットを飛び出した大智はソロを踊ったりフロアを煽ったりと曲中で大活躍を見せる。この曲について彼は「僕ら、ダンスロックバンドじゃないですか。自分もその期待を裏切りたくないし、もっと貢献したいなと思いまして。自分がDISH//に入ったことでバンド要素が強くなったけど、もっとダンスもやっていけたらと思ってやらせていただきました!」と熱い思いを語り、これを聞いていた匠海は「大智、ダンスの練習めっちゃがんばってたよね」と彼に声をかける。今年の元日の東京・日本武道館公演で「ダンスロックバンドとして進んで行く」という決意表明をした、その言葉通りに進化したダンスロックパフォーマンスを見せた4人。この曲のほかにも彼らはダンスロックスタイルでエネルギッシュに楽曲を披露し、オーディエンスにDISH//の個性を存分に提示していた。
公演も佳境に差し掛かった頃、匠海はグループが新体制になったことに言及した。彼は「龍二がここにいないことがすごく不思議だし、僕らはこのツアーで何かつかむんじゃないかなと思うんですけど……複雑な感情でここに立っています」と素直な心情を明かす。そして「DISH//はこれから4人で進んでいきます。僕らDISH//が大好きだし、音楽が大好きだし……これからも変わらず突き進んでいきたいと思います」と誓った。聴衆が彼の言葉に静かに耳を傾けると、匠海は「7年前、僕らDISH//はこの曲から始まりました!」と告げる。そして「俺らは変わんない、変わんないよ。DISH//はDISH//で前に進んでいくぞ。いいか!」と叫び、デビュー曲の「It's alright」へ。当時は歌声だけで届けていたこの曲を力強いバンドアンサンブルで叩き付け、4人の意志をパフォーマンスで示してみせた。
その後も彼らは全力のパフォーマンスでファンとの一体感を高め、ラストナンバーまでを一気に駆け抜ける。最後の曲を終えると、匠海は「メンバーが1人減り、ボーカルがケガをして『どんなライブになるだろう?』と思っていたけど、3人とステージに立っていること、ボーカルとして心強かったです」とメンバーに感謝。そして「4人でこれからも進んで行きます。DISH//はなんでもアリなバンドだと思うんで、みんなにいろんな姿を見せていきたいと思います。みんなのいろんな顔が見れてうれしかったです。来てくれてありがとう!」とスラッシャーへ感謝を伝えた。
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