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HYDE、幕張「黒ミサ」で18曲熱唱「来年もみんなを楽しませる」

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HYDE

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HYDE(L'Arc-en-CielVAMPS)が12月23日と24日に、千葉・幕張メッセ国際展示場4~6ホールにて単独公演「HYDE Christmas Concert 2017 -黒ミサ TOKYO-」を開催した。

このコンサートは毎年北海道・新富良野プリンスホテルで開催しているファンクラブイベント「黒ミサ」の特別編として開催。ダブルカルテット、コーラス、ギター、ベース、ドラム、パーカッション、ピアノ、フルート、クラリネットからなる総勢17名のオーケストラをバックに、ソロ名義の楽曲、L'Arc-en-CielやVAMPSの楽曲、さらに貴重なカバー曲などをこの日限りのアレンジでファンに届けた。今回の記事では24日公演の模様をレポートする。

会場の客席の床には赤いカーペットが敷き詰められ、緩やかに弧を描くステージを同じく客席が弧を描く形で取り囲むという構成。「スマートカジュアル」というこの公演のドレスコードに従いドレスアップした観客たちは、客席に座って開演を待った。開演の時を迎え、オーケストラのメンバーとHYDEがステージに現れると大きな拍手が起こる。1曲目はソロ1stアルバム「ROENTGEN」の収録曲「WHITE SONG」。ストリングスの音色と深みのあるボーカルが響き合い、早くも独特の空気を作り上げた。続く「SECRET LETTERS」では、堀向彦輝のピアノとYUKI(DUSTAR-3, Rayflower)のギターを中心とした哀切なサウンドが奏でられる。歌い終えたHYDEは、客席の緊張をほどくように「この『黒ミサ』は北海道の真ん中でひっそりと行われていたんですけど、今回はオーケストラの方々と一緒に、音楽を中心に聴いていただこうと思います。リラックスして、人の頭の上を飛んだりしないで楽しんでください(笑)」と語りかけた。

HYDEと17名のオーケストラはクリスマスにぴったりな「ANGEL'S TALE」を穏やかに届ける一方、「THE CAPE OF STORMS」では熱量の高いアンサンブルで場内の雰囲気を一変させる。続く曲についてHYDEは、親交の深かった画家の金子國義が気に入ってくれた曲だと過去のエピソードを明かし、2015年3月に逝去した彼を「人の死は本当につらいです。その穴が埋まらないと知りながらも、生きていくんだろうなと思います」と偲んだ。そんな言葉に続いて披露されたのはソロ1stシングルの「EVERGREEN」。HYDEは金子への思いを込めるように、丁寧な歌声を場内に届けた。

歌詞と呼応した壮大な演奏でファンを圧倒した「SHALLOW SLEEP」が終わると、HYDEはソロ1stアルバム「ROENTGEN」を振り返る。「できた当時は精も根も尽き果てて『二度とこんなアルバムは作れない、作れたとしても10年後だ』とインタビューで言ってたんですけど……15年経ちました(笑)」と観客を笑わせたあと、「少しずつこういう(ソロライブの)機会も増えてきて『もうちょっと曲があったらいいのに』と思うようになって。少しずつ前向きになってきてます。あと6年くらい待ってもらえたら作れるんじゃないかと」と、ソロとしての音源制作への期待を煽り、場内から拍手を浴びていた。

その後はデヴィッド・シルヴィアンが坂本龍一による「戦場のメリークリスマス」に歌詞を乗せた「Forbidden Colours」と、globeのトリビュートアルバムでもカバーした「DEPARTURES」と、2曲のカバー曲を披露。さらに堀向のピアノソロからVAMPSの「VAMPIRE'S LOVE」が始まると、HYDEはそれまで腰掛けていた椅子から立ち上がり、青いバラの花を手にエモーショナルな歌声を響かせた。力強いボーカルに圧倒された観客を前に、HYDEは先日発表したVAMPSの活動休止について「驚かせたかもしれないけど、未来を感じてもらって。僕自身も復活を楽しみにしてるんでね」と話し、近い将来の活動再開への意欲をにじませた。が、直後に「こっちはまだいいんですけどね……うまく行かないほうもあって、こっちのバンドの予定は立っていません(笑)」と、L'Arc-en-Cielの活動について赤裸々なトークを繰り広げ、観客を爆笑させる。「でも今日はKenさんを呼んで、少しラルクを楽しんでもらえたら」と、このコンサートのスペシャルゲストであるKenを呼び込んだ。

ステージに現れたKenは、HYDEから「クリスマスの思い出とかあります?」と尋ねられ、それに答えつつ1曲も演奏しないままに衣装のジャケットを脱ごうとして「もう脱ぐんですか?」と突っ込まれる。するとKenは「(HYDEが)ここの段取りを一向に教えてくれないんですよ! 今回、ちゃんとしたライブだからちゃんとしたいんですよ!」と、ギターやイヤーモニターなどの準備を交えながら切り返し、場内を大爆笑に導いた。そんな和やかなやり取りのあと披露されたのはL'Arc-en-Cielのクリスマスナンバー「Hurry Xmas」。このコンサートならではのゴージャスなアレンジで、オーディエンスを大いに酔わせた。

その後もストリングスをフィーチャーしたアレンジの「winter fall」、Kenのギターイントロに観客がいっせいに息を呑んだ「MY HEART DRAWS A DREAM」と、L'Arc-en-Cielの代表曲を次々とパフォーマンスしていく。「叙情詩」のイントロではHYDEが圧巻のアカペラを響かせ、オーディエンスを感動に導いた。Kenのエモーショナルなギターが楽曲の世界を彩った「a silent letter」、城戸紘志(Dr)が印象的なスネアのフレーズを鳴らした「forbidden lover」と名曲の数々を披露したあと、HYDEは自身が抱く冬への思いを「冬は寒いものではない、温かいんだということを理解してもらいたくて」と語り、「次の曲はイメージ通りだったので、思う存分冬の温かさを曲にしました」と、Kenが作曲を、自身が作詞を手がけた「雪の足跡」についての背景を明かした。しかし直後に「じゃあ聴いてください、『足の』……」とまさかの曲名間違いをしでかし、Kenを含むオーケストラメンバーやオーディエンスは大爆笑。大いに照れた様子を見せたHYDEだったが、曲が始まると情感豊かな歌声であっという間に場内のムードを変えていった。

「全員で演奏するのは次の曲が最後です。クリスマスの素敵な夜だからこそ、平和と永遠の笑顔を願って歌いたい」というHYDEの言葉に続き「星空」が始まる。ステージの左右には星空を模したライトが灯り、オーケストラが一体となって楽曲のメッセージを伝える壮大な演奏を繰り広げた。高らかなボーカルを響かせたHYDEは、Kenと力強い握手を交わす。Kenとオーケストラのメンバーがステージを去り、堀向と2人だけでステージに残ったHYDEは「みんなに楽しんでもらえて、やってよかったと思います。ありがとね」とファンに感謝を述べ「来年はまだ未定だけど、歩みを止めるつもりはないんで。いろいろみんなを楽しませようと思うので、付いてきてください」と、2018年も活躍することを誓った。

最後の曲に入る前、HYDEは一瞬感極まった様子で客席に背を向けて大きな歓声を浴びる。「目から汗が出てきた……(笑)。最後だと思うとさみしくなって」と素直な気持ちを明かしつつ「みんながいい夢を見れるように、子守唄を歌います」と宣言。堀向のピアノ伴奏でラストナンバー「未来世界」を歌い上げた。時折声を震わせつつ歌うHYDEの姿に、オーディエンスも目をうるませながら見入る。全18曲を歌い終えたHYDEは「メリークリスマス!」と会場に笑顔で呼びかけ、名残惜しそうに手を振りながらステージを去っていった。

「HYDE Christmas Concert 2017 -黒ミサ TOKYO-」2017年12月24日 幕張メッセ国際展示場4~6ホール セットリスト

01. WHITE SONG
02. SECRET LETTERS
03. ANGEL'S TALE
04. THE CAPE OF STORMS
05. EVERGREEN
06. SHALLOW SLEEP
07. Forbidden Colours
08. DEPARTURES
09. VAMPIRE'S LOVE
10. Hurry Xmas
11. winter fall
12. MY HEART DRAWS A DREAM
13. 叙情詩
14. a silent letter
15. forbidden lover
16. 雪の足跡
17. 星空
18. 未来世界

※「黒ミサ」の「黒」は旧字体が正式表記。

撮影:岡田貴之、今元秀明

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